企画用「りひと専用」台本



***

【最初は本当にヤンデレのシチュボのように】


どうしたの?そんなに震えて。
え?家に帰りたい?
はは、そんなの駄目に決まってるだろ。
君はずーっとこの部屋に住むんだ。
このままここで、僕の色に染めてあげるからね。

嫌?もしかして今、僕に対して嫌って言ったの?
悪い子だなぁ君は。
ねぇ、状況理解出来てるよね。
手錠をつけられて監禁、されてるんだよ?
それで家主の僕に逆らえば、ひどい目に合わされる事くらい想像つかないかなぁ。
んー?はは、急に大人しくなっちゃって。
僕が怖くなった?
怖がる必要はないってば。
君が僕を愛してくれるなら、優しくしてあげる。
でも、君が僕を拒否するなら、(威圧的に)壊すしかないね。
ははは、僕を愛するから酷いことはしないでって?
可愛いね。
恐怖からくる言葉だとわかっていても嬉しいな。
僕も、君を愛してるよ。
ようやくこの愛情を君に受け止めてもらえて、本当に嬉しいなぁ。


【マウスをクリックする音と共に、彼は椅子の背もたれにより掛かりながら上半身だけ体を伸ばした】


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(明るい声色に変えて)んーっ、はぁ終わったぁ。
これで今週アップする予定の動画分は全部撮れたかなー。
我ながら良い出来……


【突然背後から物音がして、彼は慌てて振り返る。するとそこには彼女が唖然とした表情で立っていた】


なっ、え、お前、ちょっ……き、来てたのか?


【「貴方が誰かと電話してる声が聞こえてたから、終わるのを待ってた。監禁とか、愛してるとか聞こえたんだけど……」】


いや、違う!今のは誰かと電話してたとかそういうんじゃなくて……
え、いやいやいや、待って待って帰ろうとしないで!


【彼は帰ろうとしている彼女を追いかけ、その腕を掴む。
するとその目には涙が滲んでいた】


なっ、泣いてる……?
違う、誤解だって!俺はお前以外の女に愛してるとか言ったわけじゃないの! 
だから!誰も監禁とかしてないって!
いや、そういう言葉は確かにさっき言ってたけど、違うんだってば!
とりあえず泣き止んで落ち着いて?ね?
……正直、恥ずかしいけど、お前の不安が無くなるように説明するから。


【そう言うと彼は彼女をソファに座らせ、その横に座る。
そして自身のスマホを取り出してYou Tubeを開いた】


前にさ、お前が俺の声を褒めてくれたじゃん?
それで、この声で活動とか出来ないかなーって考えた時に、「シチュエーションボイス」っていうのに出会ってさ。

知ってる?そういうのがあるって聞いたことはある?
そっか。
それで俺さ、You Tubeでチャンネル作って、台本読みながら音声撮って、それをアップしてんの。
ほら、俺のスマホ見て?これが俺のチャンネル。
主にヤンデレの動画ばかりアップしてあるだろ?さっきの声もそういう台本読んでただけで、お前が心配するような事は何もないんだよ。
だから安心して?ね?

【彼女は泣き止み、その代わり楽しそうにニコニコし始めた】

ん?
俺のチャンネルの音声が聞いてみたいって?
だめだめ、恥ずかしいじゃん
(笑いながら)いやいや、だめだって、もう!
あ、俺のスマホ……!だめ、返してってば


【彼女は彼のスマホを奪い、動画を見てみようとする。すると彼に後ろから抱きしめられ、スマホを取り返されてしまった】


ほーら後ろから捕まえた。
スマホを返してもらったぞー、俺の勝ち。
「ケチー」とか言わないの。
別に見なくてもいいだろ?
ん?俺が「愛してる」って言ってる声が聞きたかったって?
あーまぁ、確かにそういう恥ずかしい言葉、なかなか面と向かって言えないけどさ。
でもほら、好きとか大好きは伝えてるじゃん?
え、違う?
そんなに「愛してる」って言ってほしいの?
いいよ、じゃあ……


【言おうとして照れくさくなり、後ろから抱きしめたまま彼は動揺する】


ちょっ、ちょっと待って待って、どうしよう、台詞の時と違ってめちゃめちゃ恥ずかしいんだけど。
いや、全然違うって!
セリフ読みながら言うのと、本当に好きな子に伝えるのは
言葉の重みが全然違うの!


【「早く早くー」と、彼女は無邪気な顔でおねだりする】


そんなに無邪気な顔で「早く早くー」とか急かさないでよー。
いや、言うよ、ちゃんと言うってばー。
(大きく深呼吸して)えっと、俺は、お前の事が……もうね、物凄く好きで、大好きで、愛してるんですよ。
 

【突然敬語になった彼に、彼女は笑う】


いや、分かんないけど、緊張したら敬語になったんだって!
言っとくけどな、めちゃめちゃ恥ずかしいんだぞ!
ほら、そっちも言ってみてよ。
俺に愛してるって。
そしたら、今の俺の気持ちわかるよ。


【彼女は一瞬真っ赤になった後、小さな声で愛してると伝える】


声、すっげぇ小さいぞ。
な?恥ずかしいだろー?!
でもさ、これって、台詞じゃない本当の言葉だから余計に照れちゃうのかもなー。
そう思わない?
だよね!


【少し間を開けた後、彼は真剣な顔になる】


ねぇ?こっち向いて?
なんか、チューしたくなった。
え?だめ?
いいじゃん、ね?
ほら目ぇつぶってよ。
いくよ?


end
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