豹変系男子week用【こうた専用台本】

***

お、帰ってきたか。
おかえりー。
って、どうした?元気がないみたいだけど。
いや、わかるよ。明らかに表情が暗いし。
ほら、悩みがあるなら聞くから話してみろ。
話せば少しは気持ちが楽になるかもしれないよ?

ん?はは、何遠慮してんだよ。
可愛い妹がそんな顔してたら、放っておける訳ないだろ。


【彼女は少し悩んだ後、口を開いた「実はね、彼氏に浮気されたの」】


は?彼氏に浮気された?ほんとに?
えっと彼氏ってあの、最近付き合ったっていうすごく優しそうなあの彼……だよな?
えーなんだよそれ、誠実だと思ってたのに……酷い男だな。


【彼女はつらそうな顔になり、彼はそんな彼女に近寄りその肩を優しく叩く】


それで、お前はどうしたんだ?
別れた……って、そうか。
そりゃ浮気されたら別れるに決まってるよな。
お前の選択は間違ってないと思うよ。


【彼女は兄に同調し、「あんなやつ最低!」なとど強気な態度をとっていたが、だんだん悲しくなり涙目になっていった】


あぁ、おい、大丈夫か?
涙目になってる……。
ほら、おいで。

【彼は妹を優しく抱きしめ、頭を撫でる】


辛かったよな?よしよし。
ん?自分に魅力がないから浮気された?
何言ってんだよ!
違う、絶対にそんなことはない。
だってお前はこんなに可愛いんだから。
浮気する奴が悪いに決まってるだろ。
大事な彼女がいるのにが浮気するようなヤツは、この先何回も繰り返すよ。
だから、早めに気づいて別れることができて良かった、そう思っておこう?な?

【彼女は兄の言葉に頷き、笑顔になっていく】

あ、少しずつ笑顔が戻ってきたな。
よし、良かった良かった。
はは、やっぱりお前は笑ってんのが一番だな。

ん?風呂に入ってくる?
うん、分かった、行っておいで。 

(浴室に行く足音、扉を閉める音)

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【少し立ち直った妹は浴室に入っていき、彼はその姿が見えなくなった後、冷たい顔になっていく。
そしてスマホを取り出し、どこかに電話をかけ始めた】


(声を低くして)あーもしもし?
お前、約束守って偉いじゃん。
ちゃーんと俺の指示通り浮気したんだな?
アイツ、お前に愛想尽かしてたぞ。
最低とか、ありえないとか、もう散々な言い様だった、ははは。
は?何キレてんの?
俺の妹の事、本気で好きだったのにって?
お前さ、そんな態度……とっちゃっていい訳?
はは、そうそう、ちゃんと謝れて偉いじゃん。

え?俺がしてる事が脅迫だって?
何言ってんの、お前。
人聞きの悪い事言うなよ。
俺が妹の彼氏に関する事を調べ尽くすのは、あくまで趣味だから。
その趣味の一環として、妹の彼氏の家族の写真をこっそり撮影し、それを彼氏のスマホに送ったってだけ。
それを見たお前が、一方的に危機感抱いて俺に連絡してきたんだろ?
「自分の家族に何をするつもりだ」ってさ。

別に俺はお前の家族に何もする気はなかったよー?ははは。
勝手にお前が妄想して恐怖心を抱き、俺の指示通り浮気してアイツに嫌われた、それだけの話だろ。
まぁいきなり知らない男から、自分の家族の日常を撮影した写真が来たら、そりゃ怖いよな?ははは。
でもまぁ、お前が他の女を抱いたのは事実だし?
二度と妹の前に現れんなよ、浮気野郎。

ははは、何泣いてんのお前。
はいもう用無しなのでブロックしまーす。

【通話を終えてスマホをテーブルの上に置いた彼は、そしてソファの背もたれに寄りかかりながら、体を伸ばした後、大きなため息をつく】

んーっ、はぁ。
これでまたアイツは俺だけのもの。
ったく、何度別れさせても、すーぐ次の彼氏が出来ちゃうんだから困ったもんだよ。
まぁ、あんなに可愛いんだから仕方ないか……。
その度に相手の事を調べ尽くして、弱点を握らなきゃいけないから大変なんだよなぁ。
でもこれも全部大事な妹を守る為だし、文句なんか言ってられないか。

【彼は、妹のいる浴室の方を見つめ、愛おしそうに目を細める】

アイツもいい加減分かってくれないかなぁ。
世界でお前を一番愛しているのは俺だってこと。
小さい時から「お兄ちゃんお兄ちゃん」って俺に懐いてくれて、たまらなく愛おしかったんだよな。
あの時から俺は、お前を一生自分の傍から離したくないって思ったよ。

(狂気まじりの声)あーあ、この体に流れる血さえ同じじゃなかったら、今すぐにでもお前がシャワーを浴びてる浴室に飛び込んで、体力が尽きるまで愛してやれるのに。
なんできょうだいとして生まれちゃったんだろうなぁ。
ほんと、神様は意地悪だよ。

【その時、浴室の方から物音がして、シャワーを浴びた妹が部屋着に着替えてリビングに戻ってくる。
その顔を見た彼は狂気を隠し、優しい兄の顔に戻っていった。】

(扉を開く音、リビングに戻ってくる足音)

あ、おかえりー。
シャワー浴びて、気持ちスッキリしたか?
そっかそっか、それは良かった。
ん?でもちょっと目が赤くなってるな。
もしかして、風呂場で泣いてたのか?
……まぁそうだよな、信頼してた彼氏に裏切られたんだもんな。
傷つくに決まってるよ。
でも、これだけは言っておく。
お兄ちゃんは、いつだってお前の味方だから。
どんな時だって、俺がお前を守ってやる。
だからもし、何か辛い事があったら、すくに俺に相談するんだぞ。
よし、約束な?
はは、ホントにいい子だよな、お前は。


END
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