図書館を開けるといつもそこに彼はいた。にっこりと優しい笑顔を携えて。そんな彼が私は大好きだったし、今でも大好きだ。まぁ、喧嘩しているけど。
彼は今日もいつものようにカウンターにいた。ただし、いつものような明るさは今日の彼にはない。むしろどんよりとしている。手を組んで頭を乗せているなんて、体調でも悪いんだろうか。


「照星さん?」

「何故、私はあんなことを…」

「照星さん。おーい」

「…!なまえ!」

「はい」

「…また本の返却か」


ブツブツと何かを呟く照星さんは私の顔を見て、複雑そうな顔をした。どうせ本の返却のためだけに来たんだろうとでも言いたそうに顔を反らせて拗ねるところあたり、子供だなぁと思う。
まぁ、ね。そんなところも好きだったりするからいいんだけど。うん。よし、さくっと謝ろう。この後、接待も控えていることだし。


「あのね、照星さん。私ね」

「…あぁ」

「その、えっと、昨日…」

「昨日は悪かった」

「え。悪かった?」

「あぁ。素直に謝れなかった」


…何だ。彼も私に謝ろうとしてくれていたんだ。そっか、よかった。安心して彼に微笑むと、彼も微笑んでくれた。意地を張っていても仕方がない。お互い好きで一緒にいるんだし、ここは素直に謝って元に戻ろう。
謝ろうとすると、彼は私のスカートを見てぎょっとした。あ、やっぱり好きなんだ。本当、本能に忠実というか、煩悩の塊というか。脚が本当にお好きなようでいらっしゃる。


「お前…」

「はい?」

「その格好で飲み会に行くのか?」

「あぁ、うん」

「………」

「照星さん」

「チッ…」


………えー!舌打ちですか!
何よ。さっきまでいい雰囲気を醸し出しておきながら、舌打ちって。このスカートは好みではないのか、はたまた私の脚ではもう興奮しないのか。いずれにしても、失礼な話だ。また腹がたってきた私は、カウンター越しに彼の顔を睨みつけてやった。すると、ぷいっと顔を反らせてきたからますます怒りは大きくなる。


「何なんですか?」

「………」

「何とか言いなさいよ」

「…うるさい」

「はぁ!?」

「仕事の邪魔なんで私に大声で話し掛けないでください。他の方の迷惑ですから」


蹴りを入れてやろうかと思うほど頭にきた。この人、本当に勘に触る言い方をする。あぁ、何かもう…もう照星さんなんて…


「大嫌い!」


捨て台詞を残して私は接待に行った。もう本当に浮気してやる。浮気して、こっぴどく捨ててやる。泣かせてやるんだから!もう!ムカムカとしていた私はいつも以上に酒を飲んだ。
そして、目が覚めたところは知らない天井。ふかふかのベッド。高級そうな羽根布団。知らない男の人。…知らない男の人?


「…ぎゃ!」

「んー…?お?あんた、誰?」

「それはこっちの台詞です!」


とりあえず、パンツは履いていた(重要)
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