いつにするかな、と先の予定を立てる。流石になまえをいつまでも隠し通すことは不可能だ。現に長烈には知れている。
ただなぁ…となまえの頬を撫でる。これは人を惑わせることに長けている。おまけに、誰かれ構わず媚を売ろうとする。これまで忍びとしての実力のないなまえが生き延びてこられたのは、間違いなくこのような態度を周囲に取っていたからなのだろうし、一種の世渡り術として身に付いている。私にはそんな芸当は真似したくとも出来ないし、ある意味では尊敬にも値する行為であると思うが、ではそれを受け入れられるのかと言えばそれはそれでまた別の話であった。
女に飢えている部下の何人かはなまえに惹かれるかもしれない。流石に私の女に手を出すような愚かな真似はしないだろうが、私からなまえの心が離れていってしまう可能性がある。互いに想いを寄せ合う姿を間近で見なければならない。それは耐え難いことであり、そしてまた許し難いことだった。要は横恋慕されることが不安で部下に会わせたくないと考えていた。万が一にもそんなことになったら私のような男ではなまえを繋ぎ止めておくことは出来ないだろうから。
「どうされましたか?」
「んー?」
「そんな、難しいお顔をされて…」
「いや、肥えたな、と」
「私がですか?」
「そう。肉付きがよくなってきた。身体は真相だけど」
「…それは、すみませんね」
ペタリと自分の胸を触りながらなまえは顔を背けた。幼子が拗ねるような反応が可笑しくて、顔を無理矢理合わせる。
なまえに食わせてやるようになってまだどれだけも日が経っていないというのに、なまえの血色も肉付きも随分とよくなってきていた。米が好きだと言っていたが、本当に米を美味そうに食っていたし、野菜を口にした時など感涙していた。どれだけ貧しい生活をしていたのだろうかと思うと哀れになるが、所詮は弱肉強食の時代なのだ。弱い者は死に、強い者や賢い者が生き延びる。なまえは弱いが、私の側で「賢く」生きているからこそこうして生きられているに過ぎない。
「お前は私のものだ。それを忘れるな」
「分かっていますよ」
着物を羽織りながらなまえは外を眺めた。夜風が汗ばんでいたなまえの髪を揺らし、