それで?というような紫苑の目つきに、仁王だけでなく赤也までも口を噤んだ。
紫苑が学校を休んだ翌日、彼女は何事も無かったかのように登校してきた。朝は教師に何かしら小言をいわれていたようだったので、仁王と赤也は昼休みに紫苑の教室を訪ねた。「また来たんか」という紫苑の文句も程々に、仁王は赤也のこれまでの経緯を述べた。
そして、冒頭に戻る。
素っ気ない上に俺様な態度の紫苑に、赤也は冷や汗を流す。こんな偉そうな人物を仁王が信用しているなど心底驚きだ。
「何でアンタはそう厄介事を持ってくんねん」
「仕方ないじゃろ。後輩を心配するんは当然じゃき」
「今日占術してきたら良かったわ」
「占術?」
「占いや」
しかも会話がいまいち理解できない。あまり耳慣れない言葉を連発する紫苑に、赤也の訝し気な視線はとどまるところを知らない。
「…で、そのワカメが問題の後輩か」
「ワカメ!?」
「なに驚いとんねん。アンタ以外に誰がおんねん、ワカメ」
「あんた初対面のくせに容赦ねーな!」
「大体ワカメ言うて反応しとうゆうことは、自分がワカメやって自覚ある証拠や」
「おお、一理あるのう」
「仁王さん納得しないでください!」
おふざけも程々に、紫苑は座れと赤也を促した。自分たちが居る場所は屋上である。今日は運良く自分たち以外に人がいない。内緒話には良い環境だ。
「…うーん、さっきから思ててんけど」
「はい?」
「アンタの彼女がアンタに幽霊憑いとる言うてんな?」
「そうっすけど…やっぱ憑いてないんすか?」
「いや憑いてることには憑いてる」
断言する紫苑に赤也は顔を青くする。そんな彼を神妙な顔つきで紫苑は見、難しそうに唸った。「早いとこ除霊してくださいっす!」赤也は紫苑の肩を揺さぶって急かすが、紫苑は黙ったままだ。そんな彼女に仁王は怪訝に思った。
「何か問題でもあるんか?」
「問題っちゃー問題やけど…」
「何なんすか!?」
「切原…非常に言いにくいねんけど…」