「…ジャッカル、最近肩が重くないか?」
「え?」
突然そんなことを言った仁王に、ジャッカルはキョトンとした。仁王はジャッカルの肩口を見つめ、固い表情をしている。
仁王は昼休みは基本、部活仲間と食事をしている。今日もいつも通り部活仲間の一人であるジャッカルの隣に座ったら、突然彼の肩口に女の子を見つけた。
そう、“見つけた”のだ。
「確かに最近肩凝ってるっつーかなんつーか…てかよく分かったな」
「あ、ああ」
「部活に支障ができちまうかもしれねーし、早く治したいんだよな」
「ふむ、ならジャッカル。俺が肩を揉んでやろうか?」
「……いや真田、好意だけ受け取っておく」
真田の肩揉みは気持ち良いで終わりそうにない。やんわりと断ったジャッカルは「ニ、三日前から急に重くなったんだ」と言った。
「何か憑いてるんじゃないか?」
「ちょっ…やめろよ柳!」
「…珍しいのう参謀。お前さんがそんなことを言うなんて」
正直、柳の発言に心臓が不安気に高鳴ってしまったが仁王は笑顔を貼り付けた。すると柳は涼し気な笑みを浮かべる。
「仁王、お前が内心焦っている確率は87%だ」
は、と笑顔が固くなる。何故柳はそんなことを言うのか。するとそんなことすらお見通しというように「お前は幽霊を信じているだろう」と言った。
「精市と同じクラスの土御門さん…彼女は“そういうの”と関わりが深いらしいな」
「む、幸村のクラスの話か?」
真田が訊ねると柳は微笑を浮かべた。
「なんでもその土御門さんとやらは仁王や赤也と仲良しらしくてな…普段お前らと仲良くしてもらってるなら、挨拶に行かねばと思っただけだ」
「仁王だけでなく赤也もか。確かにそれは挨拶に行かねば。赤也が色々迷惑をかけているだろう」
「…え、何。どうしたんだよ二人共。ちょっと大袈裟じゃねえのか?」
「そ、そうぜよ!別に迷惑なんかかけてないきに」
彼らと会わせたところで紫苑に睨まれるのはきっと仁王だ。これ以上自分の株を落としたくないというのが、彼の本音である。
だが彼のそんな切なる思いなどお構い無しに「今日の放課後は空いてるだろうか」などと柳は呟いた。勿論常識人のジャッカルは「大変だな土御門さん」と顔も見たことない紫苑を哀れんだ。するとそんな彼の雰囲気を察したのか、柳はあっけらかんとした態度で口を開く。
「行きたいんじゃない、行かなければいけないんだ。仁王と赤也の組み合わせで土御門さんが迷惑している確率は97%だからな」
「高いなオイ!」
「…ああそうだジャッカル、お前も一緒に来てはどうだ」
「えっ俺も?」
突然の指名にジャッカルは狼狽える。ついでに仁王も心中でかなり狼狽えた。
「良い機会だ。ついでに土御門さんにもお前の肩凝りについて訊こうじゃないか」
「ん…?そうか?」
何故紫苑に訊く必要があるのかさっぱり分からないジャッカルは、柳の言葉にただただ首をかしげて同意した。そんなジャッカルの姿を、彼の背後に居る女の子は静かに見つめていた。