神殿
夕陽の光が滲んで、道路が赤色に染まっている。そこを歩くのは財前と忍足。財前の後ろを歩く忍足の足取りは、重い。無理もないかと財前は淡々と思った。
「…この先っすね」
「せ、せやな」
次第に忍足はキョロキョロと周囲を注視しだした。彼の慌てる気配を背中で感じ取りながら、財前はブレスレットを眺める。正直、騒動の原因の元に行っても財前ができることは何もない。昔教わった作法を忍足に教えることぐらいしかできない。尤も、それも“作法”といえるほど仰々しくはないが。
夕陽が沈みかかっている。だがこのまま行けば沈む前に神社に辿り着くだろう。もう、鳥居は目前だった。
鳥居をくぐり、長い階段を見据える。部活終わりで多少しんどい思いをしたがなんとか登りきった。“その場所”はいつかの記憶の時よりも古びていたが、空気は変わらない。身震いするような冷たさと侘しさ。相変わらずここは神の領域の割には悪魔のような恐怖感があった。
「…で、謝る言うたって何したらええんや?」
忍足が声音を落として訊ねる。それに対し、財前はブレスレットを触りながらこう言った。
「何したらて…普通に謝ったらええんですよ」
「…………は?」
ポカンと口を開けて、忍足は財前を見つめる。アホ丸出しな顔ですねと笑うと、忍足はハッと顔を引き締めた。
「いやいやいや!ごめんなさいで済んだらこんな…」
「やからこれ、ごめんなさいで済むんですよ」
「……嘘やろ」
「まあ誠意を込めな解決しませんけど。神様もええ神様やったらさっさと許してくれるでしょ」
“作法”とはいえない“作法”。だが気持ちが大切なのだと、財前は教えられた。
忍足は覚悟を決めたような表情になる。そのまま賽銭箱の前まで行くと、勢いよく頭を下げた。
「勝手に入った上、騒いで済みませんでした!」
バサァッ…!忍足の声に驚いた鴉が茜色の空に飛んでゆく。それからは静寂、沈黙。頭を下げたままの忍足と、それを眺める財前。誠意が伝わったのかどうか分からないため、二人とも暫くはこのままで止まっていた。が、暫しして忍足がおそるおそるといった感じで頭を起こす。
「え、ええんかな、これで」
生憎二人とも霊感とやらが無いため判別できないが、このままこうしていても仕方ないだろう。今日はこれで引き上げようと伝えようと財前が口を開いたその瞬間、
「っ謙也さん!!」
財前は雑木林から忍足を睨みつける女を見つけた。
「…この先っすね」
「せ、せやな」
次第に忍足はキョロキョロと周囲を注視しだした。彼の慌てる気配を背中で感じ取りながら、財前はブレスレットを眺める。正直、騒動の原因の元に行っても財前ができることは何もない。昔教わった作法を忍足に教えることぐらいしかできない。尤も、それも“作法”といえるほど仰々しくはないが。
夕陽が沈みかかっている。だがこのまま行けば沈む前に神社に辿り着くだろう。もう、鳥居は目前だった。
鳥居をくぐり、長い階段を見据える。部活終わりで多少しんどい思いをしたがなんとか登りきった。“その場所”はいつかの記憶の時よりも古びていたが、空気は変わらない。身震いするような冷たさと侘しさ。相変わらずここは神の領域の割には悪魔のような恐怖感があった。
「…で、謝る言うたって何したらええんや?」
忍足が声音を落として訊ねる。それに対し、財前はブレスレットを触りながらこう言った。
「何したらて…普通に謝ったらええんですよ」
「…………は?」
ポカンと口を開けて、忍足は財前を見つめる。アホ丸出しな顔ですねと笑うと、忍足はハッと顔を引き締めた。
「いやいやいや!ごめんなさいで済んだらこんな…」
「やからこれ、ごめんなさいで済むんですよ」
「……嘘やろ」
「まあ誠意を込めな解決しませんけど。神様もええ神様やったらさっさと許してくれるでしょ」
“作法”とはいえない“作法”。だが気持ちが大切なのだと、財前は教えられた。
忍足は覚悟を決めたような表情になる。そのまま賽銭箱の前まで行くと、勢いよく頭を下げた。
「勝手に入った上、騒いで済みませんでした!」
バサァッ…!忍足の声に驚いた鴉が茜色の空に飛んでゆく。それからは静寂、沈黙。頭を下げたままの忍足と、それを眺める財前。誠意が伝わったのかどうか分からないため、二人とも暫くはこのままで止まっていた。が、暫しして忍足がおそるおそるといった感じで頭を起こす。
「え、ええんかな、これで」
生憎二人とも霊感とやらが無いため判別できないが、このままこうしていても仕方ないだろう。今日はこれで引き上げようと伝えようと財前が口を開いたその瞬間、
「っ謙也さん!!」
財前は雑木林から忍足を睨みつける女を見つけた。