お人好しの幸
あの一件から翌日、忍足は奇妙な視線を感じなくなった。昨日中に倉橋が何かしてくれたのだろうか、晴れやかな気分で街を歩いた。そんな折、前方に見覚えのある背中を見つけた。
「…幸村?」
呟くと、その背中はピタリと止まって振り返った。
「ああ、君か」
幸村は僅かに目を見開いたが、すぐにそれも治まり薄っすらと笑みを浮かべた。
「何で大阪に?」
「親戚のところに用があってね」
「フーン…あ、なあ聞いてや!俺、昨日すごい体験してんで!」
忍足は神社に行ったこと、そして女の幽霊、倉橋のことを順に話した。幸村は興味深そうにそれを真剣に聞いていた。話し終えた頃には彼は先の笑みとはどこか違う、企んだような笑みを浮かべていた。
「興味深いね」
一言。スッとその涼し気な目は細められる。なんだろう、何故か彼が楽しそうに見えた。
「ところで忍足」
「何や?」
「君は霊感があるのかい?」
「いや…それは分からんけど、少なくとも今回の件ではビンッビンに霊感働いたんとちゃうか?」
「へーえ?」
ますます、彼の笑みは深くなる。
「実はね、我が立海でもそういう話が最近あってね」
「えええ!立海でもか!」
「うん。結局それは俺と同じクラスの女子が解決したんだけど…」
「凄い子がおんねんな、流石立海や」
「まあね。忍足、もし今後君の周囲でそういう不可思議なことがあったらその子に頼ると良いよ。その子大阪に分家があるみたいだし」
「せやな!こういうのは人脈あったほうがええわ!」
その答えに満足したのか幸村は爽やかな笑顔を浮かべて「じゃあ」と去って行った。小さくなっていく背中を見つめ続け、忍足はふと考える。
『財前クンも昔な、忍足クンとおんなしような目に遭うたことがあってん。そン時財前クンを助けたんが本家の子供の…』『ま、でもすぐ神奈川に帰ってまうみたいやけど』『それは俺と同じクラスの女子が解決したんだけど…』『その子大阪に分家があるみたいだし』これまで聞いてきた言葉が蘇る。
「……いや、まさかなァ…」
そんな偶然は無いだろうと考え直す。ここまで都合が良いわけがない。そこまで自分の運は良いとは思っていない。
とにかく視線が無くなったことを財前に報告しようと、忍足は再び歩き出した。
「…幸村?」
呟くと、その背中はピタリと止まって振り返った。
「ああ、君か」
幸村は僅かに目を見開いたが、すぐにそれも治まり薄っすらと笑みを浮かべた。
「何で大阪に?」
「親戚のところに用があってね」
「フーン…あ、なあ聞いてや!俺、昨日すごい体験してんで!」
忍足は神社に行ったこと、そして女の幽霊、倉橋のことを順に話した。幸村は興味深そうにそれを真剣に聞いていた。話し終えた頃には彼は先の笑みとはどこか違う、企んだような笑みを浮かべていた。
「興味深いね」
一言。スッとその涼し気な目は細められる。なんだろう、何故か彼が楽しそうに見えた。
「ところで忍足」
「何や?」
「君は霊感があるのかい?」
「いや…それは分からんけど、少なくとも今回の件ではビンッビンに霊感働いたんとちゃうか?」
「へーえ?」
ますます、彼の笑みは深くなる。
「実はね、我が立海でもそういう話が最近あってね」
「えええ!立海でもか!」
「うん。結局それは俺と同じクラスの女子が解決したんだけど…」
「凄い子がおんねんな、流石立海や」
「まあね。忍足、もし今後君の周囲でそういう不可思議なことがあったらその子に頼ると良いよ。その子大阪に分家があるみたいだし」
「せやな!こういうのは人脈あったほうがええわ!」
その答えに満足したのか幸村は爽やかな笑顔を浮かべて「じゃあ」と去って行った。小さくなっていく背中を見つめ続け、忍足はふと考える。
『財前クンも昔な、忍足クンとおんなしような目に遭うたことがあってん。そン時財前クンを助けたんが本家の子供の…』『ま、でもすぐ神奈川に帰ってまうみたいやけど』『それは俺と同じクラスの女子が解決したんだけど…』『その子大阪に分家があるみたいだし』これまで聞いてきた言葉が蘇る。
「……いや、まさかなァ…」
そんな偶然は無いだろうと考え直す。ここまで都合が良いわけがない。そこまで自分の運は良いとは思っていない。
とにかく視線が無くなったことを財前に報告しようと、忍足は再び歩き出した。