心の内に染み込むように
「なあ、幸村って何かあったん?」
「幸村くん?」
某日、紫苑は丸井、仁王、ジャッカル、切原、真田と一緒に昼食を摂っていた。何故かと問うのは無しだ。紫苑もよく分かっていない。ただ成り行きだ。
紫苑の疑問にいち早く反応したのは、隣に座って菓子パンを食べる丸井だ。
「何でそう思うんだよぃ」
「いや……なんとなく」
「まっまさか幸村部長に霊でも…?!」
切原の言葉に真田も顔を青くする。そして真田は紫苑の肩を掴む。
「それは一大事だ!土御門、なんとかしてくれ!」
「話聞きィ!ちゃうから!!ちょっと不思議に思ただけや!」
霊とは無関係なことに一同は安堵する。もうすぐ関東大会があるのだ、ここで彼に何かあってはひとたまりもないことくらい紫苑も承知していた。
「あー、でも幸村、最近ちょっとボーっとしてるよな」
ぽつりと呟いたジャッカルの言葉に、皆は口を一文字にする。
「でも部長に限って悩み事とかあるんすか?」
「そうじゃのう」
「アンタら幸村を何やと思ってんねん…」
一応人間なのだからという言葉を呑み込み、彼の黒い笑みを思い出す。どうしてか人間離れしたイメージしか湧いてこない。
「おや皆さんお揃いで」そんな折、聞き慣れた声に紫苑たちは扉のほうを見やった。
「柳生、遅かったのう」
「先生に呼ばれていまして」
「蓮二も珍しいな」
お前も呼ばれたのか?と真田が続けて訊ねるが、柳はちょっとなと言葉を濁した。先程から柳生の背後に立つ柳の表情はあまり優れない。何かあったのかと考えたが、本人が話したがらなさそうなので紫苑もそれ以上掘り起こそうとしなかった。
「そういやもうすぐ関東大会あるって言うてたけど、立海のテニス部ってぶっちゃけ強いん?」
話題を変えようと話し出した途端、皆の空気が一瞬にして冷えた。(……え)訊いてはいけないことだったのかと紫苑の体温がスッと低下した。
「〜〜っ紫苑先輩ってホント興味のないことはとことん知らないんすね!」
「は?」
「ふむ。我が立海にそんなことも知らない生徒がいたとは…土御門、お前はつくづく俺を楽しませる」
赤也や柳の回答に紫苑は口を開けて惚ける。そんなにもおかしなことを訊いてしまったのだろうか。
紫苑の疑問を察したのか、ジャッカルが親切にも懇切丁寧に教えてくれた。
まず立海は去年全国優勝したテニス界ではかなり有名な学校らしく、更にこの前足を運んだ氷帝も立海に次ぐ有名校。あと、今年有力なのは大阪の四天宝寺と、東京の青春学園という学校らしい。
「……大阪の四天宝寺?」
「そうだけど…知ってんのか?」
思わず反応してしまったが説明が面倒だったので首を横に振った。
「あっそうだ。折角だからさ、お前試合観に来いよ」
名案とばかりに言いのける丸井に、紫苑は呆れた視線をやった。いや彼女だけでない、真田も同じだ。
「丸井、俺たちが試合をする日は平日。一般生徒は授業の真っ最中だ」
「えええ!そうだっけ?」
「俺たちは公欠扱いだが、土御門が休めばそれは欠席扱いになる。無理に誘うわけにはいくまい」
真田の説明に丸井は眉をハの字にする。至極残念そうだ。
「じゃあ終わったら報告してやるよぃ」
「いや別に要ら…」
「楽しみにしといてくださいね!紫苑先輩!」
にこやかに述べる丸井と赤也に、紫苑はもう何も言わなかった。
「幸村くん?」
某日、紫苑は丸井、仁王、ジャッカル、切原、真田と一緒に昼食を摂っていた。何故かと問うのは無しだ。紫苑もよく分かっていない。ただ成り行きだ。
紫苑の疑問にいち早く反応したのは、隣に座って菓子パンを食べる丸井だ。
「何でそう思うんだよぃ」
「いや……なんとなく」
「まっまさか幸村部長に霊でも…?!」
切原の言葉に真田も顔を青くする。そして真田は紫苑の肩を掴む。
「それは一大事だ!土御門、なんとかしてくれ!」
「話聞きィ!ちゃうから!!ちょっと不思議に思ただけや!」
霊とは無関係なことに一同は安堵する。もうすぐ関東大会があるのだ、ここで彼に何かあってはひとたまりもないことくらい紫苑も承知していた。
「あー、でも幸村、最近ちょっとボーっとしてるよな」
ぽつりと呟いたジャッカルの言葉に、皆は口を一文字にする。
「でも部長に限って悩み事とかあるんすか?」
「そうじゃのう」
「アンタら幸村を何やと思ってんねん…」
一応人間なのだからという言葉を呑み込み、彼の黒い笑みを思い出す。どうしてか人間離れしたイメージしか湧いてこない。
「おや皆さんお揃いで」そんな折、聞き慣れた声に紫苑たちは扉のほうを見やった。
「柳生、遅かったのう」
「先生に呼ばれていまして」
「蓮二も珍しいな」
お前も呼ばれたのか?と真田が続けて訊ねるが、柳はちょっとなと言葉を濁した。先程から柳生の背後に立つ柳の表情はあまり優れない。何かあったのかと考えたが、本人が話したがらなさそうなので紫苑もそれ以上掘り起こそうとしなかった。
「そういやもうすぐ関東大会あるって言うてたけど、立海のテニス部ってぶっちゃけ強いん?」
話題を変えようと話し出した途端、皆の空気が一瞬にして冷えた。(……え)訊いてはいけないことだったのかと紫苑の体温がスッと低下した。
「〜〜っ紫苑先輩ってホント興味のないことはとことん知らないんすね!」
「は?」
「ふむ。我が立海にそんなことも知らない生徒がいたとは…土御門、お前はつくづく俺を楽しませる」
赤也や柳の回答に紫苑は口を開けて惚ける。そんなにもおかしなことを訊いてしまったのだろうか。
紫苑の疑問を察したのか、ジャッカルが親切にも懇切丁寧に教えてくれた。
まず立海は去年全国優勝したテニス界ではかなり有名な学校らしく、更にこの前足を運んだ氷帝も立海に次ぐ有名校。あと、今年有力なのは大阪の四天宝寺と、東京の青春学園という学校らしい。
「……大阪の四天宝寺?」
「そうだけど…知ってんのか?」
思わず反応してしまったが説明が面倒だったので首を横に振った。
「あっそうだ。折角だからさ、お前試合観に来いよ」
名案とばかりに言いのける丸井に、紫苑は呆れた視線をやった。いや彼女だけでない、真田も同じだ。
「丸井、俺たちが試合をする日は平日。一般生徒は授業の真っ最中だ」
「えええ!そうだっけ?」
「俺たちは公欠扱いだが、土御門が休めばそれは欠席扱いになる。無理に誘うわけにはいくまい」
真田の説明に丸井は眉をハの字にする。至極残念そうだ。
「じゃあ終わったら報告してやるよぃ」
「いや別に要ら…」
「楽しみにしといてくださいね!紫苑先輩!」
にこやかに述べる丸井と赤也に、紫苑はもう何も言わなかった。