もう一人の陰陽師
東京某所。ある青年が気だるげに道行く人々を眺めていた。数分前に購入した紙パックジュースにストローを差し込んで、ずるずると啜る。オレンジの爽やかさが口内に一気に広がった。刹那、携帯電話がポケットの中で震える。これもまた気だるげに取り出して確認してみると、妹からメールが届いていた。珍しいなと思いながら開けてみると、“数珠、渡すん忘れとった”という簡潔文があった。
「………そういやそうやった」学校まで届けに来てーな、と送る。するとすぐに返信が。“は?めんどくさいやん”“どうせヒマやろ?”“………じゃあ今回は特別に届けたるわ、感謝しろ”“へーい”一通り終わると青年は携帯電話をポケットに戻す。
「…あ、今おれがおるとこ学校ちゃうやん」
しまったと額を押さえる。もう一度連絡を入れるかと思案したが、それだときっと彼女は面倒くさがって来てくれないだろうと判断し、結局自分が学校に戻ることにした。幸い現在地は家より学校のほうが近いので苦にはならない。それに図書室にも用事があるし手間ではなかった。
「土御門先輩」
すると背後から呼び止められた。誰だと思い振り返ると、よく知る人物がいた。
「手塚やん」
「こんにちは」
「こんちは………これから部活なん?」
「はい」
手塚国光。同校で中学三年生。テニス部部長。生徒会という共通の委員会に所属しているため、彼・土御門桐は手塚のことをよく知っていた。
「先輩もこれから学校へ行かれるのですか?」
「おー。ま、ちょっとした野暮用で」
「そうでしたか」
折角なので手塚と並んで学校へ行くが、実は桐は年不相応の落ち着きを持つ彼と並べば自分が劣る気がして手塚が苦手であった。だが手塚は悪い人間ではない。努力家だし謙虚で人を立てることを知っている。だから彼と会話するのは嫌いじゃなかった。
「部活、ファイト」
「ありがとうございます。それでは」
「おー」
校門で手塚と別れ、桐は図書室に向かう。やはり少し気だるかった。
「………そういやそうやった」学校まで届けに来てーな、と送る。するとすぐに返信が。“は?めんどくさいやん”“どうせヒマやろ?”“………じゃあ今回は特別に届けたるわ、感謝しろ”“へーい”一通り終わると青年は携帯電話をポケットに戻す。
「…あ、今おれがおるとこ学校ちゃうやん」
しまったと額を押さえる。もう一度連絡を入れるかと思案したが、それだときっと彼女は面倒くさがって来てくれないだろうと判断し、結局自分が学校に戻ることにした。幸い現在地は家より学校のほうが近いので苦にはならない。それに図書室にも用事があるし手間ではなかった。
「土御門先輩」
すると背後から呼び止められた。誰だと思い振り返ると、よく知る人物がいた。
「手塚やん」
「こんにちは」
「こんちは………これから部活なん?」
「はい」
手塚国光。同校で中学三年生。テニス部部長。生徒会という共通の委員会に所属しているため、彼・土御門桐は手塚のことをよく知っていた。
「先輩もこれから学校へ行かれるのですか?」
「おー。ま、ちょっとした野暮用で」
「そうでしたか」
折角なので手塚と並んで学校へ行くが、実は桐は年不相応の落ち着きを持つ彼と並べば自分が劣る気がして手塚が苦手であった。だが手塚は悪い人間ではない。努力家だし謙虚で人を立てることを知っている。だから彼と会話するのは嫌いじゃなかった。
「部活、ファイト」
「ありがとうございます。それでは」
「おー」
校門で手塚と別れ、桐は図書室に向かう。やはり少し気だるかった。