酷い心地だった。
長い間ドロドロした何かにどっぷりと浸かっていたような気分だった。目を開けるのさえ億劫で、いっそこのまま目を開けない方が楽なようにさえ思えてしまう。
此処は何処?
私は誰?
そんなお決まりの台詞を思い浮かべながら終わりのない真っ暗闇をただひたすらに彷徨う。
ずっとずっと、途方に暮れるぐらい歩き続けたその先に、一際輝く光があった。無意識にその方向へ歩みを進める。
光はだんだんと近づき、大きくなっていく。
目の前まで迫ったその光に触れてみる。
私の視界が、世界が、一気に開けたような気がした。