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「《セブルス、大丈夫?》」
「あぁ、それより地下室に行くぞ」
「《…傷は後でちゃんと治すからね》」

思わぬフラッフィーからの攻撃で、スネイプは足に怪我を負っていた。
傷を癒そうとするものの、スネイプにとっては今は傷よりもトロールらしい。

足を引きずりながらも地下へと向かっていく姿に、ナマエはあきらめて見守る事にした。

「《セブルス、こっちから人の声がする》」

こっちこっち、と手招きをするとそこは女子トイレだった。
トイレの出入り口を囲むように先生方が集まっている。

人混みなんてなんのその。
透ける身体を存分に活かして一番前まで躍り出る。
中を見てみると、トロールは気を失って倒れていておまけにクィレルも腰を抜かしているようだ。

まさに迫真の演技。
白々しい奴、と言いたくなったがナマエは黙ってスネイプが歩いてい来るのを待った。

「ミス・グレンジャー。貴方には失望しました。グリフィンドールから5点減点。そして2人に5点ずつ差し上げます。その幸運に対してです」

マクゴナガルがそう三人に言うと、その場は解散になったようだ。

先生たちは散らばって各々の部屋に戻っていく。
スネイプとナマエも同様にゆっくりとした足取りでその場を後にしたが、クィレルの不審すぎる動きに難しい顔をしていた。






そんな事があった数日後。

スネイプの私室には今日もナマエが入り浸っていた。
あの日噛まれたスネイプの足は、いまだに治される事なく痛々しいままだ。

見ているとこちらも痛くなりそうで、思わず目をつむってしまいたくなるのをどうにか耐えながら、ナマエは魔法で巻かれていく包帯を見つめていた。

「《だから早く治してって。見てるのも辛いよ》」
「薬や魔法ばかりに頼ってもいられないだろう」
「《そうだけど。でも心配なんだよ》」

ここ最近のスネイプは足を引きずって歩いていて、そんな姿もまた痛々しいのだ。

「《それにしてもひどい傷》」
「仕方がないだろう?三つの頭に同時に注意するなんてできるか?」
「《…それは僕も悪かったよ》」

たしかに三つの頭があると分かっていても、防ぎきれない事もある。

ナマエは自分の注意力が足りなかったと声には出さずとも反省をしていた。
自分は幽霊だが、スネイプはそうではないのだ。

自分の不甲斐なさにため息をつくと、静かなはずの部屋の外で不審な物音が聞こえた。
何せここはあのスネイプの私室なのだ。
寄り付く物好きなどいるわけがない。
ナマエがバッと勢いよく後ろを振り向くと、それに驚いたハリーと目があった。
その瞳は確実には驚愕がにじんでいる。

「ポッター!」

スネイプは怒りと痛みが混じったような表情でハリーに怒鳴り、足をとっさに隠した。

「本を返してもらえるかと思って」
「出ていけ、うせろ!!」

いつもの怒った顔よりも何倍もの剣幕に、ハリーは本よりも減点されない事を選んだらしい。
バタバタと音を立てながら走ってその場を去っていった。


「《うーん、これはまずい事になったかもね》」

*

寮に戻ったハリーは談話室にいたロンとハーマイオニーにさっき見た事、聞いた事全てを勢いのまま話した。

できあがったのは、スネイプがトロールを入れ三頭犬の裏をかこうとした説だった。
何もかも納得がいくとハリーとロンは力説したが、ハーマイオニーはそれには納得しない。

「確かに意地悪だけど、スネイプ先生はダンブルドアが守っているものを盗もうとする人ではないわ」
「だってナマエだっているんだぞ?幽霊だけど魔法も使えるし、実際いい助手じゃないか」
「ナマエが賢者の石を盗むのを手伝うメリットがないわ。それにあなた達だってナマエが優しいのを知ってるじゃない」
「そうだけどさ」
「もう今日は寝ましょう。明日はハリーの試合なんだから」
「…そもそもナマエはなんでスネイプにあんなにべったりなんだろうな」
「お・や・す・み二人とも」
「「…おやすみ、ハーマイオニー」」

ハーマイオニーが女子寮に戻るのを見送ると、ハリーとロンも男子寮に戻りベッドに転がった。

明日はハリーのクィディッチ初試合なのだ。

ハリーはクィディッチの事、スネイプとナマエの事。
考える事が多すぎていつもより眠るのが遅くなった。