06


「《おかえり、セブルス。…なんか焦げてない?》」
「…言うな」

翌日クィディッチの試合を観戦にいったスネイプは、何故だか焦げた匂いを纏って帰ってきた。
何やらまた事件に巻き込まれたらしい。
とんだ苦労性だとナマエは苦笑してしまった。




魔法で紅茶を入れ、できあがるのを待っている間、ふと山積みになった本を興味本位に見ているとタワーの天辺に積まれている本が目についた。
その本は魔法薬学ばかりあるこの部屋には随分と不似合いで、その本には少しだけ見覚えがあった。

たしかこれはハリーの本ではなかっただろうか。
思い返せば、ハリーから取り上げたと言ってここに置いていた気がする。
あれからもうずいぶん時間がたっているし、もう返してもいいだろう。

蒸した茶葉でスネイプ好みの紅茶をカップに注いで机の上におく。

「《セブルス、ちょっと出かけるね。紅茶入れておいたから》」

焦げたローブを着替えているスネイプに一声かけて、「《ウィンガーディアム・レビオーサ(浮遊せよ)》」と本に呪文をかけて、半透明の幽霊と浮いた本という奇妙な組み合わせは部屋を出た。







とは言っても試合が終わった今、ハリーがどこにいるかなんて皆目見当もつかない。
教室から廊下、中庭とあちこちに本を持って出向いてみたがどうにも出会う事ができない。

もしかして城の外かもしれない。

城中を徘徊しても見つからなかったが、念のためにと窓から顔を出すと三人がハグリットの小屋から城に向かって歩いている。

戻ってくる場所が分かっているなら話が早い。

ナマエは先回りして三人を出迎える事にした。

「《やぁハリー、お届けものでーす》」
「!?ナマエ、あれ…これって」
「《セブルスには内緒だよ》」

丁度ハリー達が城に足を踏み入れると同時にナマエはもっていた本をハリーの手元へと落とした。

突然本が現れて驚いたハリーに、悪戯成功とにやりと笑みを浮かべた。

*

一方ハリー達は全く別の意味でドキドキしていた。
ハグリットの小屋でスネイプとナマエについて話していたからだ。

「《そっちの二人は自己紹介した事なかったよね。僕はナマエ、よろしく》」
「ぼ、僕はロナルド・ウィーズリー。ロンって呼んで」
「私はハーマイオニー・グレンジャーよ。あの、抜け出した時は助けてくれてありがとう」
「《もう危ない事はしちゃダメだからね》」

パチンと慣れないウィンクを飛ばしてみると、三人ともぱっと顔に赤みが差した。
そして三人とも何も言わない。


あれ。もしかしてやらない方が良かった?

内心ナマエが焦っていると、話を切り替えるようにハーマイオニーが声をあげた。


「ね、ねぇナマエ!ナマエはニコラス・フラメルって人知らない?」
「《ニコラス・フラメル?》」
「ちょっハリー何言ってんだよ!」
「《うーん、どこかで聞いた事はあるけど…覚えてないから生きてた時に聞いたのかも》」

name#はうーんと腕を組んだ。

ニコラス・フラメル。ニコラス・フラメスとまるで呪文のように唱えながら頭の中で記憶を探ってみるが、モヤがかかったように思い出せない。
絶対聞いた事はあるんだけど、とどうにかひねり出そうとしてもモヤは一向に晴れない。
むしろ濃くなっていくような気さえする。

「ナマエは生前の記憶がないの?」
「《そうなんだよね。でも僕が聞いた事あるんだから、ずっと前の人じゃないかな》」
「ナマエって何歳なの?」
「《セブルスがここの学生だった頃からいるよ》」
「「「えぇぇーーーっ!?!?!?」」」
「《そんなに驚かなくてもいいでしょ》」