アホと招き猫
「おはようミョウジ。今日のパンツ何色」
「おはよう上鳴。パンツの色知ってどうするの?」
「どうってお前…パンツは男のロマンだろ」
唐突だが私、ミョウジナマエは不運である。しかし不運幸運関係なく、さわやかな笑顔で朝からセクハラまがいの事を言ってのける同級生に真顔で返すのは最早日常と化していた。
個性という超常現象が日常になった今、私にも個性がある。それは人間ならば誰でも持つ”運”を調整、吸収、放出と自由に扱う事できたりする。そして運を蓄積する事もできる私は来るべき時のために毎日幸運をコツコツ貯めており、必然的に不運が増幅し結果的にあえて不運になっているのは誰も知らない所である。
「オイラにもパンツ見せてくれよ」
「出た峰田。絶対嫌」
「いいだろー!減るもんじゃねーし」
「いや、何かが減る気がする」
ぬっと横から現れた峰田にチョップを食らわせて少し距離を取る。峰田は油断すると小さい体を活かし、スカートの中を覗く常習犯なのだ。あいにくスパッツを履き忘れた今日は防御に徹するしかない。なんという不運。
「土下座したら見えねぇかな」
「プライドとかないの?」
何が上鳴を動かすのか、平然と下から覗き込もうとして地面に膝をつき始めた。こういった奇行には慣れてきたとはいえさすがに頭が痛くなってくる。峰田も真似して土下座しようとしていて本当に朝からこれは一体なんなのか。いい加減周りからの視線もそろそろ痛くなってきた。
もう2人を放置して学校に行こう。何もご丁寧に絡んでやる理由などない。その方が安心安全。そうしよう。くるりと踵を返して学校の方へ体を向けたその時。
「わっ」
「「おぉっ!! 」」
突如として吹き上げた生ぬるい風が私のスカートをふんわりと持ち上げた。前のスカートは反射的に抑えたものの、後ろのスカートを抑えるのに一瞬出遅れてしまった。恐る恐るうしろを振り返ってみると、ニヤニヤした上鳴と峰田。背後で中途半端に土下座をしてた二人には不覚にもバッチリ見られてしまったようだった。
「白パン最高!! 」
「神風キター! 」
グッジョブと親指を立てる上鳴に、大騒ぎをする峰田。通学中の生徒達からの視線も痛くなってきた。あぁ今すごく2人を殴りたい。けどこのタイミングでの風ってどう考えても私の不運作用……。
「最悪」
未だにニヤニヤしている二人を見ていると、次第に羞恥心がこみあげてくる。その場にいられなくなった私は逃げるように学校へとダッシュした。
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(おい上鳴、ミョウジ行っちまったぞ)
(ミョウジってさぁ…いつもの眠そうな顔もいいけど怒ってもなんかこう…ぐっと来るものがあるよな)
(絶対後で上鳴と峰田の幸運吸収する……)