三ツ星の夏


じりじりとまさに焼けるような、痛いほどの光の下。
公園で唯一の救いがあるとすれば、それは木陰の下だろう。更にそこにベンチがあればおのずと人はそこに集まる。自分もそうなのだから、皆同じ考えなのだ。

「…」
「…」
「…」

食べていたソーダ味の棒アイスを落としそうになったのは、この恐ろしいくらいの偶然のせいだ。

木に止まったセミが嫌に頭に響く声で鳴いている中、俺達三人は何故かベンチに並んで座っていた。こんなところでも安室の赤井嫌いは健在で俺を挟んで座っているのだから絵面的にむさくるしい事この上ない。

さっさと退散したい所だが、俺にはまだこのアイスを食べるという任務が残っているのだ。炎天下の中歩きながら食べるなんて事したら絶対にアイス落下という事故が起きる。

まだ噛み砕くには大きいこのアイスは、序盤はとにかく舐めるに限るのだ。

「…なんだよ、アイスなら自分で買いに行けよ」

暑さに浮く頭を冷やすようにアイスを食べていると、何故か赤井と安室はこちらを見ていた。
もしかしたらアイスか。アイスが欲しいのか。でもこれは俺のものだ。ここからコンビニまでは何気に遠い。また買いに行くのは嫌だ。

「アイスにはさほど興味ありませんので」
「気にする事はない。ほら、アイス溶けてるぞ」
「うわ、本当だ。くそ溶けるの早いな」

赤井に指摘されてようやくアイスがだらりと木の棒を伝って指に落ちてきているのに気が付いた。だが気が付いた所で間に合うわけでもなく、指は見事にベタベタだ。
一度手を拭こうか、それとも先に食べるか。そんな事を考えていると、何を考えたのか赤井が俺の持つアイスをひょいと奪ってしまった。そして何も持つものがなくなった、アイスでベタつく俺の手を自然な流れで自分の口元へと持っていくとぺろりと指先をなめた。

「うまい。ソーダ味がする」
「あ、かいぃいいい何してるんだ!その手を離せ!!」
「?ただ手を綺麗にしただけだが」

「…いや犬かよ」

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【三ツ星の夏】
ソーダ味のアイスキャンディーを嬉しそうに頬張る君がどうしようもなくかわいくて首筋にそっとキスをした。

キスしたのは指先だし安室さんは空気。ごめんなさい。

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