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「先輩」

俺の呼びかけに、マンションの高層階から夜景見ていた先輩が振り向いた。
俺の呼びかけに、微笑んでいた。

「どうした?なつ。」

どこか満足げなその顔に戸惑うが、一度開いた口はもう閉じることが出来なかった。

「あの…先輩…もう…勘弁してください…。あの時のことなら謝りますから…。もう、もう俺を開放してください。」
「…」

俺の言葉で、先輩はそれまでの優しい笑顔をすっと引っ込めた。

「ふーん。」

口を真一文字に結び、不満そうだ。
そのままじりじりと近づいてくる。

「そう。」
「っ」

先輩が手を伸ばしてくるので俺は咄嗟に身を引くが、易々と捕まり組み敷かれた。

「せ、先輩っ!違っ、ごめんなさいっ、…っっただ、俺は…っ」

俺の謝罪を聞いて、先輩は口の端を上げて笑った。


あの時の笑顔だ。

『分かった。』

俺は昔を思い出して後悔の念に駆られた。

彼は高校の先輩だ。
才色兼備、文武両道。生徒会長で、剣道では大きな大会で優勝もしていた。
対する俺は、クラスでも目立つ方ではなかった。
ほぼ接点もなかったはずだ。
強いて言えば、二人ともβではない。
先輩はαで、俺はΩ。
α、β、Ωというのは、男女に続く第二性と呼ばれるものだ。
ほとんどの人間はβで、人口比、数%にαとΩが存在する。
優秀なαと一般的なβ、それらに劣るΩ。そんな風にも考えられて、差別の温床にもなっている。
αは見た目もよくカリスマ性があり優秀な者が多い。Ωは男でも妊娠でき、定期的にヒートと呼ばれる発情期がある。
俺たちの高校も、例のごとくαとΩは少数だった。
そして学生の時に、何故か俺は先輩に告白された。
しかし断った。
だって俺は平穏に生きたい。
先輩は何をやっても出来が良く、見た目も華やかで学校で目立つ存在。
きっと今後も華やかな人生が待っている。
そんな先輩とでは、平凡な人生は望めない。
そして俺が断った時、先輩は今と同じ様に笑った。
含みがあり、引っかかる笑顔だった。

きっと、これはあの時の仕返しなんだ。
この世でαがΩに逆らうなんて許されない。

先輩の告白を断った後、一旦は普通の生活が続いた。しかし高校を卒業すると同時に急に拉致されてここへ連れてこられた。
それからは監禁生活だ。
これはきっと仕返しであり、道楽だ。
権利があるαにだけ許される道楽。

「大丈夫。怖がらないで。」
「うっ」 

先輩の手が俺の体を包む。
欲情を匂わす触り方に、俺は身を縮める。

またされる…。
嫌だ、やりたくない。

やんわりその手を阻むが、逆にその手すら絡め取られた。

「大丈夫だよ。また気持ち良くしてあげる。そうやって、理解しような?」
「嫌だ…やめて…先輩…うぅ…」

先輩は割れ物に触るように、優しくキスをしてくる。
でも俺はこれからが恐ろしい。
ここにきて、先輩とそう言う事は度々している。
だから気になる。

先輩は、俺と番契約をしたいんですか?
怖くて一度も聞いていない。

番契約というのは、αとΩ間でだけ結べる契約だ。
ヒート期にαに項を噛まれたΩは、そのαと番契約を結ぶ事になる。
番契約を結ぶと、Ωはそのαと離れられなくなるらしい。
強い繋がりだから、今時契約を結んでいるカップルなんてそうそういない。
ただ隠れたαの娯楽として、無理矢理Ωの合意もなく番契約を結ぶなんて話は聞いた事がある。
Ωはα性の子供を産みやすいし、αにとっては色欲をそそる存在らしい。
つまり色々とαにとっては都合が良い存在、それがΩだ。
そもそも番契約を結ぶ場合、それによる制限はαに全くないのに対してΩには多い。
番契約自体、不平等な代物だ。
余程の事がないと、番契約を結びたいΩなんていないはずだ。

だから俺は、ヒートになる前になんとかここから逃げたい。
それがもっぱらの考える事だった。
だって俺のヒートは…そろそろ始まってしまう。

———
「なつ」
「先輩、どうしたんですか?」

夕食前、ソファに座っていると先輩が抱きついてきた。
不思議に思って聞き返すと、先輩は俺の首筋に顔を埋めてくる。

「最近、なつの香りが強くなってるね。」
「…」
「ヒートが近いんだね。…その時は、コレ取ってくれるよね?」

先輩は俺のチョーカーを触りにこりと笑う。
俺は先輩の質問に固まってしまった。
番契約について直接的な事を遂に言われた。

「…ぇ、で…っそれは…、あ、…っ」

先輩の顔は笑っているけど、目だけは異様にギラギラと光っている。
俺はもう逸らしたいと目線を彷徨わせるが、先輩は俺の顔を覗き込み一向に逸らしてくれない。
これは…なにか、言わないと。
この番契約を防止するための、噛みつき防止チョーカーだけは俺の私物だ。
鍵も俺しか開けられず、先輩にも開けられない。
だから先輩はきっと、探りを入れている。
そして俺の答えが、俺のこの先の処遇を決する気がする。

「せんぱ…」

プルルル…

「!」
「………」

そこで部屋に備え付けの電話がなった。
先輩は渋々と言った様子で俺から離れると、電話を手に取る。

「はい。…あぁ、はい。うん。え?非常階段だけ?あぁ。うん。」

先輩は少し渋い顔をして電話を切ると、また俺の隣に座ってきた。

「どうしたの?」

別に電話の内容に興味はない。
けれど、兎に角さっきの話題を再び振られたら困る。
何か違う話題にしたい。

「今夜は台風が酷いだろう?」
「…そうですね。」
 
確かに外からは轟々と音が聞こえ、この時間もう真っ暗だ。

「だから交通機関が止まっていて交代のセキュリティ担当が来れないらしい。その上、もし停電になったらエレベーターも止まって非常階段しか使えないって。だから、もう今日はエレベーターの使用は控えるようにって。」
「…そうですか…。」

ここはマンションの高層階で、セキュリティが厳しい。
その上外の玄関横には常にセキュリティ担当という名の見張りが立っていた。
先輩ははっきりとは言わないが、きっと俺の脱走防止策だ。

しかし…そうか。
今日は誰もいないのか。

「……」

俺は思わず考えるように外を見た。

「………………なつ。」
「…ぁ、はい…っ」

呼ばれて振り向くと、先輩がこちらを鋭い目で見ていた。

「無駄だよ。」

動揺を悟られるとまずい。
俺はサッと目を伏せた。

「……夕食は何にしようか。買い出しも頼んでいたのに…急に来れないとはね。」

少しの気まずい間を置いて、先輩はキッチンへ向かうと冷蔵庫を漁り出す。

「何でも良いです。」

雨音が激しい。
最近ヒートが近いせいで、先輩と個室に二人きりでいる事自体が怖い。
俺はソファで膝を抱え、縮こまった。

「…なつ。手、あまりかかない方が良いよ。」
「え?…あ」

ここにきて直ぐか、いやその前からか?
いつの間にか、俺の手の甲、親指の付け根のすこし横に出来物が出来た。
不安になるとそこをかいてしまう。
その為、一向にこの出来物は治らない。
今だって、かいた事で赤くなりすこし腫れていた。

「そうですよね。」

確かにこれ以上は血が出そうだ。
俺は素直に先輩の言葉に頷いた。

「っ」

そんな俺を先輩はふっと笑うと、かいていた俺の手を取りキスを落とす。
気がつけば、一瞬気を抜いただけで再び距離を詰められている。先輩が至近距離にいた。

「食欲の話もだけど…もう人が来ないなら来ないで、楽しもうか?別の要求も満たしたい。」
「ぁっ、ちょっと…っ」

先輩は俺の頬にキスをして、唇、首、再び唇と、やんわりと押し倒してきた。

「性欲とか。」

くっと先輩が笑った。
思わず見上げると、舌なめずり顔の先輩と目が合った。
ぶるりと背筋に悪寒が走る。

「なつ…、なつ…好きだよ。好き、好き、愛してるよ…」

先輩の手が俺の服の下に伸びる。

「やめてくださいっ、…っ、やだ、っ、やめて…っ」

ピカッーーーー
ゴロロっ、ドンっっ

「「‼︎」」

その時、雷が落ちる音がして部屋の照明がふっと消える。
停電だ。
一瞬で部屋が真っ暗になる。

「っ、」
「…っなつ‼︎」

少しパニックにもなっていた。
俺は力任せに先輩を突き飛ばし、部屋の出口へ走った。

「待ってっ!」
「くっっっ!」

しかし直ぐに追いつかれ、腕を掴まれた。
部屋が真っ暗で、お互いまだ目が慣れていない。何かにぶつかりながら揉み合う。

「い゛っっっ!」

咄嗟に俺は、ガブリと先輩の掌を噛んだ。
先輩がうめき掴む力が抜けた瞬間に、俺は手に当たった何かで先輩を殴った。
気配で、先輩がよろけて後退するのが分かった。
今だっ!

俺は手探りで部屋の外に向かう。
暗闇だが、火事場の馬鹿力で何とか外に出れた。
そのまま薄暗い緑色を頼りに非常階段へ向かう。

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッっ‼︎」

勢いよく扉を開けると、階段を駆け降りた。
テンパりすぎて、走ると言うよりももはや滑り落ちている感覚だった。

「なつっ!なつっっ!!」

遠くの方で先輩が俺の名前を呼ぶのが聞こえる。
それを聞いて、俺は更に急いだ。
まさに、脱兎の如く。どう身体を動かしているか、感覚もあやふやなまま兎に角走った。
心音がバクバクと騒ぎ、自分の息遣いが煩い。

「っどこだここは。」 

外の景色に見覚えはない。
街中の住宅街と言った風だ。

「どうしよう…どうすれば…」

行く当てはないが、このマンションの前に留まることも出来ない。
走るしかないか…。
俺は道端に折れて捨てられていた傘を拾い、再び走り出した。

とりあえず、交番か何かあればいいのに。
それらしきものが目に入らない。
ここはどこだろう?
そうだ。賑やかな方へ走れば、街中に出て交番があるかも知れない。

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッっっ!あった!」

良かった!交番だ!
俺はその交番へ駆け込んだ。

「あれ…?」

しかし人気がない。

『パトロール中。御用の方はこちらから警察署へお電話ください。』

「そんな…いや、電話すればいいのか。」

俺は受話器をとった。
直ぐに発信音がなり、電話口に人が出る。

『はい。どうされました?』
「あのっ、俺、監禁されて…っ、それで、やっと逃げてきて」
『はぁ?監禁?』

相手の声は訝しげだ。
そりゃそうだ。思えばかなり突拍子もない事を言っている。
でも一体どう言えば良いんだ…。

『〜〜ーー。ーー。』
「?」

なんだ?
どう説明するか言いあぐねていると、電話口で何かひそひそと話し声がする。
信じてもらえたのか?

『はいはい、夏川さんですか?』

少しの間を置いて、今度は先程より年配の人が出た。
しかし…何故だろう。
優しく、猫撫で声ですらある声なのに、安心感よりも胸騒ぎがした。

「え?あ、はい…。あの、何で、名前…?」

そうだ。
名前だ。名乗っていないのに。何故知っているんだろう?

『あー、えっと…、ご家族から…そうそう。ご家族から届けが出てましたから。…ね?』
「…はい。」

そりゃそうだ。
息子がずっと帰らないんだ。そうなるよな。

『兎に角、直ぐに伺いますから。必ずそこを動かず、じっとしておいて下さいね。パトロールに出ていた者を戻らせますのね。待っていてくださいね。』
「はい。ありがとうございます…。」

安心できる話しの流れなのに、何故か胸騒ぎは酷くなる。
何かがおかしい。
でもその何かが分からないまま、電話は切れた。

「……パトロールから、戻る?」

戻っていいの?
いや、そりゃ、失踪していた人が見つかれば保護するために戻るか?

「…」

失踪した人の名前、一人一人覚えているものなのかな?

そもそも、こんな台風の夜にパトロール。
街に人気はなかったのに?
定刻のパトロールかな?

「……」

電話口、何をコソコソ話していたんだろう?

先輩はαで、実家も代々αで、権力もある。

もし…、
もし、パトロールで探していたのがー

「…っ」

駄目だ。
やはり、ここで待てない。

俺は再び台風の中、外へ走り出た。

かと言って行く当てもない。
結局俺は人の気配に釣られて、大きなホテルに入った。
幸いここなら、台風から避難した何人かいて紛れることが出来る。

「はぁー…」

俺は柱の隅のソファに座ってため息を吐く。
先輩からは逃げれるのかな。
家に帰りたい。

「………眠…」

こんな時なのに。
でもここ最近、先輩が怖くて夜もゆっくり寝れていない。
先輩と離れられた事で、一気に気が抜けたのも事実だ。
気が抜けると、疲れがどっと押し寄せてくる。
俺に興味もない大勢の人間と、温かいホテルの温度。
それらが妙な安心感を俺に与えて、俺はついウトウトと船を漕ぐ。

まだ逃げ切ってはいないからダメなのに、そのまま意識が沈んでいった。

-------

「…………ぁ」

やばい。
本当に寝ていた。
数十分程度か?

……?

いやもしかして、まだ夢の中なのか?
だって、なんか変だ。
あれだけ人気があったロビーに、今は人が一人もいない。

「楽しかった?台風の中の散歩。」
「っ⁈」

聞き慣れた声に、俺はあわててその場で立ち上がる。
振り向くと、先輩が俺の後ろに座っていた。
こちらをふりかえり不敵ににっと笑った。

「警察も当てにならないね。」

先輩が立ち上がりこちらに近づいてくる。
俺は余りの混乱に、よろけて倒れた。
その隙に距離を詰められる。

「なっ、なんでここに…っ⁈」
「ふふ」

先輩が俺の手を取り、手の甲に口付けを落とした。

「だから無駄だって、言ったでしょ?」
「⁈」
「なつには、御守りを付けてるから。」

あ。
先輩が俺の手の出来物をそっと撫でる。

御守り…?もしかして…

俺は震える手をそっと広げた。
どうして気づかなかったんだろう。
何か、入ってる…いや、埋め込まれている!

「っ、何で…何で俺なんですか!」
「ずっと好きだったんだよ。今も愛してる。」
「…っ‼︎もう嫌ですっ!俺っ、先輩のものじゃない!先輩なんか…っ‼︎」

好きじゃないと言うとしたところで口を塞がれた。

「悪い子だな。」

先輩は笑顔だが、反して俺の口を抑える手の力は容赦がない。

「これももう、外そうね。」
「!」

先輩が俺のチョーカーに触れた。
その瞬間ぶわりと汗が噴き出す。
え、今度は何を?
だって…でも、大丈夫だ。
俺が外さなければ良いんだ。
俺は絶対に外さない。

カチリ

「…え」

何で?
チョーカーが外れて、床に落ちる。

「ふふ、本当に俺が外せないと思っていたの?」
「嘘…」
「本当はなつから言って欲しかったから、ずっと待っていたんだよ。」
「なっ、なんで…なんで…」

どく、どく、どくどくどくどく…
心音が速くなる。
体が火照り、クラクラと眩暈がする。
なんで、このタイミングでなんだ。

「あぁ、頃合いも良く、ヒートがきたね。」
「うっ」

先輩の手が頬に触れたのが決定打だった。
体温が一気に上がる。
それと同時に耐え難い要求が迫り上がってくる。
このままだとまずい。

「あー、なつ…。ほら、こっちにおいで。」

俺はまた逃げるように走りだした。

「無駄だって行っているのに。」

そんな俺を先輩が鼻で笑っていた。
しかしどこに逃げればいいのか。
α以外、せめてβならΩのフェロモンにもそこまで誘発されるないはずだ。
なんとか、外に出て…。

「どうなっているんだ!」

よくよく見たら、フロントや出口には非常用のシャッターが降りている。
出るに出れない。
無駄ってそういうことか。

「俺だって、そんな状態のなつを、人前に出したくないよ。」
「うぅっ、」

先輩の声が後ろの方から聞こえてくる。
悠々と歩いてこちらに近づいてきている。
αの存在を意識すると、頭がくらくらする。
ヤバいヤバいヤバい。
理性と本能がせめぎ合う。

「あっ!」

それでも手当たり次第にドアを開けていると、一部屋だけ開いた。
俺は急いで入ると、ドアの鍵を閉めた。
ここから、外への出口はないか?

と、焦る頭で周囲を見渡して息を呑む。

きっとロビー横のカフェスペースだったこの部屋に、そぐわしくない大きなベッドが置かれていた。
まるで、『用意した』そんな感じだ。

「なつ」
「!」

鍵を閉めたはずなのに、先輩は当たり前の様に部屋に入ってきていた。
その手には鍵が握られている。

「この部屋に自分から入ったのだけは褒めてあげる。ほら、こういう大事な事は、ちゃんとベットでしてあげたいから。ね。用意していたんだよ。」

全部先輩のシナリオ通りなんだ。
何処まで逃げても無駄なんだ。
弱気になり、そんな事を考えてしまった。

「あー、それにしても、個室でヒート中のなつと籠ると………結構くるな。」
「…っせんぱっ、…ぁ!」

先輩は俺を抱き抱えると、そのままベットに運んだ。

「なつ…、出来るだけ優しくするね…。」

先輩の香りが強い。先輩も興奮している。
先輩と触れているところが焼け付くように熱い。
怖い。
手にじっとりを汗をかいた。
恐怖も感じるが、何故か期待もあって頭が変だ。

「先輩…ごめんなさい…。やめてください…」
「ふー、ふー、なつ…。」

先輩は荒い気遣いで、俺の服のボタンを外す。
こんな先輩初めてだ。

「もう、逃げませんから…すみません。逃げてすみませんでした…」
「なつ、なつなつ…」

俺の上着をはだけさせると、先輩は犬のように俺の服に顔を突っ込んでくる。
そして手では俺のズボンのファスナーをおろす。
ジーッという音が生々しくて、恐怖心を煽った。

「先輩っ、ごめんなさい、ごめんなさい…!これからはっ、ちゃんとやるから…っ、番契約だけはっ…っ、先輩!」
「はぁっ、はぁっ…」

聞いているのかいないのか、いや聞いていない。
先輩は俺のズボンを足から抜き取った。

「っ、せっ、セックスも…っ、ちゃんとやるし、先輩のいう事、なんでもっ、ちゃんと聞くからっ、それだけは…やめてくださいっっ!」

俺の服をある程度乱すと、先輩は今度は自分の服を脱ぎ捨てた。
獣みたいな目をした先輩に見下ろされ、縮み上がる。

「先輩…っ、ごめんなさいごめんなさいっ、お願いしますっ、聞いてくださいっ!」

そして俺に馬乗りのまま、ガチャガチャと今度は自分のズボンのベルトを外していた。
もう相槌もなく、ただただ粗く興奮した息遣いしか聞こえない。

「ぅっ、ふぅっ、言うこと、ききます…っ、ちゃんと、先輩の言う通りにします…っ」

堪らず泣き出してしまった。

「先輩…っ、す、好きになるようにっ、俺、ちゃんと、先輩を好きなるよう努力しますから…っっ!」
「…」

俺のこのセリフに、先輩はピクリと反応した。
そしてやっと顔をあげてくれた。

「なつ…」
「せんぱ…ぁ!〜〜〜〜っっつ‼︎」
「遅いよ。」

不覚ながらも俺の身体の準備は万端だった。
先輩のものはすんなり入った。
しかも一気に突き入れられて、俺は直ぐに吐精した。

「うわぁっ、あっ、…ぁぁ、まっ、あ゛っ、またっ、いくっ〜〜!」
「んっ、はぁっ、なつ、気持ちいいね…っ、なつっ」
「んんっ、まっ、〜〜っ、うっ、止まんなっっ〜〜っ‼︎」

先輩はキスをしてくる。
頭も身体も痺れてもうよく分からない。
気持ち良すぎて辛い。

「なつ、」
「うぅっ、先輩…」
「噛み跡、ありがとうね。」
「ぁ」

先輩の右手は、俺が噛んだ後がまだくっきりとついていた。
先輩は俺に見せつけるみたいに、その跡をベロリと舐めた。

「一生、この跡残るといいな。」
「ぁっ、まっ、まってっっ!〜〜っ!」

その後は待てないとばかりに再び激しく動く。

「今度はっ、んっ、俺がつけてあげる。」
「‼︎」

先輩がかがみ込み、俺の耳元で囁いた。
そして俺をくるりとひっくり返す。
その意味するところは直ぐに分かる。
怖いのに、気持ちよさが止まらない。

「先輩…っ、やめっ、先輩…っっ‼︎ぁぁぁぁああああっ‼︎」

ガブリと項を噛まれ、そこからじんわりと多幸感にもにた不思議な快感が流れた。
ビリビリと体が痺れて、今までとは比べ物にならない快感が走る。

「ぁぅ、あっ、〜〜っ、あっ、う゛っ」
「なつ、なつ…っ、なつ、愛してる、なつっ」

それからはお互いに理性も飛んで獣みたいだった。
 
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