※沖田さんが普段とちょっと違う感じですのでご注意ください


 相馬君て真面目なくせにその真面目さが空回っていて馬鹿みたいだよね、と言ったら悲しそうな顔をしてすみませんと謝られた。愚直なまでの真面目さというのは、伝染するものなのだろうか。そんなすぐに謝るなんて格好悪いねと言って笑うつもりだったのに、何故だか慰めるような言葉を掛けてしまった。
 慰めたところで相馬君が強くなるわけでもないから、こんなものは非生産的で無駄な会話だと心底思っている筈なのに、何で僕はこんなにも楽しい気持ちになっているんだろう。

 ねぇ、相馬君。呼び掛けると無警戒に振り向く君は、やっぱり馬鹿なんじゃないかな。そんなんだから簡単に口付けなんてされちゃうんだよ。
 すきあり、と笑って顔を離した僕に相馬君は何するんですかと照れながら怒る。あぁ可愛いなぁ、相馬君は本当に可愛い。なのにどうして相馬君も僕のことを「可愛いです」なんて言うんだろう。

 相馬君は気付いてるかな。ううん、気付いてる訳が無いよね。君に告白されてから僕がずっと相馬君のことばっかり考えちゃってることや、相馬君にばかり目がいくようになっちゃったことなんて。
 相馬君が近寄ってくると、もしかして口付けされるんじゃないか、なんて期待してるのは永遠の秘密にしておくつもりなんだけど、でも実はちょっと気付いて欲しかったりなんかして。

 ねぇやっぱり僕、相馬君の馬鹿さが伝染したと思うんだけど、どうしてくれるの。責任を取ってもっと僕を愛して躊躇ってないで早く抱き締めて、それからいっぱい口付けしてみてほしい。
 ……相馬君は絶対にそんなことしないって分かっているけれど、そんな君にだからこそ、もしもやってもらえたら強い愛情が感じられて幸せなんだけどな。

 そんなことばかり考えてるなんて、僕ってば本当に馬鹿になってるとしか思えない。だってこれってさ、これってまるであれみたいだもんね。相馬君のことばっかり考えて、相馬君のことしか考えられなくなってるなんて、まるでほら、そうあれだよあれ……言わないけどね。

 ところで相馬君はどうなの、やっぱり僕のことばっか考えたりしてくれてるの? 小姓としての仕事と僕ならどっちの方が好き? なんて訊いたら、相馬君は真面目だから「新選組です」って言いそうでちょっと腹立たしいよね。
 だから相馬君は、僕が不安にならないくらいもっと僕のこと愛してくれていいんだよ。

2019.11.24


▽幸せな雰囲気を出したくて、たまには好きな子が出来て浮かれてる沖田さんも可愛いかなって思ったらこうなりました。
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