酸欠

※SSL


強引に腕を引かれ、思わず痛いと漏らした声は直ぐに土方さんに飲み込まれてしまった。
土方さんのキスは、想像通り情熱的だ。荒々しくて、巧いかどうか判断するよりも先に、その熱さに飲み込まれてしまう。

唇が離れた。
劣情を隠さぬ目をした彼は、余裕の無い息遣いで次の段階へと移る。
服の中へと差し込まれた手は酷く熱くて、そのまま焼かれてしまうのではないかと思える程だ。

僕の身体に触れながら、土方さんがまたキスをする。
奪いつくされるようなそれに僕は簡単に翻弄され、訳が分からなくなってしまう。息も出来なくて、苦しくて堪らない。

けれど僕が本当に苦しいのは、離れてる時間なんだ。
先生と生徒という距離すら、遠くて堪らない。
だから僕は先生なんて呼びたくなくて土方さんと言っているのに、土方さんは先生と呼べよ、と吐息混じりに耳元で囁いてくる。その声は反則だ。

土方さんはむしろ、先生と生徒の関係で居られるのは今だけなのだから、それを含めて今を楽しみたいらしい。
だけど卒業しても、土方さんは僕と付き合ってくれるのだろうか。
もしも土方さんが「生徒」にしか興味の無い人だったらどうしよう。

いつか土方さんが居ないと息も出来ないようになってしまうかもしれないなんて、僕が本気で心配していると知っても笑わないでいてくれるだろうか。

2016.04.19


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