恋の病

※会話文


「何で伊庭くんがここにいるの?」
「トシさんに呼ばれたんです、沖田君が病に罹っていると」
「それで、お見舞いに来てくれたってこと?」
「はい。ですから、僕に出来ることがあったら何でも言ってほしいんです。僕は、沖田君の役に立ちたいですから」
「それは嬉しいけど……ねぇ、土方さんが僕のこと病気だって言ったの?」
「えぇ、そう聞きました」
「……病名は?」
「いえ、教えてもらえませんでした。トシさんが、それはどうしても言えないって……だから重い病気なのかと思っていたのですが、随分と元気そうなので少し安心しました」
「僕が元気なのはね、かなり癪だけど、土方さんのお陰かも」
「…………そう、ですか。僕では何の役にも立てないんですね」
「そうじゃなくて、土方さんが薬をくれたから」
「え、石田散薬ですか? あれ、効果があるんですね」
「僕があんな薬、飲むわけないでしょ? 薬は飲んだんじゃなくて、来てくれたからってこと」
「薬が、来る?」
「……分からないなら、そのままでいいから」

2017.12.30


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