心配事
「ねぇ、風間はちゃんと分かってるの?」「何をだ?」
問い返す声に迷いは無くて、風間は本当に全然気付いて無いんだと思ったら少し胸が痛んだ。
「僕が心配してるってこと、風間は分かってる?」
「何が心配なのだ」
そう言って首を傾げる姿すらやけに綺麗で、僕の不安は増すばかりだ。
「僕ばっかり好きみたいで、心配なの」
そう言うと馬鹿めと笑われて、当然のように話題を変えられてしまった。
これからの季節がどうの、この時期に咲く花がどうのと、僕の興味の無い話ばかりだ。
ふぅんとつまらなそうに返事をした時、唐突に真剣な声で「好きに決まっている」と不意打ちをかけてくるのは卑怯だと思う。
そんなことをされるから、やっぱり僕ばかりが好きみたいで心配になるんだ。
拍手文@掲載期間
20160606〜20160721
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