パラサイト

※学パロ/保健室ネタ/鬼畜/生徒×保健医


生徒も教師も、誰もが帰った後の学校は昼とは全く別の顔を見せる。静まり返って電気も点いていない廊下は、俺の静かな足音すら響かせた。そんな自分の足音を聞きながら、今夜もまた俺は慣れた自分の居場所へと足を運んでいる理由は一つ。
保健室の扉を開くと――

「よぉ、遅かったじゃねぇか」

赤い髪の男が声を掛けてきた。彼こそが、こんな時間まで俺が学校に残る理由だ。

「あんたに言われたことを、やっていたせいだ」
「ふぅん、ちゃんと一人で出来たのか? まさか誰かに頼んだりしてねぇだろうな?」
「っ、こんなことっ、頼める訳がないだろう!」
「なら、見せてみろよ」

そう言われて俺は白衣の前を開くが、そこで一度手を止めてしまった。

「おいおい、何やってんだ? 俺に脱がせて欲しいのか?」
「違っ……で、電気を、」
「消したら見えねぇじゃねぇか、いいからさっさと見せてみろって」

彼の顔を見ると、その瞳は真っ直ぐ俺に向けられている。一見するとその視線は酷く優しく見え、気を抜けば愛されているような錯覚を生み出す。けれど実際には、こうして夜中に俺を弄ぶ男の目でしかない……。

「あと1時間で警備員の見回りなんじゃねぇか? さっさと見せねぇと1時間経っちまうぜ?」

そう言われても、なかなか動かぬ俺に左之が続ける。

「まぁ、他人に見られてぇってんなら、俺は構わねぇけどな。」

きっと左之は本気で気にしないのだろう。そう思うと怖くなり、脱ぐ手を進めた。脱ぐと言っても白衣は着ていろと言われているので、中に着ていた物だけを脱ぎ去り、それからベッドへと上がる。
ここまでの行為は実にシンプルなもので、生徒の前で服を脱いでいるという異常さを抜かせば、別段大したことではない。けれど俺はベッドに移動する僅かな距離で、既に息が上がっていた。

「何だよ、もう感じてんのか? そりゃそうか、ここにこんなモン挿れてんだもんなぁ?」
「あッ、あぁ、やめ、動かす、な……」

ベッドに上がってから四つん這いになり、白衣を捲って中を見せるなり「ソレ」を左之が弄り始めた。

「何言ってんだ、動かさなきゃ満足出来ねぇんだろ?」
「あ、あ、やっ……左之、駄目、だ……止め……」
「あ? スイッチが弱になってんじゃねぇか、俺は強にしとけって言わなかったか?」
「それでは、歩けな……」
「歩けねぇ訳ねぇだろ? 咥えてねぇと物足りねぇ淫乱のくせによ」
「違――っ、」

反論しようとした瞬間にカチッと小さな音がして、続けて今度はパチッという音がした。

「う、あぁぁぁあぁ、あっ、やっ、はっ、あぁぁあ、ん、あっ」
「ほらな、こうした方が嬉しいんだろ? 斎藤先生はよ」
「やっ、違……、止め、止めてくれ、左之、左之……っ!」
「何言ってんだ、本当に嫌ならよ、俺に言われたからって自分でこんなトコにこんなモン挿れねぇよなぁ?」

そう、ここに来るまでの間に、既に俺の中にはバイブとローターの2種類が挿れられている。左之に「自分で挿れて来いよ」と言われ、昨日挿入の仕方と順番を教わったばかりであった。
もちろん、最初は断ったのだが。

「この間先生が気を失った時によ、写真撮ってあんだけど……撒いてもいいか?」

こう言われてしまい、渋々承諾したのだ。実際気を失ったことが何度かあったため、写真が撮られたという真偽の判断が付かず、本当にそんな物があって、もしも撒かれてしまったら……それを考えたからだ。
そして今、バイブとローターのどちらのスイッチもマックスに設定されてしまっている。

「あっ、やだ、左之、止めて、くれ……! あぁ、あ、はぁ、あ、んっ」
「そんな気持ち良さそうな声出しておいて、止めてくれはねぇんじゃねぇのか? 斎藤先生よぉ」
「や、ほんと、に、嫌だっ……あっ、あっ」

反論する間にも、俺の中の物が激しく振動するので、まともに話すことが出来ない。出したくもない声を上げ、それでも矢張り抜いて欲しくて、頑張って左之に懇願する。

「も、止め……」
「先生からは見えねぇだろうけど、ここはすげぇ嬉しそうにヒクついてるぜ? そんなんで嫌とか言われてもな、生徒に嘘は良くねぇよな」
「いや、左之、嫌、だ。嘘じゃ……無……あ、あぁ」
「あぁ、もしかして嫌ってのはあれか? 動かして欲しいってことか? そうだよな、ただ震えてるだけじゃ物足りねぇよな、悪ぃ悪ぃ」

言うなり左之はバイブを掴み、マックスで振動を続けるそれの出し挿れを始めた。ローターは最奥にまで達していて、バイブを動かされる度ローターに当たったり離れたりする。その刺激の波が、より強い刺激となって俺を震わせた。
嫌だ嫌だと繰り返しても、左之は「嘘吐いてんじゃねぇよ」の一言しか返してくれず、結局そのまま俺は果てたのだ。

ベッドに俺の出した物の溜まりが出来、俺は何をしているのかと悲しくなった。生徒に脅され、自分で玩具を自分の中に挿れ、自分の城である保健室で翻弄されて……。
ポタリ、と枕に小さな染みが出来る。続けてまたポタリ、と。
あぁ俺は泣いているのか、と気付いた時にこんなことで泣いている自分がみっともなくて余計に泣けてきた。小さく嗚咽を漏らすと、左之がそれに気付いたようだ。

「何だよ、泣くなよ先生。ほら、玩具は出してやるから、な?」
「……何故、俺に、こんな、ことを……」
「んなもん、先生がして欲しそうにしてるからだろ?」
「俺、は、こんな、こと、望んで、など……」

泣きながら話しているのできちんと伝わったかは分からないが、それでも左之の言ったことは違うのだと言いたかった、けれど。

「本当に嫌なら最初の時にもっと抵抗すりゃ良かったじゃねぇか。受け入れといて今更そんなのが通じる訳ねぇだろ?」

確かにそう言われてしまえば完全な否定などは出来ないが、だが最初の頃はまさかこのような関係になるとは思っていなかったのだ。

何度か怪我をして保健室に来た左之に、俺はいつしか惹かれていた。
怪我の理由がいつも「誰かのため」であったことや、俺と接する時の温かい空気が、俺を魅了して止まなかったのだ。だから最初に求められた時は、少なからず胸は高鳴り、実際最初の頃の左之はとても優しかった。

いつから変わってしまったのだろうか。

何がきっかけだったのだろうか……。

思い出すには長く付き合い過ぎていて、いまでは左之が俺を好きなのかどうかも疑わしくなっている。だけどそれでも俺は、左之から離れることが出来ない。

「じゃ、そろそろご褒美くれてやるよ。ちゃぁんと自分で挿れてきたもんなぁ斎藤先生はよ」

だから、こんなことを言われても。

「でも強に設定しろっつったのにそれが出来てなかったから、それに関しちゃお仕置きしてやらねぇとなぁ」

こう続けられても、左之を嫌いになんてなれなくて。

「うあ、あぁぁぁぁぁや、あ―――はっ、いや、だ……っ」

そうしてバイブを抜かぬまま左之自身を突き込まれても、俺の後ろから裂ける音が聞こえても。それでも、俺は左之から離れることが出来ない。どうしようもなく、好きだから……。

「何だよ、バイブのスイッチは切ってやっただろ?」

"玩具は抜いてやる"と言っておきながら、その約束を簡単に違えた左之は、俺の叫びを聞いても至って冷静なままだ。そしてそのまま動き始める。俺は痛みと圧迫とでまともに息が出来ず、まるで犬のように早くて浅い呼吸を繰り返していた。

「ん? あぁ、切れちまってんのか、ま、俺が動けりゃいいよな。怪我したって保健室なんだから、手当てもすぐ出来るしな」

ははは、と笑いながら左之は腰を振る。
俺は声も出せず、ただ呼吸をする事に意識を向けるが、その意識を散らす程の刺激と痛みと――

「あ、あぁ、左之、あ、左之……」

――――快感。

痛いはずなのに。
苦しいはずなのに。
左之が突き上げる先は俺の最も感じる部分で、バイブのスイッチは切られているがローターはまだ微弱な振動を続けていて……、結局時間と共に、俺はこの状態を受け入れていた。
上がる声は甘くなり、俺の声を聞いた左之は嬉しそうに笑っている。

「ほらな、先生はこうでもされなきゃ満足出来ねぇんだって」

動きを速め出した左之は、喋りにくそうではあったが、それだけはハッキリとした口調で告げてきた。

「これからも、先生の身体は俺が面倒見てやるからよ」

この言葉を最後に激しく突き上げられて、もう血なのか左之の出した物なのかも判断出来ない液体で、俺の腿は汚されている。言葉にならない音を発しながら俺は果て、意識も同時に手放していた。

目が覚めると真っ暗で、自分が一体どこにいて、何をしていたのかすぐには思い出せない。
その時カツンカツンと音がして、何だろうかと思った瞬間「見廻りだ」と気付く。ほどなくして暗がりに慣れた目が、俺は先程乗っていたベッドの隣のベッドに寝かされているのだという事実を認める。

……左之はどうした?

いや、それよりも見廻りをどうしたら、

いやしかし左之は……

頭が混乱していたが、とにかく起き上がらねばと思った時に「しっ」と耳元で声がした。気だるい身体に鞭打ち後ろを振り返ると、眼前に左之の顔。

「先生がなかなか起きないからよ、警備員さん来ちまったな」

小声で話す左之の息が耳に掛かり、そんな時ではないというのに俺の身体は俄かに反応してしまう。そして左之は、目を伏せた俺の変化に目敏く気が付いた。後ろから抱き締めるようにして、左之の腕が俺自身へと伸びてくる。

「こんな時だってのに、なに興奮してんだよ? だらしねぇなぁ。それとも警備員に見られながらされたいのか? 俺は別にいいぜ」

尚も耳元で話し掛けてくる左之の声に、俺はどうしようもなく感じてしまった。

「何だ、すげぇタってきたな。シてやろうか?」

それはとても甘美な誘い。
しかし受ける訳にはいかない誘い。小さく首を振り、拒絶を示す。

「でもこのままじゃ辛いんじゃねぇのか?」

けれどこう言われ、結局扱き出されてしまう。声が出そうになるのを、必死で抑える。

「左之、頼むから今は……」
「何言ってんだ、警備員に見せたいんだろ?」
「違う、そんなこと思ってなど」

そこまで言った時、ガラッと保健室の扉が開いた。警備員の足音は窓側へと行き、全ての窓の施錠確認をしているようだ。心臓がバクバク言っている。見られてしまったらどうしよう、と。

普段は見廻りの来る前に事を済ませて帰っているので、警備員がどこまで見廻るのかを俺達は知らない。保健室のベッドは全てカーテンを引いているので、中を覗かれなければバレることは無いが、もしも警備員がそこまで確認したら……。

冷や汗が出た。
呼吸を止めた所でどうにもなる訳でも無いが、それでも少しでも存在感を消し去ろうと息を詰める。
なのに、左之の手が動いた。

「っ」

止めろ、と言ってはバレてしまう。だけどこのまま扱かれてしまっては結局声が出てしまう。
焦っていると、間の抜けたあくびが聞こえた。それは警備員のもので、そのまま彼はベッドを確認することもなく保健室を出て行く。ほっとしたのも束の間、左之が俺を扱くのを止め後ろに指を挿れてきた。

「もう心配することも無くなったし、朝までやろうぜ。先生も、物足りねぇだろ?」

左之に囚われている俺の、返事は――

2010.06.21
+淡雪様に捧げます

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