君想う

※SSL/沖斎前提モブ斎
※オリキャラ(モブ)が出てきますので苦手な方はお戻り下さい


南雲が休みだと知った総司が、放課後の理科実験室に「手伝うよ」と言って入って来た。
一人で平気だと告げるとすぐ終わるのかと訊いてくる。その質問に頷いた瞬間、両手を突然戒められた。驚いて総司を見上げると

「じゃ、一人で頑張る一君にご褒美」

と言って微笑まれ、直後身体を反転させられ総司に腰を突き出す体勢にさせられた。
慣れた手付きで解いた俺のネクタイを使い、総司は俺の両手を縛り付けてくる。
それは各テーブルに設置されている水道の蛇口の根元にきつく結ばれ、足掻けば足掻く程俺の手首の方が痛んだ。外せと言っている間に制服の下を脱がされて、慌てて逃げようとした腰は簡単に抱き込まれてしまう。

「毎日してるし、すぐ挿入るかな」

まさか、と思った瞬間にはもう痛みが走り息が詰まった。

「そ、うじ、、あっまだ、無理……」
「無理? どこが? もう全部挿入ってるよ、一君」
「いっ、あ、動く、な……」
「動かなきゃ終わらせられないでしょ? すぐ気持ち良くしてあげるから」

最初こそ痛かったものの、総司の言う通り程なくしてそれは快感へと掏り替った。自分のものとは思えない程の高い声が上がり、人の居ないこの教室にそれは随分と反響した。

「や、総司、もぅ……」
「もうちょっと我慢して」

そう言って俺自身の根元を握られるが、動きながらの総司は力の加減が出来なかったのか、思いがけず強く掴まれてしまった。
痛っ、と言ったらごめんねと言って、お詫びとばかりにもう片方の手で先端をぐちゅぐちゅと弄られる。
俺にとってその刺激は強過ぎて、けれど変わらず握られたままの根元が解放を許してくれなくて、早く達したい余りに自ら激しく腰を揺らしてしまった。
耳元に総司の息が掛かったかと思うと「もういいよ」と手を離される。それから数度総司に突き上げられるとすぐに達した。

足に力が入らない。
がく、と膝が折れて体勢が崩れると縛られたままの手首が思い出したようにぎちりと痛んだ。

「あ、腕……早く、外し……」

荒い息はすぐには整わず、言いたい事は短いのに上手く伝えられない。すると総司が「だめ、もう一回」と言い、一度抜かれた総司の熱が宛てられたその時、突然総司のポケットから電子音が鳴り響いた。
しかし気にせず総司は俺に突き入れてくる。てっきり携帯に出るだろうと思っていた俺は、気を抜いた隙をつかれた為に、自分でも耳を塞ぎたくなるような甘い声を上げていた。

それに気を良くしたのか、総司は携帯など気にも留めずに動き続ける。けれど携帯も諦め悪く鳴り続けている。流石に耳触りなその音に、総司が嫌そうな声で携帯に出た。
出た後の総司は出る前より明らかに不機嫌な声になり、「嫌です」「行きません」を繰り返していたのだが。少しの間を置いてから、「……分かりました」と言って電話を切った。

誰からかと問えば、怒りを押し殺したような声で「土方先生」とだけ答えられる。
それから「ごめんね、すぐ行かないと」と言って激しく腰を振られて、総司の熱を中に感じた直後に引き抜かれた。抜かれる際の刺激で俺も果て、全身がびくびくと震えている。

「ちょっと呼び出されちゃって。一君はこのままで待ってて」
「っ、腕は外して行け、総司」
「すぐ戻るから。戻ったら、またしようね」

そう言って総司は、本当にそのまま出て行ってしまった。
本人はすぐ戻ってくるつもりだからであろうが、鍵も掛けていないこの教室に、もしも誰か来てしまったらどうするのか……。そこまで思って、こんな場所に来る者など居る訳が無いと自分を落ち着かせた。

しかし体勢が辛く、せめて腕の戒めだけは解きたいと色々と試してみるが、俺では届かない位置にきつく片結びをされていた。とても外せそうにない。
仕方なく早く総司が戻らないかと溜息を吐いた時、カラカラと扉の開く音がした。

「総司っ」

他の可能性など全く考えていなかった俺は、当然そこに立っているであろう人物の名を呼びながら扉の方へと顔を向ける。しかし、そこに居たのは――

「お疲れ様です」
「誰、だ」
「僕、南雲君と同じクラスなんです。彼、今日お休みだから来られませんよって伝言しに来ました」
「そんなこと、言われなくとももう知っている」
「え? そうだったんですか?」

見たことも無い生徒が立っている。どう考えても俺のこの状態に驚くのが普通だと思うのだが、見知らぬその男は気にも留めず、普通に話し掛けてきた。
しかも用は済んだであろうに、にこにこと笑ったままその場を動かない。

「まだ、何か用があるのか?」

体勢が体勢だけに、みっともないと思いつつも訊ねる。何より早く立ち去って欲しかった。見られたくないのは勿論のこと、もうすぐ総司が戻ってくるはずだ。この状況を見た総司がどういう態度を取るのか分からなくて、それが何より怖かった。

「用ですか? そうですね、あると言えばあるかな。僕、10分前からここに来てたんですよ」
「何……」
「僕が言いたいこと、分かります?」
「……誰かに、」
「言ったりしませんよ。あぁでも、言いたくなっちゃうかもしれませんね」

相も変わらずにこにこしたまま、そいつは恐ろしい事を言ってくる。

「俺に、どうしろと……」
「僕も、斎藤先輩とシたいです」
「何を言って……もうすぐ総司が戻るぞ」
「あぁ、それは無理なんですよ」
「何故そんな事があんたに分かる?」
「土方先生に呼び出された理由を、僕は知っているからです」

そう言えば、俺はその理由を知らない。しかし直接呼び出された総司がすぐに戻ると言ったのだから、こいつの言うことなど信用出来ない。

「あんたが何を知っているのか知らないが、総司はすぐ戻ると言った」

だから、と言葉を続けようとした時には、そいつがもう目の前に来ていた。

「嫌がったところで、どうせ逃げられませんよね」

その男は縛られている俺の腕をちらりと見遣り、嬉しそうに少し笑う。何か言おうと思ったが、その瞬間に露わになっている腰を撫でられ、ビクリと震えて声が出せなかった。
そのままそいつの手が滑るように後ろへと流れていき、総司の出した物で濡れている箇所へと達する。

「あれ、何回やったんですか? 凄いですね」

言われた言葉に羞恥が込み上げた。触れられている手から逃れようと腰を動かすが、その男の手は簡単に追い付きまた触れてくる。

「触るな!」

いま出し得る限りの強い口調で言ってみるが、「無理ですよ」と笑顔で拒絶されてしまった。
どうすれば良いのかと悩んでいる内に、指が俺の中に侵入してくる。総司とは違うその指の感触が気持ち悪くて、最早先輩としての威厳など捨て去り、止めろと何度も叫んだ。
けれど片腕で強く腰を掴まれ、動けない俺の中をその男の指が無遠慮に蹂躙する。

「あ、あ……いや、だ」

意思とは無関係に俺の声は震え、弱々しい抵抗にしかならない。

「嫌? あぁ指だけじゃもう嫌なんですね、後ろ凄いですもん」

それは自分でも分かっていた。つい先程まで総司に散々されていたし、その後の処理もしていない。
今更とは分かっていても、それ以上見られたくなくて改めて止めるよう言った時に、引き抜かれた指の代わりに激しい圧迫が襲ってきた。俺は高い声を上げ、反して後ろからは溜息のような吐息が聞こえてくる。

それから好きなように嬲られて、最初から激しくされる動きについていけずに苦しくなった。

「斎藤先輩、口で嫌がってる割には随分気持ち良さそうですね」

嫌なのに、それは嘘ではないのに身体が痛みから逃れようとする本能からだろうか、いつしか快感を求め俺の腰は揺れている。その腰を後ろの男がしっかりと捕まえ、激しく攻め立ててきた。
出る声が、その突き上げに呼応して震えている。
もう駄目だと思った時に何かに縋りたくて手を動かしたけれど、その先には何も無く結局虚しく空を掴んで俺は果てた。直ぐ後に、俺の中に知らぬ男の熱が広がる。
それからずるりと引き抜かれ、ほっと息を吐いた時にくすりと笑われた。

「まさか、今ので終わりだとでも思ってるんですか?」

簡単にそう告げられて、驚いて振り返るとまた指を突き入れられた。二本同時に入れられ、中を掻き出される。
卑猥な音と共に容赦の無い指の動きに痛みが伴う。

「あ、痛っ、や、だ止め……」

また小さく笑われた。

「斎藤先輩、女の子みたいですね。痛いの嫌なんですか? じゃあ可愛く僕に頼めたら、優しくしてあげてもいいですよ」

当然、言える筈もない。
恐らくそれを見越しての事だったのであろう、大して俺の反応を待たずにまた無理矢理中を掻き出された。

「沖田先輩が随分出してたから、斎藤先輩のナカの感触がよく分かりませんでした」

男は不満そうにそう言って、奥の方にまで指を刺すように突き入れてくる。
やっと抜かれた時には、俺の後ろから脚を伝ってだらだらと多量の液が流れ出ていた。その緩い感覚に、敏感になった身体がぞくぞくする。
下に目を向けると、足元に纏まっている俺の制服に白濁が染み込んでいくのが見えた。どうにもならない現実に、悲しくなる。
その所為で少し気を抜いてしまった俺は、再度の衝撃に悲鳴のような声を上げてしまった。立て続けに激しくされて気を失いそうになるも、俺自身をきつく握られ痛みでそれも叶わない。
それから二度程熱を感じた時だろうか。

「あ、そろそろ沖田先輩が戻ってきちゃうな……」

呟いた少年は、自分の身支度だけを整えた。いい眺めだから離れたくないんですが、と前置きをして。

「僕、そろそろ戻りますね。今廊下に出たら沖田先輩と会っちゃいそうなんで、窓から出ます」

教室に入って来た時と同様の笑顔を浮かべて、彼は俺に会釈をした。苛立ちよりも疲労が勝って俺は何も言えない。早く総司に戻ってきて欲しかった。
すぐに立ち去ると思ったのに、その少年は俺の傍に寄ってくる。何をするつもりなのか。

「この腕の拘束を外したら、沖田先輩どう思いますかね?」
「な、に……」
「だって、いつ外されたかなんて沖田先輩には分からないでしょ? 沖田先輩の居ない時には、斎藤先輩は他の男を受け入れてるって思われるかもしれませんよね」

総司ならそんな事思わない筈だと信じたい、けれど心のどこかで疑われるかもしれないという恐怖が生まれる。
あれだけ外したかった腕の拘束なのに、今の俺はは外さないで欲しいと懇願していた。願いも虚しく、目の前で俺では決して外せない結び目を解かれてしまう。
当然自分で結び直すなど不可能だ。愕然とした俺を見て、南雲のクラスメイトだと名乗った男は漸く窓から出て行った。

程なくして、総司の戻る足音が聞こえてくる――

2010.09.04-12
+アツコ様に捧げます

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