本音


※設定はご自由に


今の状態を説明すると、薫が僕の下にいる。そして――

「あ、あっ、沖……田っ」
「何?」

僕の右手が薫の大事なものを握っている。やわやわと軽く扱くのを続けていたら、とうとう薫に睨まれた。

「もっ……と、強く扱けよ!」

そして偉そうに命令される。
他の子にこんなことを言われたらとても許せないけれど、薫だとこの物言いがまた僕を煽ってくるんだ。

「はいはい、薫は淫乱だからねぇ〜」

くすくすと笑いながらそう告げると、悔しそうな顔をするけど否定はしない。否定はしないけれど、恥ずかしそうに顔を染める。それが堪らない。
この顔が見たいから、僕はいつも最初は緩くしか扱いてやらないのだ。

「お前が……下手な、だけだろっ」

悔し紛れに強がられるけど、僕がいきなり激しく扱き始めると可愛い声で啼く。

「あ、あっ、沖田、沖田……だめ、だめっ、だ……」
「達きそうなの?」

訊くと薫はこくこくと頷く。極まると素直になる。そこも可愛い。でも薫だけ気持ち良いなんて狡いよね。
僕はぎりぎりの所で手を放す。気持ち良過ぎて潤んだ目で僕を見た薫に、

「挿れたいな、だめ?」

と訊けば、薫は絶対断らない。分かってて訊く僕も狡い。
薫は凄く恥ずかしそうな顔をしてから「するなら早くしろよ」と呟いた。僕はまたくすっと笑ってから、扱いていた右手で薫の根元を締め付ける。出せないようにしてから左手で薫の秘所を解していく。
新たな快感に艶を含んだ嬌声が上がって、早く挿れたくなるけれど、薫を焦らしたい気持ちもあるから念入りに解していくのだ。
とうとう薫が我慢の限界を迎えて、ねだってくる。

「は、やく……挿れろよ!」

そして僕等は繋がる。
薫の根元を締め付けたまま動くと、薫は凄く乱れるのだ。普段生意気な薫が素直になるこの瞬間が、僕は堪らなく好きだ。

「あ、やぁ……も、手ぇ、放し……」

僕の右手の戒めが辛過ぎるらしく、薫は解放を求めた。「まだ、もう少しだけ」と言って僕は激しく薫を揺さぶる。
白い喉を反らせて高い声を上げる薫に、僕ももう限界。右手を離して更に激しく動くと、薫が僕の髪を思い切り掴んだ。

「痛っ! ちょっと、髪なんて掴まないでよ」

折角もうすぐ達けそうだったのに、髪を掴まれて動きが止まってしまう。薫に止めるように言うと、潤んだ目で睨まれた。

「お前に抱き着くなんて、俺のプライドが許さないんだよ!」

そう言い返された。え? と訊くと顔を逸らされる。……つまり、本当は僕に抱き着きたいってこと?
髪を掴まれたせいで限界から少し遠ざかっていた僕自身が、また限界を訴え始める。髪から手を離してもらって、僕は屈んで薫に近付いた。

「抱き着いていいよ?」
「ふざけんな!」

この言い方では、薫のお気に召さなかったらしい。

「僕のこと、抱き締めてよ」
「どうしてもっていうならしてやるけど、俺がしたい訳じゃないんだからな」

お願いする形にすれば、強がりながらもきいてくれるようだ。思わず笑ってしまう。
それから薫はおずおずと僕に腕を伸ばし、躊躇うように首に回してくる。僕からも、薫を引き寄せた。そして激しく突き上げる。
耳元で薫の喘ぎ声を聞いてしまえば、簡単に終わりを迎えてしまう。薫もどうやら達したようで、はぁはぁと荒い息を吐きながら僕から腕を離した。
それから薫を見ると、やっぱり。

「薫ってさ、達くと泣くよね? 気持ち良過ぎるの?」

いつも薫は、果てると涙を零している。今日だってやっぱり零していて、その顔がまた可愛くて堪らない。だけど自分では認めたくないらしい。

「お前が下手過ぎて涙が出たんだよ。もっと上手くなれよな」

潤んだ目で睨みながら、弱々しい口調で言ってくる。
「はいはい、ごめんね下手くそで」と言って頭を撫でると、「お前みたいな下手な奴を相手にしてやるのなんか、俺だけなんだからな」と言われてそっぽを向かれた。

「これからも下手くそな僕と付き合って下さいね、薫くん」

と言ったら「馬鹿にするな!」と怒られたけど

「……俺以外とこんなことしたら、殺してやるからな」

と、世にも熱い告白をしてもらえたのだった。


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