ずるい

左之さんが欲しくて、誰にも渡したくなくて、だから俺から誘ったんだ。
それで今こんな事になっているんだけど――

「あ、あ、だめ……左之さん、だめだってば!」

"俺が口でするのに耐えられたら最後までしてやる"と言われて、今、左之さんの口で俺自身を舐(ねぶ)られている。
絶対最後までして欲しくて、最初から凄く気持ち良かったけど必死で耐えていた。
耐えていたけど……

「やだ、もう無理! 無理だってば、左之さん!!」

このままじゃ達かされてしまう、と思って。
今だって信じられない位気持ちよくて、このまま達きたい気持ちもあったけど、
やっぱり左之さんと最後までしたい。
だから左之さんの髪を掴んで、無理矢理俺から引き剥がした。
俺の腕で顔を上げることになった左之さんは、苦笑しながら告げてくる。

「そりゃ反則だろ、平助」
「だって……」

このままじゃ左之さんに口だけで達かされちゃって、そしたら左之さんと最後まで出来なくて……そんなの嫌だったから。
だけど左之さんは俺から離れて

「狡い事したから、ここで終わりな」

そう言って、口でするのすら止められてしまって。
続けて欲しい、って言ったけど駄目だって言われてしまったから、俺は左之さんに縋り付いて
最後までしてくれなくていいから、せめて今だけは俺の傍に居て欲しいって頼み込んだ。
必死な俺に左之さんの気持ちが揺らいだのか、

「ならもう、狡い事すんなよ?」

凄く優しい口調で囁かれて、俺は何度も頷いて。
それからまたさっきの続きをされ……るんだと思ったのに。

「えっ、左之さん?!」

左之さんは俺の後ろに指を這わせてきた。

「最後までしてやるよ」
「な、何で……?」

口でするのに耐えた訳でも無いし、狡い事しちゃったのにどうして?
不思議がる俺に左之さんは凄く優しく微笑んだ。

「最初からそのつもりだったんだよ」

だけど俺が耐える顔も見たかったからつい、と言う左之さんの方がずっと狡いのに。
それでも左之さんが大好きだって気持ちに全然変わりは無くて。
それから時間を掛けて解されてる間に俺は一度達してしまった。

「指だけで達っちまったのか? 感じやすいんだな、平助は」

と笑われたけど、左之さんが巧過ぎるのがいけないんだと言って睨んだら口付けられた。
そりゃ悪かったな、と言う左之さんは凄く意地悪な気がするのに、笑顔は最高に優しくって
もう左之さんにだったら何をされても良いと思った時に、左之さんを挿れられた。

「あぁぁ、やだっ左之さん、狡い……!」
「何だ? 何が狡いってんだよ?」
「あっ、あっ、だって、こんな大きいなんて……」

俺の言葉に左之さんは楽しそうに笑って、

「そんじゃお前の好きにしてやるから、どうして欲しいか言ってみな?」
「そ、んなの……分かんない、よ」
「でもよ、今度は俺が狡い事しちまったんだろ? お詫びだよ」

左之さんはどこまでも狡い。
どうせ俺が何も頼めない事なんてお見通しのくせに、こんな事……

「さ、左之さんの、好きにして、欲しい」

俺の返事を聞いた左之さんはしょうがねぇな、と言いながらいきなり激しく動いてきた。

「あぁぁぁぁ、やぁ、だめ! 左之さん、だめっ!」

余りの激しさに、身体に気持ちが付いていかなくて。
おかしくなっちゃいそうで、大きな声を出してだめって言ったのに、一度動きを止めた左之さんは

「俺の好きにして欲しいって言ったのは平助だろ? 駄目ってんなら、どうして欲しいか言ってみな?」

そう言われたらやっぱり答えられなくて、困った顔をした俺に

「無いなら、しょうがねぇよな?」

と言ってまた激しく突き上げられた。
当たるだけで声が高くなってしまう場所を見付けられ、そこを狙って突いてくる左之さんはやっぱり狡い。
気持ち良くて、良過ぎて、息がまともに出来なくて苦しくなって、左之さんに抱き着いてとうとう俺は達した。
それを見た左之さんは今度は俺の身体を横向きにして、片脚を持ち上げ突き上げてきた。

「あぁぁ、んぁ、あっ、あ、左之さん、左之さん・・あ、気持ち、いっ、いい、あぁぁ」

左之さんと繋がっていられる事が凄く凄く嬉しくて。
だから気持ち良いって事、ちゃんと伝えなきゃって思った。
それで喘ぐ合間に頑張って伝えたのに、それには左之さんは何も答えてくれなくて
少し切ない気持ちになった時、左之さんが熱い息を吐いて俺の中で果てた。
左之さんもちゃんと気持ち良くなってくれたんだ、って思ったら凄く嬉しくなって

「もっとして……」

頼んだら、しょうがねぇなと言いながら今度はうつ伏せにされて腰を持ち上げられ後ろから激しく突かれる。
さっきまでとはまた違った刺激がやっぱり気持ち良くて、声を上げ過ぎて最後はとうとう声が出なくなってしまったけれど
俺の声が出なくなってからも、左之さんの膝に乗せられてその後三回は達かされて、声どころか意識までなくしそうになった時に

「好きだぜ、平助」

と言われたような気がする。



*拍手ログ@掲載期間 *
2010年04月25日 - 2010年06月17日

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