僕は結構何でも言えるタイプで、特に恥ずかしいと思うこともない。
だから自分の思ってる事を我慢したりする子とか、正直言って信じられない。
それから僕は、よくモテる。
女の子に不自由した事なんて一度もないし、男もそれなりに。
ここら辺の観念は随分緩い方だと思うけど、人生楽しまないと損だと思うし。
勿論、友達もいっぱいいる。
僕にとってはそんなの、当たり前の生活だった。
今日も講義が終わった後は、大学の教室でダラダラ喋っている。
今夜はどこに飲みに行くかとか、週末はどこどこに行こうだとか、話の内容もいつも通りだった。
違ったのは一つだけ。
「沖田というのはお前か」
僕等の輪の外から、声を掛けてきた男の子が居た事。
「沖田は僕だけど、何?」
その子の瞳は深い蒼に見えた。
とても綺麗だなって思った僕は、素直にその気持ちを笑顔で口にした。これもいつものこと。
大体僕が褒めると言われた相手は男女問わずに照れて喜ぶんだけど、この子は違った。
「そんな事を言われても嬉しくはない」
僕が思わず褒めてしまったその綺麗な瞳を真っ直ぐ僕に向けて、きっぱりと言い放ったんだ。
「それより教授が呼んでいる、早く行け」
そう冷たく言って、さっさと教室から出て行こうとする。
僕は途端にこの子に夢中になった。だって初めての生き物だったから。僕に関心を持たない人間がいるなんて…
「待ってよ!」
彼の肩を掴んで振り向かせた。
「教授ってどの教授?」
「あ……そうだったな、すまない。呼んでいるのは土方教授だ」
「そうなんだ。で、その土方教授はどこに居るの?」
「教授室に居る筈だが」
「筈、って事は確実に居るかは分からないんだよね? 面倒だな、行くの止めようかな」
「それでは俺が困る」
「何で?」
「俺が頼まれたからだ」
「君が連れてってくれるって言うなら、行ってあげてもいいんだけど?」
「……わかった、教授に会えるまで俺も付き合おう」
こうして僕は名前も知らない男の子と、その顔を思い出すだけでもうんざりしてくる土方教授を探す為に、構内を一緒に歩くことになった。
結局僕の思い通りに進んでいる感じ。これもいつも通りだ。
彼の横を歩きながら、僕は空いてる教室を探していた。"どうやってこの子を頂こう"――それだけを考えて。
「ねぇ、そう言えば君の名前は?」
「斎藤一だ」
「そう、一君って言うんだ。ところでさ、土方教授ってよくあの備品室に居るみたいだけど、覗いてみる?」
「何故文学担当の教授があんな場所に居るのだ」
意味が分からないという口調で一君は僕に聞いてきたけど、勿論文学の先生はこんな場所に用なんて無いよ。用があるのは僕の方。
「さぁ? あの教授、ちょっとおかしいからね」
そう言いながら、一緒に入った。それとなく一君を先に入らせて、後から入った僕は鍵を閉める。その音に驚いた一君がこちらを振り返った。
「何をして……ンッ」
彼が驚いた隙をついて、早速唇を奪った。
突然の事で一君の方は多分何をされているのか分かってないだろうけど、僕にはその唇を存分に味わう余裕がある。
舌を入れようかな、と思った矢先に肩を強く押されて唇が離れてしまった。
「痛いなぁ。顔の割に乱暴なんだね、一君て」
「な、何を……」
唇を押さえながら驚いた目を僕に向ける一君は、綺麗というより可愛くて。
益々僕は彼が欲しくなってしまった。
「え? キスだけど、知らないの?」
ちょっと馬鹿にした口調で言ってみれば、彼は綺麗な目で僕を睨み付ける。
「そういう事を言っている訳ではない! 俺が言いたいのは……」
最後まで言い終わらぬ内に、狭いその部屋の奥に一君を押しやった。
彼があんまりにも可愛いかったから、勢いがついてしまったのはしょうが無いと思う。
逃げ場を奪って、服の上から一君自身を握ってみた。
「や、やめろっ、何を……」
突然そんな場所に触られた一君は、僕の腕を掴んで外そうとしたようだけれど、抵抗と呼べるような抵抗はしてこない。と言うより、どうして良いものか反応に困ってる感じだ。
まぁ、僕には都合が良いだけだけど。
「何って、君みたいな綺麗な子に、やる事は一つだよね?」
いつも通りの笑顔でこう言って、握っていただけの一君のものを軽く揉みしだく。
ビクリと一君が反応する。その隙をついて空いてる方の手を、一君の上着の中に差し入れた。
胸も反応していて、僕の指が突起に行き着き、そちらも軽くこねる。
「……っ、止めっ」
流石に一君が抵抗を始める。でも残念だけど、もう遅いよ。
「ふぅん、止めて良いの? 随分反応しちゃってるみたいだけど?」
そう、一君のはなかなか良い具合に変化を示していて、もう服の上から触るだけでは可哀相なくらい。
「気持ち良くしてあげるよ」
胸を弄っていた方の手で僕は一君の抵抗する両手を掴んで持ち上げ、壁に押し付けた。
そして一君を揉んでた手を直接差し入れ、今度は直に一君を触る。すぐに先走りが僕の指に絡んできた。
「あれ? 嫌がってるのは口だけなんだね」
少し揶揄ってみると、直接自身を弄られて息苦しそうにしながらも一君が質問してきた。
「あ、あんたは……、誰とでもこんな事を、、するのかっ」
「誰とでもって訳じゃないけど、まぁ経験は多い方かな」
答えながら、もう抵抗を止めたらしい一君の服と下着を一気に脱がせた。
露わになった下半身に僕は俄かに欲情する。
本当は、一度一君を達かせてから後ろを弄るつもりだったけど、それはもう出来そうになかった。
鈴口から流れる先走りを指にたっぷり絡め取り、後孔に早速触れてみる。
大人しくしていた一君が、流石に驚き身体を大きく震わせた。
「どこを触って……」
「え? 触らなくて良いの? いきなり挿れたら、君が辛いんじゃない?」
「な、何をいれる気だ」
「何って……」
これには僕が驚いた。
まさか本当に何されるか分からないなんて、そんな事があるはず無い。
あぁ、わざと言ってるのかな? でももしかして、と思って一君に僕自身を見せる。
「何って、コレだけど?」
「そんな……そんなもの、入る訳が無い……」
それを見た一君は目を見開いて、心底驚いた口調で言ってくるから、僕もまた驚いた。
「ねぇ、それ本気で言ってるの?」
「当たり前だ! それより……」
「え、何?」
恐らく男に襲われるなんて初めだろうに、それでも怯えるだけじゃない一君の反応を不思議に思う。
そうは思いながらも、僕はまた一君の後孔に触れた。もう指を入れよう、と思った所で「何でそうなっているんだ」とよく分からない質問を受けた。
「何のこと?」
「だ、だから、、あんたのソレは、何故そんな反応しているんだ」
「あぁこれ? 綺麗な子と2人きり……自然な現象じゃない?」
「あんたはそんな簡単にこんな事をするのか!」
「だって気持ち良くなりたいし、男なら当たり前じゃない?」
「俺には、分からない……」
こんな状況下にも関わらず、一君は僕の方が怯む位に凜とした口調と態度でその綺麗な瞳を向けて言ってくる。
こんな子、本当に初めてだ。
「ふぅん、でも僕はしたいな。お喋りしてたらいつまでも終わらないよね」
そう言って僕は一度一君の両手を押し付けている力を緩めたけれど、即座に一君を後ろ向きにさせてまた両手を壁に縫い付ける。
それからいきなり指を2本、一君の後孔に差し入れた。
「もう黙っててね」
「あっ、何を……」
「黙っててって言ったでしょ? もう何を言われても最後までするから」
「……っ」
正直な話、早く挿れたくて堪らなかった。
この綺麗な子はどんな声で啼くんだろかと、それを思うだけで震えそうになる。
入れている2本の指を素早く動かすと、すぐにグチュグチュと卑猥な音が聞こえ出した。
最初はキツかったけど、どんどん指通りが良くなったから指を3本に増やした。これもキツイのは最初だけで、中を掻き回すように動かすと備品室に卑猥な音が木霊する。
一君はと言うと抵抗もしないし、さっき僕が黙るように言ったのを素直に聞いてか、もう何も言わない……声も、出してはくれないけど。
でも壁側を向かせた顔の、表情こそ読み取れないけど耳が赤く染まっ ているのは見て取れて、どうやら恥ずかしがってはいるみたい。
そんな可愛い反応に気付いて、予告無く指を4本に増やしてみる。
「……っ」
流石に一瞬苦しそうに息をしたけど、一君の後ろの口はすぐに4本目も受け入れる。
何度かの注挿を繰り返してから、勢い良く指を引き抜き間髪入れずに今度は僕自身を捩込んだ。流石の一君も、いきなりの質量による圧迫で声を上げた。
「もう、声出してもいいよ、いっぱい感じて?」
「だ、誰が、、俺は、感じたりなど、、しない……」
「ふぅん、本当かな?」
強がる一君に、僕は遠慮無く一気に突き上げる。そこで一旦止まり、一君自身を弄る。
「やめっ、触るな……!」
一君自身は今にも爆発しそうな質量になっていて、先走りがもう一君自身を淫らに包み滑りが良くなっていた。
「あれ? もうこんなにして……なんだ、実はイヤラシイんだね」
「違っ……」
目を少し潤ませながらこちらを向いて反論しようとする一君の顔は、僕が今迄見た誰よりも扇情的でいつもと違う興奮を感じる。
「分かった、触るの止めるよ。一君は後ろだけでイけるってことだよね?」
「……っ」
「ねぇ、そういう子を何て言うか知ってる?」
「知らな……」
「淫乱って言うんだよ」
くすっと笑って揶揄うと、一君は先程よりも顔を赤くして壁際を向いて俯いてしまった。
「もう、動くよ?」
本当はもっと苛めながらその反応を楽しんで、余裕で攻めるつもりだったのに、何だか我慢がきかなかくなって最初から激しく攻め立ててしまった。
一君といると、どうも僕はいつも通りでいられない。
僕が腰を穿つ度に僕らがぶつかり合う音が響いて、それにすら僕は興奮してしまった程だ。こんなことは初めてだった。
信じられないくらい気持良くて、何度も激しく突き上げた。
でも、一君は声を出してくれない。
けどそんな事を気にする余裕もなく、僕は後ろからひたすら攻め続ける。
一君の中は凄くキツくて、それなのに僕を絡めるように受け入れていて、余りの気持ち良さに僕はもう達してしまいそうになった。
駄目だ、これじゃ早いと思われちゃう。
落ち着く為に一度止まって、一君の首筋を舐め上げた。
すると元々ギリギリで入っている僕自身を一君が具合良く締め付けるから、僕は落ち着くどころか危なくなる。
仕方ないのでまた腰を打ちつけ始めたら、一君が極まっていた。それまで一言も発しなかった一君がいきなり色っぽい声を出すから、僕も煽られてしまう。
「いいよ、一緒にイこう」
僕は一層激しく一君を攻め立てる。
すぐさま一君が壁に欲を吐き出して、少し後に僕も一君の中に欲を吐き出した。
一君の中に入れたまま、空いてる方の手で一君を後ろから抱き締める。
その格好で息を調えていると、一君の息がとても荒くなっているのを感じた。この綺麗な子が僕で感じていたのかと思うと、今終わったばかりなのにまた興奮してしまう。
でも連日遊んでいる僕の身体は、2回目に突入出来そうになかった。
「一君、これから抜くから、力を入れておかないと駄目だよ? そうじゃないと僕のが出てきちゃうからね」
そう言って、ゆっくりと一君の中から僕を引き抜いていく。
一君は返事こそしなかったけど、やっぱり僕の言う事は素直に聞いて、後ろの口を締めようと下半身に力を入れるのが分かった。
それから後始末をしようと少し後ろにズレた時、一君から脱がせた服の後ろポケットから携帯がはみ出しているのが目に入る。
その携帯の横に、小さい銀色の物が見えた。
ストラップかと思ったけれど、僕はそれに見覚えがあった。
――土方教授の、教授室の鍵だ。
何故僕がそんな事を知っているかと言うと、僕は教授と関係があったから。
初めて見た時から気に食わない面をしていたから、教授の授業は全然出なかった。
代返も頼まなかったし提出物も何も出さないでいたら、単位がどうとかで呼び出されて、遊んで授業に出なかったと言ったらお仕置きだと言って僕を無理矢理抱いて来た。
ムカツクけど、これが巧くて。
元々そういう事をするのに頓着の無い僕は、それから数ヶ月程教授と関係を持っていた。
その間、教授からは教授室の鍵を渡されていて、僕の気が向いた時に相手をさせていた。先日「もう飽きた」と言って返したばかりなんだけど。
その鍵が、一君のポケットに入っている……これはつまり、今は一君が教授と関係しているってこと?
自分でもビックリしたけど、何かどす黒いものが僕の胸の中を覆うのを感じた。
僕は自分に自信があったし、恥ずかしいと思うような事もないから何でも言えるタイプの人間なんだ。
だから今も、本当は一君に「僕と付き合おう」って言うつもりだった。僕が振られるなんて微塵も思っていなかったし。
でも、もう一君は教授と付き合ってたんだ……教授が今日僕を呼び出したのも、それを一君に頼んだのも、きっと「素敵な恋人が出来た」って自慢する気だったんだ。やっぱりあの男は気に食わない。
腹が立った。
何に腹を立てているのか自分でも分からなかったけれど、無性に苛ついて僕は自分の携帯を取り出し、僕に襲われた一君をカメラで写した。
シャッター音に一君が振り返る。振り返った所も一枚収めた。
「何を……!」
今日、一番の慌てようを見せた一君に僕は言う。
「この写真、バラ撒かれたくなかったら、これからずっと僕の相手をして」
違う。本当はこんな事が言いたいんじゃない。
「君も、気持ち良かったでしょ?」
そう言って、いつも通りの笑顔を作ってしまう僕。
そうじゃないんだ、付き合ってって言いたい。僕のものになって欲しい。他の誰にも渡したくない。
……なのに、言えない。
この日、僕は突然振られるのが怖くなった。
この綺麗な瞳に拒絶されるのが怖くなった。
どんな形でも繋がりが欲しくなった。
こんな気持ち、初めてで。
嫉妬をしたのも初めてで。
何でも言えた筈なのに、
今日から僕はうそつきになった。. .