桜の庭で君を待つ
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桜の庭で君を待つ
三木×相馬でR-18。ハッピーエンド。

第一話:始まり
第二話:桜のある家
◆幕間:秘密の行為
第三話:露呈した真実
第四話:明くる日
第五話:昼の狂い人
◆幕間:秘密の恋
第六話:待ち人来たらず
最終話:桜の庭で君を待つ

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第一話:始まり
 三木くんが羅刹になり、匿われるまで。

第二話:桜のある家
 匿われた家で、羅刹としての苦悩をする三木くん。

幕 間:秘密の行為
 家を借りる為に男達にやられてる相馬。(相馬視点)

第三話:露呈した真実
 恐怖で憔悴する三木くんが、相馬の所業を知って激怒する。

第四話:明くる日
 相馬が来るのが昼になり、相馬がまだ隠してる事があるような感じ。

第五話:昼の狂い人
 優しくなっていくけど、相馬を待つ自分は狂ってしまったのではないかと恐怖する三木くん。

幕 間:秘密の恋
 三木をどんどん好きになってしまって辛過ぎる相馬。(相馬視点)

第六話:待ち人来たらず
 相馬が来なくなる。

最終話:桜の庭で君を待つ
 ハッピーエンド

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第一話:始まり
 三木くんが羅刹になり、匿われるまで。


・なかなか寝付けなかった三木が廊下に出ると、真夜中なのに食事を運ぶ相馬を見付ける
・相馬は山南さんのお世話の為に移動中だった
・怪しんだ三木が相馬の後を付け、羅刹隊の居る部屋に入ってしまう
・変若水の容器にヒビが入った為、偶々酒瓶に入れられていた変若水を三木が間違えて飲む(寝つきが良くなるかと思った)
・三木→羅刹化→「兄貴に…嫌われちまう…絶対に嫌だ!」→出て行こうとする三木を引き留める相馬「変若水の効果について説明するので待って下さい!」
※人間よりちょっと強くなる薬だと説明
・庭に桜の木が生えている家に匿う


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第二話:桜のある家
 匿われた家で、羅刹としての苦悩をする三木くん。


・その家を借りる為に、男に身体を弄ばれる相馬。月1で。その日は三木の元に行かない。勿論最初は、三木はそんな事知らない。
・昼が辛過ぎて夜に様子を見に来る相馬に苛々して八つ当たりする
・「女を寄越せ、居ないなら攫って来いよ!」→「治安を守る筈の新選組が、そんな事しちゃ駄目です!・・・俺が、代わりをしますから」→「男なんかに興味ねぇんだよ!」→「では、目を瞑って下さい。俺がしますから…」(Fを)
・目を瞑らないで見てたら案外興奮して、相馬に手を出す。意外にも良くて、次からは相馬を相手にする。中には出さない。
・その内に血が欲しくなる→我慢出来ずに相馬に噛み付く→落ち着いてから人間じゃなくなった自分に恐怖する→慰めてくる相馬に縋る
※血に飢えるようになって、「てめぇ人間より強くなるって言ったじゃねぇか!」「なってます、なってるんです」「どこがだよ!理性が負けるような欲求が起きるなんて、よっぽど弱ぇだろうが!」「三木さんは、負けてないです」
※「俺は人間だ、俺は人間なんだ!!」と嘆く三木と、「そうです、三木さんは人間ですよ」と宥める相馬


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幕 間:秘密の行為
 家を借りる為に男達にやられてる相馬。(相馬視点)


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第三話:露呈した真実
 恐怖で憔悴する三木くんが、相馬の所業を知って激怒する。


・人でなくなっていく自分、という恐怖に日々憔悴していく。相馬が来るのが楽しみになる。
・心を開いたタイミングで、相馬が他の男に抱かれている事を知って激怒。(キスマークでバレた)中には出さないでいてやったのに、他の奴等には何されても平気だったのかよ!
・平気な訳無い。でも三木さんを匿う家が必要だから、この家を借りる為にやったんです!
・俺の為?何が俺の為だ、てめぇらが俺を隠しときたかっただけだろ!自分の為じゃねぇか!恩着せがましい事言いやがって!・・・あぁ、俺の為に何でも出来るんなら、俺自身がお前に何したって良いんだよな?!→朝までに屯所に戻らないと…→うるせぇんだよ、大人しくしろ
・そのまんまの姿で帰れば、夜中に居なかった事も別に咎められねぇだろ?襲われてましたって言えば、鬼の副長だって優しくしてくれんじゃねぇの?だからそのまま帰れよ。
・もう相馬は来ないかもしれない


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第四話:明くる日
 相馬が来るのが昼になり、相馬がまだ隠してる事があるような感じ。


・でも1日空けた次の日の、今度は昼に来る(夜の外出は副長に止められた)
・何で来たんだよ→三木さんを、人に戻すまで俺は来ない訳にはいきませんから→もう戻れねぇだろ→諦めないで下さい→戻ったって、俺がお前の血を吸った事実は変わらねぇだろ!今だって、抑えるのに必死なんだ。顔見せんじゃねぇよ→血が欲しいなら吸って下さい→ふざけんな→お願いします、三木さんに生きててもらいたいんです→何でだよ→それは・・・→どうせ責任感じてるから言ってるだけだろ?俺が生きてりゃ、お前の罪悪感がちょっとは減るもんな→違います!→何が違うんだよ!→・・・まだ、言えません
※衆道の集団に襲われたと言っている。→何で俺にされたって言わなかった?→三木さんに襲われたなんて言ったら、貴方が狂ってしまったと思われるから・・・狂ってしまったと判断されたら、殺されてしまいます。
・昼にしか来られなくなってしまってすみません→別に、俺の所為でもあるからな。→食べ物、ここに置いておきます。あと、あの、血が欲しければ言って下さい(首筋を出す)→それを見て「血よりお前が欲しいんだけど」→・・・→何だよ、駄目なのか?→俺の身体は、汚れてますから・・・→俺の為だったんだろ?→その、つもりでしたけど→訂正してやるよ、お前は汚くなんかねぇよ。この間は悪かったな→何で…、何でそんな事言うんですか?!(※相馬は三木が好き)止めて下さい、優しくなんかしないで下さい、俺は、俺は・・・汚れてるんです→どこがだよ?→身体じゃなくて、いや、身体もですけど、心が・・・→そうは見えねぇけどな。で?本当に駄目なのか?まぁ昼間だからそこまで動けねぇけど、お前だってそっちの方が助かるよな?(相馬を抱き寄せる)→ちょっとだけ抵抗するけど、直ぐに大人しくなる相馬


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第五話:昼の狂い人
 優しくなっていくけど、相馬を待つ自分は狂ってしまったのではないかと恐怖する三木くん。


・この日から、ちょっとずつ相馬に優しくなる三木
・どんどん三木を好きになって辛い相馬
・相馬が気持ち良い事をし始める三木、気持ち良いのか確認する→止めて下さい…→何だよ、痛ぇのか?→違います、俺なんかに優しくしないで下さい→俺がしたい事をしてるだけだ、別に良いだろ?優しくしてる訳じゃねぇよ→酷くして下さい→したくねぇよ→
・桜の季節が近づいてきた→咲いたら一緒に見るか→はい、見たいです・・・→なら約束な。(指切り)
・俺は、狂っちまったのかもしれない…→何かあったんですか?→昼が辛い。起き上がるのも、目を開けてるのすら辛いんだ。→知ってます…→それなのに、毎日昼が待ち遠しい。なぁ、俺は狂ってるか?→待ち遠しいというのは、何故なんですか?→三木、黙る→三木さん…?→お前が、、、→俺?俺が、どうかしましたか?→お前が、来るからだ→え・・・→お前が来るのが昼間だから、昼が来るのが待ち遠しいんだ。


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幕 間:秘密の恋
 三木をどんどん好きになってしまって辛過ぎる相馬。(相馬視点)


三木が優しくなってきたのが辛い。
思い出す、三木を好きになった日の事を。あの日は良い天気で、外の掃除をしていたら廊下に伊東さんと三木さんが出ていた。二人は何事か話した後に笑い合って、三木さんが本当に優しそうに笑っていたんだ。
あの顔を見た瞬間、俺は落ちていた。あの日から、三木さんしか見えなくなっていた。でも好かれたかった訳じゃない、一方的に想っているだけで良かったんだ。
だってあの笑顔は伊東さんに向けられたものだから。三木さんをあんな笑顔にさせられるのは、伊東さんだけだから。
初めて誰かを羨ましいと思った。伊東さんになりたいと、強く思った。
けれどその笑顔すら、変若水で奪ってしまった。俺の不注意で、あんな場所にあんな容器に入れて置いておいたから…俺の所為だ。三木さんからあの笑顔を奪ったのは、他でもない俺なんだ。俺は、一生を懸けて償わなければならない。なのに優しくされて嬉しいと思ってしまった。とうとう三木さんは、俺を待ち遠しいと言い始めた。でもそれは本当の気持ちじゃない。三木さんが会えるのが俺だけだから、勘違いをしているんだ。こんなのは良くない事だし、俺のやっている事は卑怯者と同じだ。
離れなくちゃいけない、三木さんには三木さんの幸せを見付けてもらわないといけない・・・もう、会えない。

おじさんにカマを掛ける?
「あなたの妻が、今どこに居るのか、俺は知っています」
「妻は亡くなったと言っただろう?」
彼はまだ余裕の表情だった。けれど直ぐその表情を崩してやる。
「生きているとは言ってませんよ、あなたの妻だった人が・・・あなたの妻だった人の遺体が今どこにあるのか、俺は知っていると言ってるんだ」
彼から表情が消えた。
怒っているのか怯えているのか、それは分からないけれど言葉を止める気は無かった。
「あなたの奥さんが亡くなった年に桜が咲いたと俺は聞いていたのに、どうして気付かなかったのか自分でも呆れるけれど、それが答えだったんだな。あんたの奥さんは、あの桜の木の下に埋められているんだ!」
おじさんが、息を飲んだ。
ぱくっと口を開いたけれど、何も言わずにまた閉じる。
ややあって彼は引きつった笑いを浮かべた。
「面白い考えだけれど、所詮は君の妄想に過ぎない」
「あんたは忘れているみたいだけど、俺は今新選組に入っているんだ。治安維持を理由に、桜の木の下を掘り返す事だって出来るんだからな」
「・・・やってみるがいい、死体が出てきたところで、それが私の妻だという保証は出来ないだろう?もう一年も経っている。出てきたところで、骨だけだろうよ」
「服を脱がせたのか?」
「何?」
「奥さんから、服を脱がせて埋めたのか?いいや、あんたはそんな事はしない。あんたは女性に興味が無いんじゃなくて、嫌いなんだ。だから必要以上に触りたくなんかなかった筈だ。着物を着せたまま埋めただろう。遺体が骨だけになっていたとしても、着物の刀傷から犯人は特定出来る筈だ」
「・・・・・・何が望みだ?」
「俺に手を出すな」

死体の事は黙っている、その代わりに家は貸せ、と迫る。


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第六話:待ち人来たらず
 相馬が来なくなる。


・次の日から相馬が来なくなる。代わりに千鶴が食べ物を持ってくる。相馬くんは、山南さんと一緒に羅刹の研究をしています。
・どうでもいい、俺はもう戻れなくていいから早く相馬に会いたい。そう伝えてくれ。→分かりました
・それでも相馬が来ない。もう桜が咲き始めた。
・昼は辛いのに、相馬が来るかもしれないから庭の見える場所で待つ。毎日毎日。だけど来るのは千鶴だけ。


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最終話:桜の庭で君を待つ
 ハッピーエンド


・桜が満開を過ぎた日に、相馬がやって来る。→あの小姓に伝言頼んでおいたけど、ちゃんと聞いたのか?→はい、聞いてます。俺を、待っててくれたんですよね。→聞いてたなら何で来なかったんだ?→怖かったからです。→怖い?何がだよ、俺はお前の血だって極力吸わねぇようにしてただろ?あの日以外、無理矢理抱いてもいねぇし→三木さんの行動が怖かった訳じゃありません。→はぁ?だったら何が怖いってんだ?→これ以上、貴方を好きになってしまうのが怖かったんです→・・・・→分かってます、こんな事言われても三木さんだって困りますよね。
ただ、俺は貴方が羅刹になった時、貴方のお世話をする事で、貴方を独り占め出来るかもしれないと思ってしまったんです。
→独り占め・・・?
→以前、俺の心が汚いって言ったの、覚えてますか?
俺はずっと・・・ずっと、貴方と二人きりで会えるのが嬉しくて堪らなかったんです。貴方が苦しんでるのを目の前で見ていたのに、知っていたのに、それでも喜んでしまいました・・・
最近は三木さんがどんどん優しくなるから、立場を利用して付け入ってる自分が余りにも醜くて嫌になったんです。合わせる顔が無いと、思いました。それでずっと雪村先輩に代わってもらってました。→羅刹の研究をしてるって聞いたが?→それもしてました、でも俺には研究なんていう事は出来なくて、結局山南さんのお手伝いをしてただけです。→で?何か分かったのかよ?→綺麗な水が、少し効果があるそうです→水?→はい、でも飲んだからと言って羅刹じゃなくなる訳じゃないみたいで、まだ元に戻る方法は分かってません→そうかよ。そんで、お前の言いたい事は全部か?→いえ、まだあります→何だ→山南さんの存在がバレて、伊東さん達が新選組を出て行きました。行先は分かっています、もし三木さんが会いたいと言うならその場所を・・・
言い掛けてる途中で相馬をきつく抱き締める三木。
何故と驚く相馬に、「兄貴の事なんていいから」「でも、お兄さんに会いたいですよね?羅刹の事はもう知られてますから、お兄さんに会いに行っても大丈夫だと思いますよ」

(修正)

俺の言葉に、相馬が驚いたように目を瞠る。
こいつはいつだって真っ直ぐに俺を見るから、この目に嘘は吐きたくない。だから俺は、本音を伝えた。

「俺は、兄貴よりもお前と一緒に居たいんだよ」

相馬の顔が赤くなり、その後泣きそうな顔になった。三木さん、と呼ぶ声が震えている。
泣くなよ、と言ったら涙目の相馬が「だって、」と呟く。

「三木さんが、俺に笑いかけてくれるなんて思ってませんでしたから」

ずっとずっと貴方が好きだったんです、そう言った相馬の声が滲んでいた。

「おい、泣くな。泣き止めよ、泣かせたくて言った訳じゃねぇんだぞ」
「ごめんなさい、でも、でも三木さんが・・・」
「いいから笑えよ、ほら、一緒に桜見るって約束しただろ?顔上げて、桜見ろよ。満開は過ぎちまったけど、まだ綺麗に咲いてるだろ?」

俺の言葉に素直に相馬が目を上げる。俺より先にある桜を見て、はい、綺麗ですと言って少しだけ微笑んだ。
その表情に、嬉しいような、でも苦しいような複雑な想いが湧いてくる。こんな感情初めてで、俺自身が戸惑ってしまう。

あぁ、これが好きって事なのか?
だったら相馬は毎日俺にこんな気持ちで接してたのか?何度も八つ当たりをしたし、酷い事だってしたのに、お前はまだ俺に笑いかけてくれるんだな。

「相馬・・・」
「何ですか?」

呼び掛ければ、また真っ直ぐな視線が俺を捉える。

「この先ずっと、俺は何回でもお前に笑いかけてやるからな」

そう言うとまた相馬は泣きそうな顔をする。違うんだ、相馬。俺が見たいのはそんな顔じゃない。

「だからお前も、もっと笑えよ」

言いながら口付けた。どうせこいつは泣くだろうから、その涙毎俺が攫ってしまえばいい。

春風が俺達を撫でて行く。
揺らいだ俺の髪が今蒼いのか白いのか、目を瞑っているから分からなかったけれど、もうどっちだって良かった。
どんな姿になっていようと、どんな未来が待っていようと、明日もまた、桜の咲くこの庭で、俺はお前を待っているから。


*****

(元)
「そりゃ、会いたくねぇ訳じゃねぇけど、でもよ、俺がずっと普通で居られると思うか?」「・・・・すみません、配慮が足りませんでした」「違う、謝らせたかった訳じゃねぇよ。そうじゃなくて、俺はお前以外の血が飲めねぇだろ?」「それは、その・・・」「血だけの話じゃねぇ。お前が居ないと、俺は人に戻れないんだ…お前に会ってる時だけ俺は優しくなれる、お前が隣に居る時だけ景色が見たくなる、お前が・・・お前が、居ないと、俺は…」
俺の言葉に、相馬が驚いたように目を瞠る。
こいつはいつだって真っ直ぐに俺を見るから、この目に嘘は吐きたくない。だから俺は、本音を伝えた。

「俺は、兄貴よりもお前と一緒に居たいんだよ」

相馬の顔が赤くなり、その後泣きそうな顔になった。三木さん、と呼ぶ声が震えている。
泣くなよ、と言ったら涙目の相馬が「だって、」と返した。

「三木さんが笑った顔、久し振りに見られましたから」

そう言って、相馬の方が幸せそうに微笑んだ。


(終)

2016.XX.XX






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(最初の下書き)

それは、酷く寝付きの悪い夜だった。
何度も寝返りを打ち、つまらない事を考えて眠くなるのを待ったけれど、残念ながら効果は無かった。
仕方ない、少し外の空気を吸うか。そう思って、俺は部屋を静かに出た。

当然だが、誰も居ない。灯りは外の見張りの奴等が使ってる火と、月の光くらいだ。
ほぼ暗闇に近いその中で、蠢く影が見えた気がした。
驚いて近寄ってみる。


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幕間の2の最初の下書き;)

その人は、実際家を幾つも持っていた。
小屋のような小さな家から、広い敷地のものまで。
けれどそこに住まわせてもらえるのは「少年」だけなのだ。

彼は身寄りの無い子や行き場の無い子達を言葉巧みに誘い込み、家を提供する代わりに少年達を好きにしているらしい。
とは言え人が好さそうに見えたのもあながち間違いではなく、酷い事――例えば、暴力や犯罪教唆等――はしておらず、ただ時間を掛けて彼等を心身共に我が物にしている、という事を知ってしまった。

知った理由は、以前ある藩で出会った一人の青年だ。
俺が新選組に入った後、その青年と偶然町で擦れ違って少し話をした事があった。その時に聞かされたのだ。
最初はあのおじさんの話だとは思わなかったけれど、「町外れに桜の庭のある家を作っていた」と言われて、あの人だと分かった。

彼は数年程そのおじさんの元に居たと言う。けれど彼が愛でるのは「少年」に限るそうで、成長と共に可愛がられなくなると言っていた。

不思議だったのは、その青年が全くおじさんを恨んでいない事だった。
俺だったら、好き勝手に自分の時間を弄ばれて、飽きたら捨てられるだなんて御免だけれど、一緒に過ごすとまた違うのだろうか。

分からない。それ以前に、知りたくも無かった。
その話を聞いた時には、俺はその人を軽蔑すらしていた。なのに、まさか今になって頼る事になってしまうとは・・・
そしてこうなった今、心配なのは俺が「少年」に分類されるかどうかだ。
こんな心配をしている自分が嫌になる。

けれど一年前の俺には興味を示していたようだったし、あの時肩を抱かれたような気がしたのはきっと気のせいじゃない。
あの頃から俺の見た目は然程変わっていない筈だ、だから恐らく大丈夫だろう―――三木さんを羅刹にしてしまったのは俺の所為なのだから、家を借りる為に何を要求されても俺は飲むしかない。

そうして夜分遅くに訪れた例のおじさんは、俺を見るなり相好を崩して「家が必要になったのかね」と俺の手を取った。




案の定、お金は要求されなかった。
ただ俺の姿を見て、「そう長くは貸せないかもしれないな」と言われて怖くなった。俺はそんなに成長していたのだろうか。
だが他にあては無い。この人から家を借りられなくなったら、もう三木さんを匿えなくなってしまう。どうしよう、どうしたらいい・・・不安そうな顔をした俺の肩に、おじさんの手が乗せられた。

「まぁそんな心配しなくとも、当分は貸してあげるから」

その手が俺の背に回されて、そのまま抱き寄せられた。
聞いた話では、彼は時間を掛けると言われていたけれど――そうか、俺が成長しているから、青年になりきる前に俺を手に出す気なんだ。

嫌だ―――

本能が拒絶する。
けれど俺に嫌がる権利は無い。三木さんへの責任を取らなくてはいけないのだから。

この夜は、身体を触られるだけで終わった。俺は早く屯所に戻らなければいけなかったし、その事は伝えてあった。
偏愛ではあるけれど、余裕が無い訳でもないのだろう。無理な事は言われなかった。
ただ「また明日来るように」と言われたので、頷いて帰った。

屯所へ戻る道すがら、彼が言っていた「亡くなった妻」の事を考える。
彼には本当に「妻」が居たのだろうか。
もし居たのだとしたら、彼の性癖を知っていたのだろうか。知らずに結婚をして、知ったから命を絶ったのでは?
いや、病気かもしれないじゃないか。
何も知らずに居たのかもしれないし、知ってた上で受け入れてた可能性だってある。

どうせ考えたって分からないのに、あの桜を思い出すと何故か胸が締め付けられてしまう。
もしもその妻が、彼を愛していたとしたら――?

そこまで思って、首を振る。
見ず知らずの、本当に居たかどうかも分からない人の為に胸を痛めるなんて、馬鹿げている。

今はそれよりも三木さんの今後を考えなければいけない。
それと、俺がなるべく成長しないで居られる方法もだ。少しでも長くあの家を借りていたい。
山南さんは博識そうだから、何か良い情報を持っているかもしれない・・・考える事が多過ぎて、頭の中がごちゃごちゃして来た。
振り切るように、俺は夜道をひた走った。走りながら、また桜を思い出す。とても綺麗だったと。

どうせなら、あの桜を三木さんにも見てもらいたい。本当に、心が洗われるようだったから。
少しでも、慰めになればいい――あぁ、けれど羅刹は昼には動けないんだったっけ。でもきっと夜桜も綺麗だろう。
月の綺麗な夜にでも、桜を見に誘ってみようか。桜の季節はまだ先なのに、気が早いだろうか。

いや、違う。そうじゃない。
本当は三木さんに見て欲しい訳じゃなくて、自分が見たいんだ。あの美しい桜を見て、俺はこの現実を忘れてしまいたいだけなんだ。

俺は、どうしたら良かったのだろう。
仮の器を徳利にしなければ良かったのか、それとも変若水の容器のヒビになど気付かなければ良かったのか。
そうだ、あんな物割れて流れて駄目になってしまえば良かったんだ。
そうすれば、三木さんが羅刹になる事も無くて、俺があのおじさんに触られる事も無くて―――走りながら、視界が滲んだ。
泣いちゃ駄目だ、泣きたいのは三木さんの方だ。俺に泣く資格なんて無い。
そうだ、屯所に着くまでに気持ちを切り替えなくちゃいけない。



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