どこにでもある、悲劇ものの映画だった。
 年上の男のくせに、こんなありがちな話で泣いているのがバレたら笑われると思って声を押し殺していると、小さな手が腰に回った。そのまま腹に顔を押し付けられて、ぎゅうぎゅうと抱き付かれる。いつもの小生意気な子供らしくない行動に涙の勢いが緩まった。

「ど、どうした? もしかして泣いてる?」
「……んなわけないでしょ。ユキ兄ちゃんじゃないんだから」
「んなっ、……お前な」
「こうしてれば顔見えないから、ユキ兄ちゃんにとっていいと思って」

 タオルそこにあるよ。あ、サンキュー。
 促されるままテーブルの上にあるタオルを顔に押し付けて、はたと気付く。……小学生に気を使われた。かーっと顔が赤くなるのがわかって、無性に目の前の柔らかそうな髪をかき乱したくなる。流石に大人気ないと思って踏みとどまったが。

「……ありがとう」
「ううん。ユキ兄ちゃんの泣き顔は今じゃなくても見れるし今回はいいや」

 その発言にピシリと固まる。顔は見えないが、やはり小生意気なのは変わりないらしい。頭を小突くと甘えた声で「いたぁ〜い」と言われた。今更そんな声だしたところでオレは演技だと知っているというのに。しかし知って尚効果があることも、この小さな名探偵は知っている。現にそのかわいさにオレはやられているわけで。

「……ユキ兄ちゃんのショタコン」
「うるせえ。お前限定だバーカ」

 顔の赤みはしばらく引きそうにない。






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