「では、こちらで退院の手続きは終了となります。骨折に関しては経過観察ですので、くれぐれも安静になさってください。」
『はい、お世話になりました。』
普段より大分重い腕を三角巾で吊るしながら歩く。利き手じゃなかったのが正に不幸中の幸いだ。
...と、言っても実はポッキリ折れている訳ではなくヒビがちょっと入っているだけなのである。
今までの入院も言ってしまえば経過観察だ。なんともないのかあるのか検査に時間が掛かっただけ。
まぁ寝てるだけだし仕事休めるし辛くはなかったが...いや、事情聴取が辛かった。時間かかるし。
『あ、ここら辺で。』
普段はケチって乗らないため勝手が分からないタクシーをそれっぽく停める。最初は歩いて帰ろうかと思ったのだが、さすがに入院していた間に体力は衰えており、途中でタクシーを呼び止めた。
「ありがとうございました〜」
無愛想なおじいさん運転手に会釈をし車を降りる。
久々のおうちごはんは何を食べようか。こってりカップラーメンだな。喉に残る豚骨背脂マシマシを炭酸で流し込む瞬間の幸福は何物にも変えがたい。夜ご飯だからゼロカロリーになるし、心配することは何も無い。
ガチャ、
いくら狭い部屋でも久々だと嬉しく感じるものだ。
パチ、
『ただい、まー...』
明るくなった部屋。いつも通りの私の部屋。
「ん、うぅー...え?」
プラス、なんかクソ好みの顔面の不審者。
『えー、と...どちら様でしょうか...』