自分の家に知らない人が居るという普通ならありえない状況。退院後帰宅したら不審者が居た時どうしたらいいかなんて学校では習わなかったぞ。習ったかも。
思考回路だけフル回転する中で不審者が大きい欠伸をする。
「いや、ん...?ごめん、寝起き...ちょっと待って...」
『あっハイ...』
気の抜けた姿を見たからか、少しは身体が言うことを聞くようになった。...とりあえず台所のフライパンを取りに行こう。
『あの、誰ですか?』
大して汚れてないフライパンを盾のように構える。
「えーと、家主?」
『...。』
そりゃそうだろ、なんて脳内でツッコんでみる。
「まー...なんやかんやあってちょっと居候させてもらってました。なんも害無いし家政夫するんであったかいおうち住まわせてください!!」
そう言うと彼はパパッと身なりを正し、正座のまま深々と頭を下げた。
...いや、怪しい!!よく見たら服装もハロウィンコスみたいだし、害無いとか言われて信じれるわけないだろ!
「そりゃー自分ち侵入してたヤツに言われても信用ないと思うけど。」
それは相手も思ってたらしい。
「でも見てほしい!なんも盗ってないし、お部屋も綺麗に使ってるよ!お腹減ってない?ご飯作ろうか?あんま食材無さそうやけど」
グゥー...
タイミング良く私のお腹が鳴る。
「...なんかリクエストある?」
『...食材が無いので、お湯だけ沸かしてもらって...』
食欲の前には警戒心など無意味なのである。
羞恥心で赤くなった頬をフライパンで隠した。