何とはなしに窓の外を見上げたら、小さい綿のような物が無数に降っていた。

「あ、……」

雪だ、と呟く前に、その冷たさが頬へと舞い降りる。熱いホウエンにやってきた久しぶりの天候。前に降ったのはいつだろう、懐かしい感覚に思わず口元がゆるんだ。

「荀斉」

背後から、聞き慣れた穏やかな声がする。振り向くと親愛なる私の家族がいた。

「雪、だね」

「そうですね」

にこりと口元を綻ばせる彼につられ、私も一笑。外から入ってくる冷気も気にせずに、寒さの苦手な彼は私の横へとやってきた。

「積もりますかね、雪?」

「さあ、わからない」

でも、と彼は言葉を続ける。

「積もるといいね」

そう告げた唇は弧を描いていた。見慣れたいつもの優しい表情。

――幸せだと思った。

彼だけではない、仲間達皆の表情が幾度となく私の心を温かくしてくれる。きっと、私は恵まれているのだ。こんな素敵な仲間達と旅をして、それが終わってからもこうして一緒に暮らしている。こんな幸せを味わうことができる人なんて多分凄く少ないと思う。

「……はい」

これからもこんな時間が流れればいい、そんな願いを込めて彼に答える。家族と一緒に見る雪は、不思議と一人で見るより美しかった。


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