「渦箭さん!」

太陽が地球を煌々と照らす日中、川の縁で座り込み釣り糸を垂らしていた渦箭は背後からやってきた足音と元気な高い声を耳に入れて僅かに振り向いた。彼の視界の中ではまだ年若い青年、源佐が両手に山ほどの山菜を抱えながら満面の笑みを浮かべている。何かと彼が問う暇も無く、青年は口を開いた。

「みてくれよ、こんなに生えてたぜ!これで明日の朝までの食料は調達完了!」

「……」

青年の言に頷き、少しだけ口角をあげる。微妙な変化に気づいた源佐は嬉しそうに目元に曲線を描いた。

「渦箭さんは?釣れた?」

彼の問いかけに男は行動で答える。端に置いていた川へと続く紐を掴み、引き上げると、今まで水中にあった網目の細かい籠の中で二、三匹の魚がピチピチと跳ねた。

「お、丁度いいんじゃね?」

男の背後からその様子を確認した青年は満足そうに呟く。天を仰げばお天道様は真上に位置して昼時を告げている。昼飯だ、と、彼の胃は空腹を訴えていた。

「んじゃ、そろそろ飯にしようぜ!」

ニカリと破顔し、彼は山菜を片手に偏らせて魚の入った籠を取る。駆け足で荷物を置いた場所へ向かおうとする少年の姿を眺めながら、男は釣り具を回収し、わかりにくい笑みを浮かべてからその後を追った。


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