俺みたいな根暗には二重の意味で眩しすぎる太陽が、お空でギンギラ光っていた。いつも思うがあの恒星の自己顕示欲はどうなっているのだろうか。いつでも陽の気を発している日差しを浴びていると鬱々しい心に望んでもいないのにプラス思考が舞い降りてきたかのような錯覚にとらわれる。春夏秋冬問わず毎日頭上で光を与える太陽に辟易しながら、俺はサザナミ湾まで歩を進めていた。

「……ロケリスー、いないのー?」

浜辺でしゃがみこんで、おそらく海底で頬の熱を冷ましているであろう友人の名前を呼んでみる。けれども、彼と俺の間を阻む海水は空気の振動すらも彼の鼓膜に届けてくれない。静まりかえっている海面を眺めながら、俺はため息をついた。

(今日はまた随分と潜ってるな……)

彼がここへと向かったのは確か五時間前にもなるだろうか。おそらく化石組の一員であるグシャラトさんに滅法褒められて何も言えないまま海底に身を沈めたのだろう。あの先輩の意識なんて絶対してないであろう褒め言葉も十分罪作りだが、それ以上に行き過ぎている友人の照れっぷりに、少しだけ疑問を持つ。

(俺なんか褒められるだけで羨ましいと思うけどなぁ……)

まあ褒められたとしても嫌みか何かだと受け取って勝手に盛り上がる場合の方が多いかもしれないが、などと自分の陰気な本性について冷静に考えていると、ざばっ、と音を立てて彼が海から戻ってきた。水を吸った衣服は重そうで、服や髪、指先からポタリポタリと水滴を垂らしている。
本来の能力を発揮出来ない濡れた眼鏡を外す彼に毎度の如くハンカチを差し出しながら、俺は口を開いた。

「熱は冷めた?」

「……まあ、一応」

ハンカチを受け取って、言葉を返すロケリス。眼鏡を取った時の人相の悪さを自覚しているからか、彼は瞳を閉じながらレンズの水滴を拭った。

「……もうお昼だけど、お腹すかない?何か一緒に食べようよ」

「ああ……そうだな」

水気のなくなった眼鏡をかけて、頷く彼の手を握りしめる。それから立ち上がり、冷蔵庫に小松菜はあっただろうかと思い返しながら彼と一緒に真梨さん達のいる街へと向かった。


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