脳内で盛り上がった結果気付いたら書き上がってたMH擬文章。多分まとも(?)に文章書いたの7年ぶりくらいじゃないっすかね……。久々の文章が他ジャンルで申し訳ない。とりあえずディノバルドとバルファルクがひたすらイチャイチャしてるだけ。

斬竜×天彗龍

跳狗竜
夜鳥







紆余曲折、という程波瀾万丈なことがあったわけではないが、俺はとある古龍と番になった。正直自分でも何が起きているのか良くわかっていない部分がある。まあそれもそうだろう、と変に冷静な頭の片隅でごちた。
あの龍と会ったのは2ヶ月前でその出会いは唐突、しかも知らぬ間に勝手に番と認識されずっと番としてアピールされていた(らしい)。それに気付いた瞬間、言い方は悪いが半ば強制的に俺は彼の番となったのだ。ガムートや弟達からはやれスピード婚だ、やれ先を超されただと散々困惑されからかわれることとなったが、他ならぬ俺が一番戸惑っているかもしれない。
だからといって俺の感情が無視されているわけではない。そもそもこのたった2ヶ月間で俺は随分と彼に惹かれていたし、出来ることならこのままずっと古代林で共に過ごしたいと思っていた。彼のアピールが番に対するそれだと気付く前、安心しきってその身を任せる彼に言い様の無い愛しさや庇護欲、それと幾ばくかの独占欲をどれほど刺激された事か。ある日しれっと筆談で至極当然のように番扱いをされた時は色々と我慢していたものが抑えられなかった。あんた筆談出来たのかと。文字わかるのかと。後そういうことは早く言えとも。その時には雄同士だとか種が違うとかそういうのは最早些細な問題だった。
願わくは己から想いを伝え、自分なりの正当な方法で番となりたかったのだが、まあ結果が望んでいたものならとやかく言うまい。まだ慣れない感覚だが此方も生涯の番として彼と接していく心づもりだ。少しでも彼が幸せになれるよう、努めていこう。

──そう、意気込んでいたのだが、現実は理想と異なるようで。

「……あー、やはり釣れないか」

時は昼下がりの古代林、魚影のある水辺で岩に座って釣糸を垂らすが相も変わらず釣果はゼロ。俺には弟と違って釣りの才がないようで、軽いため息も出てくる。
そんな俺の横では件の番、古龍バルファルクが同じ岩に座ってじっと水面を眺めている。全くかかる予兆のない釣竿を軽く動かすとウキの動きにあわせ小さな波紋が拡がるので、どうやらそれを見ているようだ。
まあどうせ釣れないだろうし、と半ば諦めの心境で俺は視線をウキから先日番となった──ただし彼の中ではとっくのとうに番扱いだったようだが──愛しの龍へと移す。
マカライトブルーの瞳と真赤な瞳孔が長い銀の睫毛で縁取られており、その色彩が褐色の肌の上で中性的な作りの美貌をきらびやかに引き立てている。作り物と見まごう程に綺麗な横顔だ。この目が感情に呼応して様々な色に揺れるのを俺だけが知っている。

(……今日も今日とて可愛いな)

ここ2ヶ月ほぼ毎日見ている姿に向かいほぼ毎日抱いている感想を、今日も例に漏れず頭に浮かべる。
彼を彩る主な色は銀、蒼、赫と肌の褐色。整った相貌は元より、翔ぶことに特化した華奢な四肢や色のコントラストまでもが調和しており美しい。神とやらが存在するのなら、そいつはこの龍の造形に力を入れすぎではなかろうか。まあ外見の美しさだけが彼の魅力ではないのだが。

「…………?」

流石に視線に気付いたか、はたまたウキが動かなくなったことを怪訝に思ったのか、彼が此方を向いた。視線が合った瞬間、能面のような彼の顔が普段からは想像が出来ないほど柔らかな笑みに変化し、何?とでも言いたげに上目遣いで首を傾げた。はい、可愛い。あざといまでの愛らしさに心臓をぐっと掴まれ、つられて此方もにやけそうになる。

「いや、あんたが可愛いと」

正直に思った事を伝えれば彼は満足気に口角を上げて、そのままぽすんと俺の肩に頭を預けた。ああいけない、一挙手一投足全ての挙動が悉く此方の雄を煽ってくる。早鐘のようにけたたましくなった己の心音を悟られぬようなんとか必死で取り繕わなければ。釣竿を握る手により力が込められた。
彼は此方の言葉はわかるが自ら言葉は発しない。辛うじて俺の名を呼べる程度だ。どうやらこれまでろくに他の個体と交流してこなかったようで人型時の発声がよくわからないようだが、俺の名が呼べるなら他の言葉もやろうと思えば喋れるのでは、とも思う。しかしそもそも彼は口を介して会話する気が無いようだ、当事者が望んでいない事を強要するわけにもいかない。
別に、俺だけが彼に名前を呼ばれるという特別感に浸っていたいとか、番である俺の名だけ呼べば良いだろうとかそんな了見の狭い事を思っているわけではない。決して。多分。

「…………♪︎」

彼は先程の言葉に気を良くしたのか、ぴったり寄り添ったまま上機嫌に釣竿を持った俺の手を両の指先で撫で始めた。俺に比べれば一回りも小さい華奢な手が大きく無骨な手の皮膚の上を誘うように這う。官能すら感じる様に思わず息を飲む。この甘え上手は俺をその気にさせるのが本当に上手い。お前がちょろすぎるだけ、と他の者がいたら呆れられていたかもしれないが、もうそれで良い。俺は彼限定でちょろいということで。
こうなったら最早釣りどころではない、釣針を水面から引き上げて邪魔にならないところに竿を放る。一刻も早く己が番を愛でたい。抱き締めたい。撫でてやりたい。そんな衝動に駆られて彼の細腰をぐい、と抱き寄せた。
突然の事ながらも彼は抵抗無く腕の中に収まり、心底嬉しそうに背に腕を回しては俺の胸元に頬擦りする。ああ本当にたまらない。この龍俺の事好きすぎるだろ。己の浅ましい独占欲がじゅくじゅくと熟れながら身体の中をのたうち回って喜んでいる。
少し硬めの銀髪ごと頭を撫でると心地よさそうに目を細めて身体から程よく力を抜き、俺に全体重を預けてくる。その重さだけで心は充足感に満ち溢れた。

──理想と現実はこうも違う。
自分では彼が幸せになれるよう努めているつもりだがこの様だ、また俺ばかりが幸せになっている。

彼を満たそうとするとその倍以上の質量をもって幸福が返ってくる。こんなに幸せにさせられて、俺は何をすればこれ以上に彼を満足させられるのか。
中々の難題だがこの件に関しては悩みすらも甘露に変わる。もっと俺の手で、俺がこの愛しい番を満足させたい。喜ばせたい。その為に何をすれば良いのか、答えはまだ見つからないが考えるだけで心が弾む。闘いの高揚だけが生きる目的だと思っていたかつての俺は一体どこに行ったのか。まあきっと彼に惹かれた時から死んだのだろう。精々成仏しろ。

「ディノ」

「ん?ああ、すまん」

思念に集中しすぎたのか、頭を撫でる手の動きがいつの間にか止まっていたようで、催促するように彼が俺の名を呼ぶ。聴き心地の好い声音だ、この声に請われると出来る事は何でもしてやりたくなる。望み通り頭を優しく撫でるとまた満足そうにすりすりと甘えてくる。当然のように可愛い。俺の番が誰よりも可愛い。

「……なあ、あんたは何をされたら嬉しい?」

自然と口を出た問いかけに我ながら聞き方が下手過ぎるなと苦笑しつつも硬い銀髪をいじくりながら反応を待つ。質問の意図が読み取れなかったのか、彼は俺の胸元から顔を上げて不思議そうに此方を見つめた。

「いや、俺ばかり幸せにしてもらっては不公平だろ。俺もあんたをもっと満たしたい」

そう言って、見上げてくる彼の頬を親指の腹で撫でる。きめ細かい肌は手触りが良く、もっともっと触れていたくなる。
彼は微笑むと俺の手を取り、掌に指で文字を書き始めた。

『今、十分幸せ。お前も幸せなら、もっと嬉しい』

これまたなんともいじらしい事を伝えられてしまった。只でさえいつもより早く強く脈打っている心臓を一気に鷲掴みにされ思わずうめきそうになる。俺を殺す気なのか、この龍は。柄にも無く顔に熱が集まってくる。慣れない感覚に軽い目眩すら起こしかねない。

「そ、うか……はは、些か照れるな。だが、俺も同じ気持ちだ。だからもっと何か出来ればと思ったんだが……してもらって嬉しいこと、他にないか?」

「……?…………、……」

彼は少し考える素振りをすると、良い答えに行き着いたのか嬉々として文字を書く。可愛い姿に癒されるのも束の間、書かれた内容に気付くと一気に全身の熱が上がった。

『口付けしろ』

短く、そして直球な欲求。命令系で書かれたそれに俺の欲は煽られ雄の部分が強く刺激される。俺の問いかけは『自分がされて嬉しいこと』だというのに、彼はわざわざこの行為を書いてきた。つまりはそういうことだ。まずい嬉しい、これは我慢が出来そうにない。頬を赤らめながら嬉しそうに期待して待つ彼に今日一番の愛おしさを抱いた。

「っ……あんた、俺を喜ばせるのが本当に上手いな……」

『早く』

間髪入れずに催促してくるほどしてほしいのか。ああ、本当に本当に、胸の奥辺りがこそばゆくなる。とはいえ俺も雄なもので、こんな据え膳を目の前にして後込みする程小心者ではない。遠慮無く貰ってしまおうか。
少し乾いた彼の唇を指でなぞってから、くい、と顎を上げて己のそれと重ね合わせる。口元に感じる柔らかさを意識するだけで全身により強い多幸感が拡がった。肉体の許容以上にやってくるそれがたまらなく心地好い。狂いそうだ。
触れるだけのそれを暫くの間続けて離せば、まだ足りないと言いたげに今度は彼から口付けを施される。そこからはどちらからともなく、向きを変え角度を変え、何度も何度も唇を重ねた。幾度繰り返せども、もっと、もう一度と貪欲に相手を求める。おそらく彼も同じなのだろう、触れる唇からは熱い吐息が漏れていた。他ならぬ俺が彼を喜ばせているのだと思ったらたまらない。もう一度、に一際強い愛情を込めた。

もうどのくらいそうしていたかわからない。最初から数えることもしなかった程多く口付けを交わした。最後の一回が終わり、唇が離れた後、彼は満足したようにまた俺に身体を預けてくる。視覚、聴覚、触覚──五感が与える情報が全てこの身を高揚させ溶けそうな程の喜びを脳に与える。愛しい、愛しい。感情のままに腕の中の彼をぎゅっと抱き締めた。

「あー……幸せだな……」

「…………♪︎」

ついこぼれた本音は彼に聞かれてしまったかもしれない。背に回された彼の腕に力が込められた気がする。

──やはり俺ばかりが満たされているな、と半ば諦めの入った感想が頭を過る。
だがこれで彼も幸せだというのなら今は良いのかもしれない。それに恋しい番の幸せを考えて苦悶する時間はある意味至福でもある。これからも彼の事で悩んで、悩んで、悩めるというのは悪くない。

(……ん?どちらに転ぼうが結局俺にとって都合が良い展開なのでは?)

本末転倒な自分本位の欲望の存在に気付くと、最早この願いが誰の為かもはっきりしない。けれど、はっきりさせる必要はないのだろう。彼が幸せならばそれで良い。彼が嬉しそうにしていればそれで良い。そういうもので、きっと許される。

何れにせよ、俺がやるべきことは既に決まっている。
──これからも命尽きるまで、彼を慈しみ、悩み続けていくことだ。
いつか絶対幸せにしてみせる、そう心の中でひっそりと決意し、抱き締める腕の力を強くした。






「うわぁ、めっちゃいちゃついとる……釣りせえへんならはよ帰ってくれんかな……」

「は?何言うてんねんドスマッカオ君。推しの幸せ邪魔すんなや」

「ホルルんほんまディノバルドのアニキ至上主義やな……推しに嫁出来たら普通嘆くんちゃうん?」

「ふっ、推しの幸せが僕の幸せや。寧ろ推し単体だけやのうて嫁との絡みも拝めて二倍美味しい!いつもとは違う側面の推しも最高やでぇ!もっといちゃついて!」

「うっさ!興奮せんでええわ!」

物陰でやかましく騒いでいる奴らのことは知らんふりをして。



終わり

元々イビボル告白話書いてたけどディノバルクええやん!ってなった結果うっかり先走ってこっちを先に書き上げました。攻め視点の方が書きやすいのかもしれない。久々に書いた文章は……うん、普通だな!(激甘判定)相変わらずオチにさしかかる辺りが尻すぼみになるの悪い癖。文章書くの久々過ぎて『──』がキーパッドの何処にあるのか最初わからなかったです。後どうしても間に隙間空くからCSSタグ使って無理矢理間無くしてます。変な表示になってたら教えていただけると嬉しいです。
MH擬内では唯一くっついてる組み合わせなのでとりあえず馬鹿みたいにイチャイチャさせたかった、悔いはない。後は多分数年後の私が読み返して楽しむだろう。自給自足って素晴らしい。



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