▽その6 セシル

「(きたきた!3、2、1、)じゃじゃーん!」
「わっ!」
「ハッピーハロウィーン!どう?びっくりした?」
「もう、心臓が止まるかと思ったよ。ずっと木の上で待っていたの?」
「そのとおり!というか、あれれ?なぜわたしの目の前にはセシルの膝があるのだろうか。予定では顔を突き合せる感じのはずだったのに。」
「ロープが長すぎたんじゃないかい。」
「おかしいなー、ちゃんと計算して準備したのに。」
「ナマエは変なところで抜けているからね。」
「ひ、ひどいよセシル!うっ、頭に血が上ってきた!た、助けて!」
「ふふ、しかたないな。」
「へ、なんでしゃがんでるの?」
「そのままロープを切ったらナマエが落ちてしまうだろう?ほら、掴まっていて。」
「わ、わかった。」
「立つよ。」
「うん。わ、今わたししゃちほこみたい。」
「冗談はいいから。さ、切るからね。」
「うおっ、とと。た、助かったぁ。ありがとね、セシル。」
「どういたしまして。人を驚かせるのもいいけど程々にね。ほら、足に縄の跡が残っちゃってる。」
「あ、ほんとだ。いてて。」
「もう少し自分の体を大切にしてほしいな。」
「わかってるわかってるって!」
「本当かな……。ところでその格好は、コスモスが言っていた?」
「そうだよ、ハロウィーン!ミスバンパイアの仮装なの。本物そっくりでしょ!」
「……うん、そうだね。」
「え、ちょっと、なになに?真顔でマント被せてきて。」
「……いや、少し肌寒そうだなと思って。」
「ふーん。まあ、セシルに見せるために着てきたからいいけどね。それより、セシル!」
「なあに?」
「トリックオアトリート!」
「はい、どうぞ。」
「え!な、なんでお菓子持ってるの!?」
「フリオニールに忠告を受けたんだ。お菓子を常備したほうがいいってね。」
「くそう、フリオニールめ。いたずら仕掛ける気満々だったのに!」
「残念でした。ほら、いらないなら誰かにあげちゃうよ?」
「い、いる!その棒つきキャンディをよこせ!」
「ふふっ。」
「もう!なんでその手を離してくれないのさ!怪力!笑顔崩さないのが腹立つ!」
「そんなに欲しいかい?」
「うん!」
「あーん、して?」
「へ!?」
「あーん。」
「うっ、あ、あー、ん……。」
「よくできました。おいしいかい?」
「お、おいひいへほ……、はなひへほぉ。(お、おいしいけど……、離してよぉ。)」
「うん?」
「ふぁ、んっ……、ひひはふ!(いじわる!)」
「ふふ、かわいいなあ。」


「(何をやっているんだあいつらは……。)」

-end-

救世主