「·····なんと素晴らしい。是非コレクションに加えたい。だからこの·····手脚を·····私におくれ」

そう言いながら、奴はついさっきまで私のお父さんお母さんであった物を、ぐちゃ。ぐちゃり。と踏みつけながら近付く。そして、しゃがみこむ私の左手と右足にその汚い両手をそっと優しく置いたのだった。




毎朝起きたら必ずする習慣がある。
それは「ニュースを見ること」
必要最低限しか置かれていない質素な部屋の隅には、部屋に似つかわしくない電子オルガンが存在感を放っている。そのオルガンに近づきそっと撫でた後、私は近くにあるテレビリモコンを手に取り電源を入れた。
陽気で爽やかなアナウンサーの声をBGMに、キッキンに行き暖かい紅茶を入れ朝ごはんの準備をした。

「○○高校の入学式に○○○○が参加し〜·····」とアナウンサーが爽やかに読み上げるのを耳にし、思わず「今日からかー」そんな呟きが零れた。
そう。今日から私は高校生になる。
パンを焼いている間に真新しい制服に着替える。·····ああ、新品の服の匂いってあんまり好きじゃないのよね。
左手には肩まである長くて黒い手袋を、右足には太ももの付け根まである長くて黒い靴下を忘れずに着用して、私はその真新しい制服に腕を通すのであった。


デカデカと1年A組とかかれたそのやけに大きなドア。そのドアノブをギュッと握った。右手から伝わるドアノブの感触がやけに冷たいことに現実味を覚える。

「(今日から私は·····雄英生·····!)」

これが興奮なのか緊張なのかはわからない。雄英生だ、きっと頭がいい強個性を持った人ばかりなのだろうな。胸のドキドキを抑えながら、私はドアをそっと開けた。
きっと私も頑張れる。きっと私も強くなってプロになって私の·····

「そこに座っている君!!!机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!」

「あ?思わねーよ、てめーどこ中だよ端役がぁ!!」



そっとドアを閉じた。



「(雄英高校だよね?ここ·····私違う高校に間違えてきた?)」
長い息をふーーーーーーっと出した。
よし、もう一度開けよう。


ガラッ·····


「君!先程からドアは開けたり閉めたりせず、速やかに教室に入ってきたまえ!室内の空調が乱れるだろう!」

「えぇ?!あ、なんかすみません·····(なんだこいつーーー!いきなり話しかけてきてしかも怒られた泣)」

「ボ·····俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ!これから3年間共に学び高め合おう!よろしく!」

「よ、よろしくお願いします·····」

急に怒られ急に自己紹介され、私は呆気にとられてしまった。なんだこれ、雄英高校ってこんなひとばっかなのか?さっきも超絶ヤンキーみたいなやつもいたような気がするし·····怖すぎて笑う·····

ははっ·····と乾いた笑みを浮かべていると、ふと教室内にいる人達が一斉に私と彼を見ていることに気がついた。高校初日から変に目立ちたくない。そそくさと自分の机の場所を探した。

自分から話しかけに行くタイプでもないので、一番後ろの個人席に座る。(私だけ一番後ろ。泣く。)誰とも会話をしないまま頬杖をつき、後ろから教室を見渡す。手が沢山ある人もいれば頭が紫のボールみたいなのがくっついてる人もいる。なんだか見ていておもしろい。

そんなことを考えていると担任らしき人が入ってきた。相澤先生と言うらしい。お髭が生えている·····


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