なんやかんやで最終種目のボール投げとなった。今まで個性を使わずとも自身の体力だけで割りといい線行ってる気がする!·····あの血反吐を吐くような特訓は、意味の無いものではなかったんですね先生·····!!
太陽が心地よい空を頭上に、1人グッと拳を握り目に涙をうかべていると、後ろから声をかけられた。
「いや〜すごいね!今まで個性っていう個性使ってないのに割りと上位じゃない?!」
「ぅえ?!」
「あ、急に声掛けてごめん!私芦戸三奈!さっきから見てたんだけど凄いな〜って思ってさ!」
「あ、ありがとう。私は名字名前。芦戸さんも足速いね」
「三奈でいいよ!名前ちゃんでいい?」
「う、うん!」
全体的にピンクの子に気さくに話しかけられた!芦戸三奈ちゃんというらしい。さり気なく声をかけさり気なく自己紹介、そして流れるような名前呼び·····!所謂陽キャというべき人種なのか?!
実は、若干の人見知りがある私は、自分から誰かに声をかけるということが出来ず割りとぼっちでいた。いや別に寂しいとかではない。決して。
「さっきの緑谷すごかったねー!」
「ん?うん、なんか指腫れてたよね、個性かなぁ?」
「肉体増強系かな?にしても個性使って指腫れるとかヤバいねー!」
「うーん、なんか訳ありなのかな?知らんけど」
「名前ちゃん適当すぎでしょ(笑)緑谷終わったし次は名前ちゃんだよ!頑張ってね〜!」
「だね、ありがとうとりあえず最下位にはならないように頑張ってくるよ」
三奈ちゃんがフレンドリーに応援してくれる!なんか頑張れそう·····深く息を吸って吐いた。
「次で最後だ。名字名前」
「はい」
相澤先生から少し砂を被っているボールを受け取る。後ろで頑張れー!と三奈ちゃんが声をかけてくれた。
私はチラリと後ろを振り向き、もう一度深く息を吸って、深く吐いた。
個性を使う場所、この競技しかないな。
トン、と地面に片手を付いた。その瞬間、バチバチバチッ!!と目に見える小さな電気が地面に通ったと思ったら、片手を前に突き出したままゆらりと立ち上がる。すると、地面が電気を纏いながら盛り上がり大きく形を成していく。
「うっわ、何あれ!」
「地面がなんか盛り上がってるじゃん!」
最後の電気がバチッと通ったのち、出来上がったのは人間一人分程の大きさの、本格的な大砲であった。名前はおもむろにその発射口にボールをつっこみ、角度を調節する。そして·····
「飛んでけー!」
ズゴン!!と大きな音と煙を出してボールを吐き出した。緩い放物線をえがきながらボールは飛んでいき
ピピッ
「·····名字、950.8m」
やったぜ、とりあえず最下位にはならなかった!
ふう。ともう一度深く息を吐き、心の中でガッツポーズをとる。そして再び名前がその大砲に触れると、バチッと電気が走り大砲は元の土塊に戻った。
「えー!凄いや名前ちゃん!なんか地面がバチバチッて!!しかもあの爆豪より飛ばしてるじゃん!おめでとう!」
「あはは、ありがとう?バチバチしてたねぇ」
ははっ、と乾いた笑みを零すと、ふいに後ろから物凄い視線を感じたので振り向く。え、なんかあのヤンキーがめっちゃ睨んでくるんだけど。めっちゃ人殺しそうな顔してるんだけど。こわ。
「んじゃ、パパっと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。」
ゴクッと唾を飲む音が聞こえた気がする。除籍がかかっているのでみんな真剣な表情で相澤先生を見つめている。私は多分なんとなくいい成績ではあると思っているので、恐らく除籍はないと思うけど·····ちょっぴりドキドキする。
「あ、ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「ん!?」
「「はーーーーーーーーーーー?!?!」」
「あんなの嘘に決まってるじゃない·····ちょっと考えればわかりますわ·····」
「え?!虚偽だって!虚偽だってーーー!」
「お、落ち着いて三奈ちゃん!虚偽だね。合理的な·····」
「むきー!!ハラハラした気持ち返してよ〜!」
グランドで起こる大ブーイングで、賑やかな個性把握テストは終わりを告げた。