「おはよー!名前ちやん!!」
「おはよう三奈ちゃん、今日も元気だねぇ」
「ケロ。名前ちゃん、おはよう」
「お、名前あんたギリギリじゃん。おはよ〜」
ガラッと教室の大きなドアを開けるとすぐさま三奈ちゃんが声をかけてくれた。その次に梅雨ちゃん、響香ちゃんと挨拶を返す。
「あはは、ちょっと寝坊しちゃって」
「たるんでる〜!今日からヒーロー基礎学が始まるんだよ?私昨日の夜楽しみすぎて寝るの遅くなっちゃったよ〜!」
「三奈ちゃん、楽しみなのは分かるけどそれは体調に響くわ」
「大丈夫だよ梅雨ちゃん!朝ごはんいっぱい食べたし!」
「それは大丈夫のうちに入るのかよ·····」
「響香ちゃん私もそれは思う」
実は、朝の日課のピアノを夢中で弾いていたら、いつも家を出る時間を15分もオーバーしてしまったのだ。時々、その時のモチベーションでスラスラと鍵盤を弾く手が動いてくれる。時間に気がついた時には慌てて家を飛び出したが·····まあそんな時もある。
今日はそんな立ち話もほどほどに、そろそろHRの時間になりそうなので自分の席に着こうとしたら、すれ違いざまに誰かの肩に私のカバンが当たってしまった。
「あ、ごめん」
「チッ、くそモブ女気をつけろや」
「は?」
「あ?んだこら」
喧嘩を売られたので買ってしまった。教室内の温度が3度くらい急に下がった気がした。
「いや当たったのは私だけど、蔑称過ぎてビビったわ」
「はぁ?なんだこの白髪女」
「·····」
この男、爆豪勝己というらしい。三奈ちゃんから聞いた。個性把握テストでボールぶん投げてた人だ。めちゃめちゃに睨んでくるその瞳は紅くて燃えているようだった。ここで揉めるのはめんどくさい、と、ひとつため息を零した。
「·····ふん」
「おいおめー!今鼻で笑いやがったなクソモブがー!」
何故か片手が爆発させながら怒り出した彼を横切って、自分の机に向かった。後ろでは「おい爆豪!やめろ!」「ひぇ〜度胸あるわあの子〜」とかいう声が聞こえた。度胸はない。ちょっと怖かった。
「わーたーしーが!!!!」
「普通にドアから来た!!!」
午後からはヒーロー基礎学だって。オールマイト画風違いすぎて、美術館に展示してある有名な絵画みたい。
ザワザワと嬉しそうな声が木霊する教室で、私は一番後ろからその様子を肘をつきながら眺めていた。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目だ!単位数も最も多い!!」
「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!!そしてそいつに伴って·····こちら!」
オールマイトが説明していると、左側の壁がいきなり音を立ててゆっくりと飛び出してきた。
「戦闘服(コスチューム)!!!」
おおおおおおおおおぉぉぉぉお!!教室内が明るく賑わった。コスチュームだなんて、なんだか凄くヒーローっぽい。
「名前ちゃん着替えに行こ!コスチュームだなんて胸踊るねー!!」
「そうだね。ヒーローっぽいよね」
「ケロ、緊張するわね」