はい、どうぞと新しい細胞標本を手渡して、各診療科に検査結果を届けるため確認済みboxからファイルを引き抜いた。部屋を出るときはマスクの着用を忘れない。これも五条先生対策のひとつである。顔の半分をマスクで覆って仕舞えば、簡単に手出しできないと思ったのだ。顎クイは誠実なイケメンに限る。
「…風邪か?無理はするなよ」
「いいえー対策です」
「対策?」
やっぱり不思議そうな顔をする鴬丸先生を残して、元気よく扉を開けた。そしてすぐに閉めた。その人が入って来る前に急いで移動する。彼の半径2メートル以内には入らない、これも私が導き出した対策のひとつ。
「おいおい、人の顔見て直ぐに閉まるとは失礼じゃないか?」
「態々取りに来てくれたんですね、はいどうぞ」