「イザナ?」
玄関先で蹲る大きな影に声をかける。いつからここにいたのだろう。銀髪から落ちた水滴が、床一面の色を変えていた。外は今も雨が降っていて、夜になるにつれて気温も下がり続けている。慌てて彼の腕を引っ張って部屋に入れた。
普段は私のやることなすことに反抗していたはずなのに、私に手を引かれるまま素直についてくる。朝ドラはどこか覚束なくて、ずっと下を向いたまま。相当嫌なことでもあったんだろうか。
取り敢えず、慣れた体を大きめのバスタオルで覆った。
「お風呂沸くまでちょっと待ってて。何かあったかいものでも飲もっか」
「……」
「……真一郎と喧嘩した?」
初めて、イザナに反応があった。ビクッと肩を揺らして、唇を噛んでいる。そうして、ぽつりと今にも消えそうな声で呟いた。
「…家族じゃ、なかった」
「え?」
「オレは誰とも血が繋がってなかったんだよっ!!」
「きゃっ…!」
怒りに任せて押し倒される。勢いよく頭を床にぶつけたけど、そんな痛みよりもずっと痛そうな顔をしたイザナが、ぐちゃぐちゃに泣いていた。ぽたぽたと、外の雨に負けないくらいの涙が落ちてくる。
「エマも、真一郎も…マイキーだって家族じゃない…!みんな知ってて黙ってたのか?!なあ、名前も知ってたんだろ!何で黙ってた…っ!!!」
「イザナ、あのね、」
「騙されて浮かれるオレを見て楽しかったか?!っ、なあ、何で教えてくれなかったんだよ…っ」
「…ごめん、イザナ…ごめんね…」
謝ることしかできないのが、悔しい。彼は大きな身体を小さく曲げて、縋り付いて泣いていた。
イザナの慟哭が、脳を揺さぶる。多分、思いもしないところから自分の出生に関する真実を知ったんだろう。大人びているといっても、まだ15歳。ずっと信じていたものに裏切られたショックは、私が想像するよりももっと大きいはずだ。もう少し大人になったらちゃんと話すと、真一郎は言っていた。こんなことになるなら、私から話しておくべきだったのかもしれない。
「でも本当に真一郎は隠してたわけじゃないんだよ。本当に、血の繋がりなんて関係ないって思ってる」
「そんなの綺麗事だ!」
「そうかもしれない。でも、
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