もしこれが夢。だとすれば
「よぉ」

「おはようございます」

「今日の体調はどうだ?」

「問題ありません」


言い切ると不振な目で見られ、申し訳ないやら情けないやらで顔が熱くなるのを感じた。猿門さんがいたずらっ子みたいに笑ってるから彼にもわかってしまったらしい。


「本当ですってば!」


耐えきれなくて少し声を大きくして言うと、彼は仕方ないというように優しく笑った。


「ならいい。無理はするなよ」


猿門さんのその言葉に返事を返して自分の席に着く。久しぶりの仕事に少しドキドキしていた。




△ ▽ △ ▽



私は身体が弱く、毎日出勤前に検診をすることが決まっていた。そこで翁先生からストップがかかればその日は出勤禁止。異常が見つかれば即入院。

1か月前、出勤前の検診を無事に終えて5舎房の面々の面倒を見ていた時。ちょうど正午のこと。私は急に倒れたらしい。
それで入院して、意識が戻った時にはその前後の出来事を忘れてしまっていたのだ。


「迷惑かけてごめんね」

「おじさんは可愛い子に触れて役得だったよ」

8房に顔を出すと71番が調子に乗って言った。そういえば彼が人が来るまで見ていてくれたと誰かから聞いた気がする。

変わらないようで少し安心したけれど、そんなことを言ったら制裁があるんだから余計な事言わない方がいいのではないだろうか。
あ、2番くんが殴りかかった。

「体調良くなりましたか?」

「うん、結構寝てたから流石にね。ありがとう58番くん」

「では名前さん!また手合わせをしましょう!!」

「書類終わったらまた来るとするよ」

58番くんが声をかけてくれて、71番を殴り終わった2番くんも会話に入りながら近寄ってくる。2人とも弟ができたみたいでとても可愛い。看守として言ったらまずいだろうから言ったことはないけれど。ちなみに71番はいつも一言余計だからくんはつけない。

「うん、みんな変わりないね」

「そりゃそうですよ」

「楽しそうでなによりです」

手合わせの約束を取り付けてまた筋トレに戻った2番くん。さっきので奥にのびてる71番。そして私とおしゃべりしてくれてる58番くん。異常がないことを確認してじゃあねと片手をあげた。

久々の手合わせだし、張り切っている2番くんを見てると書類整理少し頑張ろうかななんて気分になるから不思議だ。

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