灯りを落とした暗い部屋に優しい囁き声。確信してる癖に、起こさないように小さな声で問うてくるのが堪らなくいじらしい。
私は何も答えぬまま、寝返りを打って隣にある温かな体温に頬を寄せる。黙って抱きしめてくれる山鳥毛の胸からはトクトク柔らかな鼓動。刀剣男士の身体構造は私には分からないが、今ここに彼が息づいている事実に安心する。
背中をさする彼の大きな手に、ほう…と肩の力が抜けるのを感じ、自身が強ばっていた事を自覚した。
「いつでもそばに居よう」
見えないながらも彼が微笑んだのがわかり、小さく首肯で返答すれば背を撫でる大きな手は寝かしつけるような動きに変わる。
トン、トン、トン。
そのリズムは鼓膜を震わす心音と同じで、なんだか彼の一部になったような感覚になる。情事の時とはまた違う穏やかな溶け合いに新たな多幸感を得ながら私は眠りに落ちてゆく。
理由のない焦燥感も不安も、今は全て消え去った。