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思考の果てに対岸についたらしい。ロディマスが降り立ったのを確認して、ウルトラマグナスは船を壊さないようにゆっくりと降り立った。 遠くから見ていたときとは比べ物にならないほど、大きいその姿に感嘆の声がでる。

「まるで町…だな」
「大きい町だ」

どこか誇らしげなドリフトに、ウルトラマグナスが厳しい視線を向ける。先程からなんだというのだドリフトはと、苛立ちも少し沸いてくる。

「これ一応門だから叩くんだよ」

ドリフトが背負った刀を抜き取り、かちかちと門を叩く。 すると、内側から鍵の開く音がした。

「ようこそ」

迎えてくれたのは人の良さそうな笑みを浮かべた機体だった。

「シュヴァリエディアスから話は聞き及んでいます。案内は彼が適任とのことですので少々お待ちください」

ウルトラマグナスが最後に門をくぐったのを見て、その機体は門を閉めた。 派手な音をたてながら、扉へ鍵が施される。 いくら、敵意がなくともこれでは籠の中の鳥だとウルトラマグナスは不穏にさえ思う。信用しろと言われても、それが例えドリフトと共に過ごしたことのある者たちだとしても納得はできない。 はしゃいでいるロディマスとドリフトを先頭に、ウルトラマグナスの表情は硬くなる一方だった。

「主君のところへ行きましょうか」
「いきなり後ろから現れないでくれ、シュヴァリエディアス」
「それは失礼」

遥か昔とは言いがたい記憶にウルトラマグナスは排気した。 ダイアトラスの居ると言う場所は上にあるのかと思いきや予想外に下層にあった。

「お連れしました」

ぎいと、開いた扉の音にロディマスが幾分か緊張したように、向こう側を見据える。 ドリフトはなんだかうれしげだった。そして、ウルトラマグナスは険しい顔をさらに険しくしかめていた。 だが、向こう側に広がっていた景色は思っていたものと違っていた。
机の上に乗せられた様々な色合いの菓子や、美しく盛り付けられた料理の向こう側にダイアトラスは不本意だと言いたそうに頬杖をついていた。

「融和的雰囲気を前面に打ち出したつもりではありますが、いかがでしょう」
「すごい、よくこんなに短時間に作れたな」

シュヴァリエディオンの言葉にロディマスが卓上を見て言えば、にっこりと笑う。 ドリフトはと言えば、ぽかんとダイアトラスを見つめていた。 そんなドリフトの表情に答えるように、ダイアトラスは短く排気する。

「席に着け」

促されるがままにロディマスが席につき、その両隣にドリフトとウルトラマグナスが座る。

「もてなしのために作らせたものである。 遠慮なく食してくれて構わん」

ちらりとウルトラマグナスをみやったロディマスが機嫌を伺うかのように首を傾げた。

「えーっと、ありがとう。でも俺としてはこっちの副官が何かいいたそうなんだけど」

視覚器をウルトラマグナスに移したダイアトラスは少しだけ気を損ねたようだった。

「ウルトラマグナス、信用できないか」
「ダイアトラス」
「以前の方が多少柔軟さはあったな」

呟くように言ったダイアトラスは呆れたようにどこかに連絡をした。 その連絡を受けてすぐさま開いた扉から呑気な声が聞こえてくる。

「ナイトからわからんずやとは聞いていたけど想定を上回るわからんずやね」

文句を言いながら現れたその人物は、おもむろに机の上に盛りつけられたパイに手を伸ばす。

「せっかく作ったってのに、毒の心配?だったらほんとに盛っておくべき?」

ぺろりとパイを平らげ、さらに別の皿からコンポートを取り、口に含む。 コンポートを取った指が、てらてらと濡れそぼりぽたりと卓に染みを作る。その一部始終を見たダイアトラスがたしなめるように口を開いた。

「行儀が悪い、コクテル」
「もてなし、歓迎の気持ちを台無しにした客のほうに非があると思いますがダイアトラス様?」
「だとしてもだ」

コクテルと呼ばれた機体は至極不満そうにドリフトの皿を取り上げて無造作に盛り付けた。戸惑うドリフトに目もくれず次にロディマス、最後にウルトラマグナスの皿によそり、ウルトラマグナスに向けて言い放つ。

「食べたくない方は食べなくて結構」

そのままダイアトラスの元へ行き幾分か丁寧に皿に料理を盛れば、一礼してその場を後にした。 皿に盛られた料理に肉叉を差しながらダイアトラスは言った。

「ウルトラマグナス、貴殿の心配している毒の心配は全くない。先程料理長自らいくつか毒見してみせた。それでも食わぬのならばそれは貴殿の勝手。だがこの場に置いてそれが得策でないことくらいはわかっているはずだ。先程述べたようにこれは、我らの最大のもてなしと歓迎である」

ダイアトラスが料理を口に含んだのを見届けてから、ウルトラマグナスがようやく匙を持つが、顔つきは険しい。 乱雑に盛られた料理を掬い上げそのまま口腔へと放り込んだ。その料理が喉を通りすぎるのを確認してからゆっくりとダイアトラスは言った。

「ようこそ、サークルオブライトへ」

一つ大きくドリフトは排気した。
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呉章 完
鳳櫻月雨