mouth to mouth
ウィングとするキスは甘い。そんな気がしているだけかも知れないが、すごく甘ったるい。
舌と舌とがふれあって、そこから甘さがびりっと伝わる。こういうと、なんだかひどく不思議であるがとにかく、ウィングのキスは甘い。
「ちゅぅ、ウィング、、んっ、」
さて、ここからが問題だ。ウィングのキスが甘いのは、すでに話した通りなのだが、その甘さが悪さをする。
自然と膝が笑い出す。ああ、なんて情けない。乱しているのは、誰か。ウィングだろうか。それとも…… 勝手に乱れていっているだけか。ぱちりと視線があった。本当に、あまり見ないでほしい。キスを嫌った。
「ドリフト、目をそらすんじゃない」
「いやだ、あんたの視線が、ずるいっ」
口腔のそれを飲み込む。じわ、と受容部が濡れたのがわかって震えた。ウィングのキスはまるで媚薬だ。機体すら狂わせる。
「ドリフト、何を考えてる?」
「あんたのキスが甘い理由…」
「……??」
理解されないのは解っているし、それを理解させるつもりもない。言ってから、気づく。言わなければよかったと。
後悔するも時はすでに遅い。次にウィングがなんと言うか、それが気になる。
「うーん…… それはよくわからないね」
「…… だよな……」
「でも今はこちらに集中して」
ウィングと再び唇を合わせる。今度もまた、甘い味がした。そのまま、ちろりと下唇を舐められる。戸惑う。
その感覚に、身を引きかけたが落ち着けと、脳を納得させる。
「はぁ、…、んぅ、、ふあっ」
甘さに酔いながら、ウィングの舌が徐々に思考を溶かしていくのを感じた。 上唇も同様に舐められるが、今度は戸惑わなかった。少しずつだが、ようやくウィングの舌に慣れてきていた。
と、そのとき、べろりと上唇を舐められた。
「ふっ、んぅ! んんっ……、ぁっ、」
今までちろちろとゆっくり舐められていた。それが、全体的に舐めあげられてただそれだけで、息が上がった。
にや、とウィングが笑ったような気がした。
「こっちの方が好き?」
「っ! き、聞かなくたって、わか、」
「お前から聞くのが好きなんだ」
「…、このっ、、! 」
また、ウィングが笑って、唇を奪われた。今度は、最初からなぶられる。下唇を重点的に舐め、時折その弾力を楽しむように舌先が唇に押し当てられる。
「ん、ふぅ…、あ、んむ…、ふっ、あっ」
もっと、とまるで欲しがるように、ウィングの背中に回した腕に力がこもる。次第に自ら押し付けるようにウィングの唇に己のそれを寄せた。
ゆっくりとウィングの舌尖が、口腔に入り込んでくる。かと、思いきや、上唇と下唇、その隙間をやんわりと撫でられた。
「〜〜、!!!、うぃ、っんぅう…!」
「っ……、」
ゾクゾクっと、背筋に快感が走った。息を吐いた時に出来た、隙間から一瞬互いの舌が触れあった。 きん、と甘いような痛いようななにかが交わされ、身を引こうとした。だが、頬にウィングの手が添えられて離れられず吐息が絡み合う程の近さで、見つめあう。
荒い息を繰り返していると、ウィングが言った。
「大丈夫、ただ受け入れていればいい」
「はぁ、いゃ、だ、、だめだ、だって、」
「ドリフト、」
言葉も交わし終えずにまた唇を合わせられ、細く空いた間から、ウィングの舌が入り込む。己の舌が震え、ウィングのそれから逃げた。だが、ぬるりと触れあってしまい絡められた。
「んんぅー!、ふっ、んっ! うぃ、はあん、ちゅくっ…、んちゅ」
ウィングの口腔油塗れの舌が、自身の舌に絡みぴちゃぴちゃと淫らに音を立てた。とろりとした口腔油が溜まる。飲み込みきれずに、口端から垂れて、落ちていく。
「ちゅう、…ん、ぅんっ、…んくっ、」
「ちゅ、…ふ、…じゅる、」
おずおずと自らの舌を、ウィングの舌に押し付けた。ウィングがしてくれたようにウィングの舌先をぺろりと舐める。涙で視界が霞んで、よく見えない。
上顎から、舌の裏まで丹念に舐めていたウィングの舌が、口腔から無くなる気がした。名残惜しくて追いかけようとした。
「あ、んっ!んうっーー!、」
その舌を押し戻すように、ぴたりと唇と唇が合わされて、一部の隙間も無くなる。ウィングがとろりと口腔油を己へと流し込んで来た。こくりこくりと甘いそれを飲み込んだ。
頭がおかしくなりそうだった。ウィングの口腔油を飲んでこんなに高ぶるなんて。
「、好きか?」
「あ、んやぁ、わかんなっ…、うぃん、!すき、すきぃ」
薄く唇を開く。もっとほしいと願う。わからなくなんてない。好き。
「口を開けて」
「んっ、あーん、」
上を向かされて、口を開く。ウィングの舌から、口腔油が垂れるのを待った。無意識に舌を伸ばす。とろん、とウィングの口腔油が舌先に触れた。全てが垂れて、喉の奥に流れるのを待って、ごくんと飲み込んだ。
「は、はぁ〜、はぁ、んっ、うぃんぐ、ういんぐ、ぅっ」
「あぁ、わかっているよ」
「ふう、んっちゅっ…ぴちゃ、んちゅう…」
口腔油に濡れた自身の舌をウィングの舌に自発的に絡ませる。ウィングの口腔を荒らし、唇を離す。こくと彼の喉が鳴り、己の口腔油が嚥下された。そんな事に自らもまた変に高まる。
全て飲み込みきれずに自身の顎を流れる口腔油を、ぺろとウィングが舐めとる。
「可愛いな、ドリフト」
こくん。甘いそれを再び飲み込む。ああ、なんて、甘い。もうどちらのものかなんてわからない。
「あぁ、ん、うぃんぐっ、」
掠れた声で必死にウィングを呼んだ。甘さで、舌がじんじんと痺れてる。だけど、欲しくて堪らない。口腔が寂しくて、堪らない。舌を伸ばしてウィングを求める。
そんな隙間を埋めるようにウィングの舌が合わせられた。痺れが増す。拙く押し付けた舌が、絡め取られ、ウィングの口腔油でどろどろになっていく。
また舌が離れ、つうっと銀の糸が橋を架けた。互いの唇が触れ合う、触れ合わないような… ぎりぎりの距離で、ウィングが話す。
「ドリフト」
「ウィン、グ…、」
「ドリフト、可愛い、愛してる、好きだよ」
ふぅ、と口腔で息をすればウィングの呼気が、機体の内部まで染みていく。彼の吐いた息を吸う、なんとも不自然だった。
ウィングの唇が、言葉の形と共に動く。その度、触れたり離れたり…ああ、じれったい。しかし、そんな距離もあまりに新鮮だった。ちゅうと音を立てて、ウィングとキスする。軽いキスだった。
「好き?」
「…、すき…」
早く、早く。もっとして、もっと。
「キス。してもいいか?」
ああ、もう。
「……… し、して、、あ、んふぅ…、くちゅ、…ぴちゃ、」
ウィングの指が、己の顎を持って口を開かせた。もう何をされても無抵抗だった。口腔油を注ぎ込まれても口が閉じられない。飲み込むこともできずただ、甘さのみを味わった。溢れた口腔油がだらだらと流れて、ウィングの指を濡らす。
「ふ、ひゃ、あ、やらあ、ういん、ふ…」
「…… そうだね」
ウィングが顎を持ち上げていた指を、口腔に差し入れた。やさしく舌を撫で擦る。機体の力を抜いて、ただ受け入れた。
抜き取られたウィングの指は、てらてらと口腔油で光っていた。ウィングの指からぽたりと一滴垂れ落ちそうになる。それをウィングが、自分の口腔に入れて舐めとる。ウィングの指が、ウィングの口で愛撫されている。 少なくとも、そう見えた。
「確かに、甘いな」
「…、…?やっ!あぁ、!ん!」
「ドリフト」
「やっ、、やめ…、ん〜ふぅ、んうっ」
咄嗟に口元を手で覆う。あからさまに不満そうなウィングが、言った。
「好きなんだろう?キス」
「いまは、いらなっ…、」
「本当に?」
これ以上されたらどうなってしまうのかと不安になり、咄嗟に口元を手で覆う。そんな己の反応にどう思われたかとウィングを見つめた。
目を細めて、戯れに笑ったウィングが言う。
「退けて」
口元を押さえた手の上にキスをされた。次に、舐められて、歯を立てられる。やめてくれと首を降る。手が次第に、ウィングの口腔油でまみれる。 無理やり退かせば退けられるのに、あえてウィングは退かさない。
なんだか、羨ましい、己の手に嫉妬を抱きそうだ。ウィングの舌を、熱を渇望している。もはや、限界だった。
「ま、まて、、まって、どかすからっ…!」
「いい子だ」
いまさらだがとてつもなく恥を感じる。退けた手を、ウィングの手と繋ぐ。先程、ウィングが舐めていた指は、まだ濡れていた。
大きく息を吸おうとして、ウィングの唇で妨げられた。
「ん、あ、あふ…、んっ、はぁ、んちゅぅ、ちゅ、」
「ん、…、ちゅくっ、ぴちゅ…、ん、ふ」
ウィングが、かつんと優しく歯を当てる。本当に優しく。唇は柔らかい、ちゅうと可愛らしい音がする。反対に、優しく当たる歯がかつ、と音をたてる。何がなんだかわからない。
貝殻の様に握りあった手に次第に、力がこもる。離れたくないと、訴える。甘くとろける。でも、離れたくない。
「はあ、うぃん、ぐ、すき、あ、すきぃ、」
「俺も好きだ」
こくんと喉をならして口腔を空にし、荒い息を吐いた。
「ね、もっと、、、」
「気に入った?」
「ん、おねがい……」
口を開けて上を向いた。
「淫らな子だ」
どきりと高なった。
鳳櫻月雨