ドリフトは、一生懸命パーセプターとブレインストームの昨日の爆発事件の報告書を解読しているロディマスに切り出した。

「ラチェットと喧嘩した」
「おう、仲直りはしたのか」
「避けられてる」
「何やってんだよ」

ドリフトに呆れたようにロディマスが言った。 本当に何をやっているんだろうと、 悲しくなる。
最早暗号に程近い書類をロディマスが見ながら、ため息を溢す。 手元にある簡単科学とかいう本に、それで参考書のつもりだろうかと、無関係な疑問が浮かぶ。

「ドリフトはラチェットとどういう関係になりたいんだよ」
「えーと…」
「俺が呼び出して、 後は二人でってやるのは簡単だけど、それじゃだめそうだし大体何をやったんだ」
「……なんでもないって言い張って挙げ句手を叩いた」

ロディマスが、絶句してドリフトを見る。 黙ったまま手元の書類を端に寄せて、解読もドリフトに対しても諦めたようにため息をつきつついう。

「よくできたな」
「誉めてる?」
「貶してる。 謝ったのか?」
「…… 謝れてない」
「はあ?!俺と話してる場合じゃねぇよ!」

確かにそうなのだが、このまま消えてしまってもいい気がすると、ドリフトは考えていた。なんて、情けないんだろう。

「ラチェットの事ずっと好きで簡単には諦められないくせに、よくいうよ」
「なに?」
「は?」

心底困惑するドリフトに、ロディマスも首を傾げる。

「… 気がつけよ」
「嘘だ、そんなことない」
「なんで嘘っぱち言うんだこの場において。 ドリフトはラチェットが大好きなんだよ。んで、お前は今、恋に悩んでいるわけ。よかったなドリフト、ようやく判断不能の感情に名前がついたぜ」
「うそだ、そんなんじゃないもっとどろどろしてる、」

恋などと訳のわからない甘ったるい名前をつけられて、ドリフトは混乱していた。恋、それはもっと甘ったるいものでこんなにどろどろしていない筈だ。

「いや、だからそういうどろどろも恋なんだよ」
「……、それはないっ…!」
「相手に惹かれることは恋らしいぞ」

ぐるぐると考え出したドリフトであったが、それらを絶ちきるように、ロディマスが言った。

「消えるのはいいけど、その前に伝えようぜ。 お前の好きななんつったっけ…、 薄い花、地球の」
「サクラ?」
「それ。調べてみたんだけど、散り際まで雨が降っても風が吹いても絶対散らないんだって。作戦会議しよう」
「でも、まず捕まえなくちゃ。今避けられてるんだし」
「ドリフト、なんのためにこの船のNo.3の肩書があるんだよ、こういうとき使うためにあるんだ。存分に使え、許可する」
「職権濫用は認めないぞ」
「おっとマグナス、口出しするなよ野暮ったいな。 ドリフトあとはメールで」

ウルトラマグナスに怒られる前に、早々と脇をすり抜けたドリフトが扉を閉めた。 いつもならば、説教垂れるウルトラマグナスだが、 今日は追い払うだけが目的だったらしくロディマスに向き合った。そんな、ウルトラマグナスにロディマスが声をかける。

「…… どこから聞いてたんだマグナス」
「桜の話をしていたときだな」
「へえ」
「さあ仕事しろ」
「形式がめちゃくちゃなんだよな。 わかりやすいテンプレートでも作ってくれ。 まず、 見る気がおきない。とくに、パーセプターとブレインストームの報告書はなぜか、癖がありすぎる。個別な時は、そこそこなのに二人になるとこんなに癖が出るのどうかしてるだろ」
「意外だな。気にするのか。了解した」

と、いかにもな内容でウルトラマグナスと話をしているロディマスだが、メールを作成していた。
その途中いきなり件の人物からメールが届いた。
その内容にほくそ笑み うまくいくといいなと、ため息をつく。

「…あの二人は科学者だからやはり、混ぜるな危険なんだろうか」
「マグナス、そういうギャグいらない」


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ドリフトは困っていた。ロディマスの部屋から、逃げて直ぐに出会した相手がまさか…

「ら、ラチェット」

不機嫌に鬱陶しそうにドリフトを見たラチェットが、 踵を返して反対方向に歩き出す。 慌てて、その背中を追いかける。

「ま、待って、ラチェット、待って」

追いかけて手を掴んだ。 振り払われるかもしれないと一抹の不安が浮かぶが、そんなことに構っていられないほど焦っていた。

「い、行かないで……!」

ため息と共に振り向いたラチェットが、平淡に言い放つ。

「なんだ」

気を紛らわせるために、ロディマスにメールを送りつける。返信は速く、短く頑張れとだけかかれていた。

「…っ、ラチェット」
「私は暇じゃないぞ」
「わかってる、だから。この前、ごめん。」

頑張れそうにない。そう思った。無理だ、これは。 次の言葉を探せども出てこない。
間を開けて、ラチェットがため息をついた
某、くだけ散りました。ロディマスにこう言わなくちゃとドリフトが覚悟した。

「…… お前はどうしたいんだ」
「、わからない、でも、避けられるのは嫌だ」
「視界にいるとつい心配になるからいれないようにしていただけだ」

こつん、と額を小突かれた。久しぶりの感覚だった。

「謝罪が遅すぎるぞ」
「今日…、治療室に行っていい?」
「待っている」

再び小突かれた額に手をやって去り行く姿を見る。 慌ててメールした。

『仲直りした!』
『よかったな』

今日は良いことありそうだと、ドリフトが笑う。一喜一憂するのはどうなんだろうと思うが、楽しみなので仕方ない。素直に喜ぶ。

『伝えられるといいな』

一転、ロディマスからのメールに再び苦悩するドリフトがいた。

鳳櫻月雨