自分の業務を終わらせたドリフトは治療室へと向かった。
「あ、お久しぶりですドリフト」
「ファーストエイド」
「しばらく見かけなかったもんですから喧嘩別れしたのかと思いましたよ。 仲直りしたんですね」
「まあ…」
「僕はこれで」
ファーストエイドを見送り、部屋の中へと入るとそこは何も変わっていなかった。
本当に久し振りに訪れた場所であったが、 なにも変化していないことにドリフトは安堵した。
「ラチェット」
「珍しいなお前がいつまでも壁と友達じゃないのは」
ラチェットの言う通り、自発的に動くことはめったにないので、確かに珍しいと言える。
「ラチェットいつも仕事してるからな。 医者って大変なのか?」
「私にしか出来ないんだから、 やるさ」
ドリフトが適当にカップを用意して、注ぐ。 その合間に、ロディマスとのメールを確認し何をラチェットに言えば良いのか、再度思い出す。
まず、最初は暫く前からからの己の態度を謝ることだと思った。
「えーっと、」
カップを傾けたラチェットに対して、ドリフトはカップに視線を落とした。
「仕事は終わった?」
「終わらせることも終わらせないことも出来るぞ」
「…… じゃあ話聞いてくれ」
読んでいた書類を煩雑に寄せたラチェットが、視線をドリフトに動かした。
「暫くラチェットを避けてた」
「知ってるぞ」
「それに関して、ごめん。 あと、… 前、あんたに接続しようって持ち掛けたよな」
「ああ、そんなこともあったな」
「それも、謝るよ。 悪かった」
視線を下に向けたままのドリフトが漸く上げてラチェットの方を見た。 続きを待っているその様子に、意を決して言う。
「…… 俺はラチェットの事、好きなんだと思う、… 嫌悪感がないとかじゃなくて、ただ好き。あんたが他の誰かを見てても好きだし、つまるところあんたの代わりはいない」
暫くの沈黙に、 もう少し言いたいことがあるんだけどな、と思いながら言う。
「何か言ってくれないと困る」
「…… ふむ」
「…、あんたが困るのも無理ないとは思うけど、」
「ずいぶん熱烈な告白だからな、私も考えあぐねているんだ。 果たして、より熱烈に返した方がいいのかと」
「え?」
ドリフトの手を握り、 向き合ったラチェットが言葉を続ける。
「私は暇じゃないしお人好しでもない。 だから、わざわざ避けられている相手と関係を持とうと思わないし、心配もしない。 ドリフトの誘いを断ったのはそこらの機体の様に一夜で終わりにしたくなかったからだ。 だがお前は胸中知らぬと他機と接続しただの挙げ句怪我して」
「あ、あんなに他の機体と接続しても止めなかった! だから、てっきり」
「止めた所で聞くわけない。しかたがないから、ドリフトが私の元へ来たときだけはそのあとどこかへいかないように暗示をかけることにした。 じきにお前は寝ろと言ったらおやすみと返し部屋から出なくなったろう?」
あまりに計画的過ぎるとドリフトは絶句した。
「なに、最初から」
「計画は大切だぞ、ドリフト」
ドリフトは呆気にとられて、ラチェットをただ見つめた。同時に、自分が恋した相手は存外に手強い相手だと知る。
「…… 大変だ」
「そうだな」
「すごい相手に捕まってしまった…、」
「もう遅いぞ」
握られた手を見てドリフトはため息をついた。
「ドリフト」
呼び声に諦めて顔を上げれば、 ラチェットが笑っていた。
そっと、視覚器にラチェットの指が触れて閉じる。 ラチェットの排気が感じられて、唇に触れた。
久方ぶりの他機と触れ合ったこと、それもラチェットに、じんと唇が甘くなった。
「ん、んん、ぅ…、らちぇ」
「ドリフト、」
何度も脳裏で聞いた声に思わずベッドの中の事が思い出される。 ラチェットにはそんな気はないかもしれないのに、無意識に期待した。
啄むような軽いキスをされ、息をしようと開けた隙間に舌が入り込んだ。
「くちゅ、…じゅ、ふっ、ちゅる」
「はっ、ん、ちゅ、ぢゅぅ、ん、ん…」
キスに必死で答えながら、舌を絡め合う。 ふわふわと夢見心地で、こくんと口腔油を飲み込んだ。
「…、お前は私のだ」
ラチェットの熱い視線が、ドリフトを捕らえ、弾むように高鳴った。思わず、腿を擦る。
「、して、あんたの物に」
ラチェットに促されるまま立ち上がると、背中に手を回される。 戸惑いながら、 抱き締め返すと、排気が耳を掠めた。
ただ、触れているだけなのにこんなにも嬉しい。 ラチェットの匂いに安心する。
「ラチェット、」
「なんだ」
「…… すき」
「ああ、知っている」
医療用ベッドに押し倒されて、 天井を見て思う。 言葉だけじゃなく、本当に物にされてしまうのだと。
覆い被さるラチェットが与えてくれるキスを存分に味わっていると、 ラチェットの手が脚を探るのがわかった。
妄想のラチェットではない本当の感覚に、 きゅんと受容部が疼く。 閉ざしていた腿を割り開かれて撫でられると、 それだけでどうにかなりそうだった。
何度となく脚を可愛がるラチェットに、 次第に我慢するのが辛くなる。 だが、すべてラチェットに委ねてしまおうと力を抜いた。
「いい子だ、 そのまま力を抜いてなさい」
「ぅん……、」
ドリフトが小さく頷き、熱っぽい排気を繰り返した。
ラチェットに触れられた所が熱を帯びていく。自慰とは比べられないくらいに高まる。
「は、、…あんっ、!」
そろりと受容部蓋に触れられた。 たったそれだけで、 声を漏らしてしまう。 恥ずかしくなって視線を反らせば、くつくつ笑われる。
「感じやすいな」
「ちっ、う、…、あんたの指が…、だって…」
「開けなさい」
かりかりと蓋を引っ掛かれては、 耐えられない。 かち、と音を立てながら開ける。 とろんと受容部から、 官能油が溢れる。
「随分と我慢していたみたいだな」
「うう、言わないでくれ…、」
ラチェットの指が受容部に触れた瞬間、 びくんと機体が跳ねた。 つぷつぷ入り込む異物を、 きゅうと締め上げてしまい余計に存在を感じた。 ぐるりと指を回したラチェットが、 指を増やしていく。一挙ごとに跳ねる機体が恥ずかしい。
「随分初な反応だな」
「やあ、だって、いままで忘れてたっ…、ああ、そこっ、」
「お前も久し振りに色事に混じったか。 私もだがな」
ラチェットの指が、くっととある場所を押した。瞬間、痛いまでの快楽が機体を貫いた。
「ひああっ、ん、ん!らちぇ、んやああっ!」
「、ここだな、」
「だめ、だめぇんっ、そこやだあっ!、あ、はあぁっ!」
ラチェットの指が、緩急をつけて集中的に触る。 まるで、確かめるような仕種だった。
「いつも、こうなのか?」
「ひ、あ…、ふぅ、…な、なにぃ?」
ラチェットの問いに、ドリフトが首を傾げた。 いつも、という言葉に漸く合点がいったドリフトが首を降る。
「うう、ん、今日は、すごい、きもちいい」
「今日は?」
「さ、最近、気持ちよくなくてずっと一人でしてて…、でも一人よりずっと気持ちぃ…、」
「…… 何を考えてした?」
そんな問いがくると思っていなかったドリフトは、 瞬時顔を赤くした。
「ドリフト」
拒否できない。仕方なしに、ドリフトは吐露した。
「あ、あんたの事だよ、あんたの事考えながら、…し、た…!」
腕で顔を覆って言う。 他に何を考えながら、しろと言うのか。 こんなにも好きだと言うのに。
「具体性がないな」
「っ、もう勘弁してくれ」
ぐちゅりと、音をたてる受容部の音を聴きたくないが、ラチェットが笑いながら言葉を紡いでいく。
「あとで、お前の妄想の私がなんといっていたのか聞き出さなくてはならんな」
「や、やだ、ぜったいいわなっ、やっ、ん!! む、り、っあっん!」
「限界になるのはまだ早いぞ、ドリフト」
排気が乱れていくのをこらえきれず、視界も涙で揺れる。 恥ずかしさのあまり顔を覆った腕を無理矢理はがされて、抗議も出来ずに深く口付けられた。
「は、ん、くっ…、ちゅ、んん、じゅぅ、はっ、んっ…!っああ、!」
「っ、狭いな、」
常ならば、受容部にすんなり収まるのに、今日ばかりはゆっくり胎内に収まっていく。
「きつくないか?」
「へい、き、!ん、ぅ!ふっ、はあ、はあ…」
排気を深く繰り返し、ぞくぞくと迫る快楽に耐える。
「ラチェットの、奥にあるの、わかるよ、ぁ、ん…、」
「お前の内部は熱いな」
そろそろと、接続した所をなぞればぎっちりとそれは収まっていて嬉しくなる。 はあ、と息を吐いて言う。
「あんたと接続するの、気持ちぃい…、すごいよ、…、あ、あぅ…!」
「あまり煽るな、歯止めが聞かなくなる」
「い、いよ、あんたなら、」
内壁をきゅうとしめてラチェットを誘う。至極いやらしいしふしだらだと思うが、我慢してほしくなかった。
「お前は面白いな」
「え?なん、っ、な、なに…」
「私はお前を甘やかしたいんだ」
「な、あ!、!やめて、だめっ!!」
接続機を撫でられて、官能油を亀頭に塗り込められて、機体が震える。受容部ばかりに気を取られ直接的な快感に対応出来ない。
「ん、う!や、ああ、らちぇっと、やだぁ、」
「本当か?、受容部も震えているぞ」
「ひっ、やあんっ、うごかな、で!らめ、あ、らめぇ、! ひっ、んぅ!」
ラチェットの指が、ぐりと亀頭冠をなぞる。視覚器に走るノイズを嫌って頭を振った。
受容部はゆっくりと引き剥がすように動き、ぬるぬると官能油まみれの接続機を扱くラチェットに懇願した。
「、あ!、おかし、なるっ…!やああぁ、はぅ、」
「気持ちがいいだろう?力を抜きなさい」
「う、あんた、いじわるだ…」
ゆるゆると強張らせていた機体から力が抜けていくのを感じて、 我ながら驚いた。 ラチェットの言葉一つでこんなに素直な反応ができるとは思わなかった。
ラチェットの手が、接続機を愛撫する動きに素直に感じ入った。
「ん、あぅ、あ、きもちぃっ、らちぇっときもちぃよお…」
「…、一度いってしまいなさい」
「ひっっ! らちぇっとやぁあ! まって、あ、あ!! 〜あああっ!」
ぐぐっと排出口を刺激され高まっていた機体は意図も容易く絶頂へと導かれてしまう。 下腹部が震えて、びゅくっと生殖油を吐いた。
余韻に浸る間もなく、ラチェットが受容部の挿出を始める。
「らちぇっと、あ、らちぇ、んああ、ふっ、」
「っ、ど、うした?」
ラチェットは優しいなあ、と思う。 先程からずっと気にかけてくれている。
そんなところも好きだ。
「らちぇっとらちぇっとぉ、きもちいい、すき、すきぃ」
「ああ、私もだよ」
「あ、っ、ん、! はっ…、ああああ!!」
あっという間に登り詰めてしまう。 まだだめ、と訴える脳に関係なくドリフトの機体は限界に達していた。
胎内のぷくりとした性感を刺激されて、奥にラチェットの接続機を感じた瞬間、 びりびりと機体に悦が走った。
「はっあ!っあああ〜!!」
「っ、ドリフトっ!」
受容部に、熱い奔流が流れてきて身をよじった。内部が焼けるようだ。
はっはっ、と息を繰り返して落ち着けていく。再三きもちいいと口から言葉が漏れる。
繋がったまま、キスをした。ちゅくちゅくと音がたつのがいやらしい。
「…… 普通だ」
「なにがだ」
「体位とか、全部。今まで、演技したり激しかったりの接続ばかりしていたんだ」
「凄まじい告白だな」
「でもこれ以上激しくされたら気持ちよくて壊れちゃう」
ラチェットの接続機が、受容部から抜けていくのを感じて、きゅっと締め付けた。
「イタズラするんじゃない」
「えー…、…だめ?」
笑いながら機体を起こしたドリフトを、ラチェットが抱き締めた。
「ラチェット、直球だね」
「それくらいしないとお前には伝わらん」
ラチェットの言葉に、ドリフトは息を吐いた。
「本当にラチェットの物になってしまった」
「不服か」
「ううん、…、ラチェット」
「なんだ」
「これからよろしくね」
END
鳳櫻月雨