「…、…知ってる、わかってる、」

優位な位置にあるのはロディマスの筈であるのに、オーバーロードは落ち着き払ってロディマスに話しかける。 闇に惑っているためか、オーバーロードの表情は伺えない。笑われているのか、嘲っているのかはたまた…
何故、 殺せると思ったのだろうと、 ロディマスは己の思考に今更ながら疑問を抱いた。 本当に今更だった。オーバーロードを殺せないことくらい容易に判るはずなのに、 どうして殺せるなどと考えたのだろうか。

「ロディ」

繊細な手つきでオーバーロードの手がロディマスの頬に触れ、其のとき初めて頬を伝いおちる雫に気がついた。 何に対して零れ落ちていく雫かはわからなかった。

「離せ、」
「ロディ」

オーバーロードを見下ろしながら、ロディマスはただ泣いていた。 オーバーロードをこんなもので殺せるわけなんてないのに、それでもこの手の内にある小さな刃が精一杯であることが嫌で嫌でたまらない。冷静さを取り戻しつつある脳が、 愚かさを痛いほどに訴えかけてくる。 自らの装甲から削りだした刃はとても鋭利で、オーバーロードでなく握り締めている己の手を傷つけ、循環油を滴らせた。
流れ落ちる循環油が、ロディマスの腕をさらに下へと落ちていきオーバーロードへと降りかかる。刃を握り締めて振り上げていた腕から力が抜け下ろすと、刃を握り締める手ごとオーバーロードが触れ、包み込む。オーバーロードがロディマスから刃を取り上げることはせずただ握っていた。 次第に、ロディマスの手から溢れる循環油がオーバーロードの手にしみていき、汚していくがまるで気にする様子がない。強く腕を引かれ、そのまま倒れこめばオーバーロードの手が背中に回った。 特有の低い駆動音が聞こえて、額をこすりつけて思いはせる。彼の機体へと。

「…、殺せよ、腕を取るなり、足を折るなり、なんなりしろ…、」
「…せっかく殺そうとしてくれたのに?」

視界が一転して、オーバーロードの顔が見える。その顔がどんな表情で彩っているかなど、興味のかけらもないが、しいて言うならば憎悪は見当たらなかった。何も見たくなくて、視覚器を閉ざせば、ゆっくりと唇をついばまれた。嫌悪も感じず、ただ受け入れる。酷く疲れていた。

「褒美をあげよう、がんばったロディにね」
「何? なんの褒美だよ…、」
「この状況でもちゃんと努力して考えたことに、かな」

意味がわからないのだが、もともと意味のわからない相手なのでいまさらだと思い直してただ与えられるものを受け取る。ついばむようなキスは時間と共に口唇を割り、舌を絡めあう深いキスへと変わっていく。 オーバーロードとキスをするのは何よりも嫌だったが、今は嫌悪は感じなかった。果して、己の心は死んでしまったのだろうか?

「おーば、ろーど…、ちゅ、ん…、ふあ…、ああ」
「っちゅ、…、中々考えたねロディ、装甲で作ろうなんて」
「…、うっせえ…、」

握り締めていた手から、力を抜けばオーバーロードは刃を床へと落とす。 きっと明日には砕かれてしまっているだろうと、ため息をついた。
そろそろとオーバーロードの手がロディマスの内腿を撫でるのに、 少しだけ排気を乱す。触り方に覚えがないということは、おそらく彼の接続の仕方を模しているわけではないなと、酷く安心した。 オーバーロードとは幾度となく機体を重ねていたけれど、まだ彼のことを忘れていないと思えば少し楽になった。

「ふぅ、〜、んん、はぁ…、あ、う…、」
「ロディ、 気持ちいい?」

素直に頷いて、オーバーロードを仰ぎ見た。あきらめの境地というものも恐ろしいなと脳の冷静な部分で考え、再び与えられる悦に感じ入った。受容部蓋の上を行き来する指を、蓋の鍵をあけて招き入れた。 官能油に濡れた受容部はとくんと脈打ち、オーバーロードの指を緩やかに締めた。くちゅくちゅと弄られていく受容部にあるぷくりとした一点を掠められて、ロディマスは啼いた。

「ふぁああ! そ、そこ、…、んうっ」
「気持ちいい?」
「な、いちいちきくな…、あああん、うう、はぁ、」

確認するように、オーバーロードがロディマスへ聞いてくるのがうざったい。どうせするなら好き勝手に動いてほしかった。これではまるで……

「…、っつ、こいびと、みたい」
「… なんて?」
「今の、おれたち、恋人みたいだ、そんなんじゃないのに、…、」
「そうなってもいいと、思っているけれど」
「、…、 むり、マグナスがいるもん…、、あ、や、やだ、それもやだぁ、」

オーバーロードの指が触診するように内壁を指で幾度もこすり上げ、それを嫌って腿を閉じればくすりといたずらっぽく笑われた。

「ロディ、いれていい?」
「…、いつも許可なんかとらない、くせ、っああ、ふっ…、やあああ、おっきぃ、の…!、」
「今日は特別だ、」
「も、もう、やだぁ、ああ〜、んううっ ゃああん、っ!!」

ロディマスがやだやだと頭を振るって正気を保とうとしているのが、幼子のようでかわいく見える。 その気持ちを反映してか、 どくりと接続機が脈打つ。

「やあん、だめぇ、おっきくしちゃ、あ、あ!」
「ロディが悪いよ」
「ふっ、や、だってえ…、、! はう、あん、き、きもちいぃ…、」
「、ロディ…?」

ゆっくりと腰を揺らすロディマスは、 再び気持ちいいと漏らした。
ロディマスが、 オーバーロードにそんなことを言ったのははじめての事であった。

「きもちいいの?」

オーバーロードがそう尋ねれば、ロディマスは頬を染めて頷いた。 ゆるゆると、ロディマスが腰を揺らせば悦が増していき耐えられなくて排気を繰り返した。 ロディマスは己を軽視しているわけでないし、自棄になったわけでもない。 地に足の着かない上昇に身を任せ、素直に吐露しただけだった。

「どうしたの、今日は」
「あんただって…、ひゃああ、や、やああんっ」

更に奥まった箇所へと推し進められ、甘い声が漏れた。その事に不満をいだいてオーバーロードを見れば、ごまかすようにキスをされる。

「ん、ちゅ、くちゅ…、はあ…ちゅる、じゅ…、ふぁあ!」
「…、動くよ」
「…、っうん…、」

ずちゅり、ずちゅ、と受容部から淫猥な音が聞こえてきて思わず耳をふさぎたくなったが、腕をオーバーロードへと伸ばして縋った。雫でぼやけた視界に青い機体が写って思わず、唇が彼の名を呼んでしまう。そんな仕草に気づいたように、オーバーロードが言った。

「私の名前じゃなくても許そう。今日は」

視覚器を閉じれば、いまだ鮮明に思い出される姿に雫が頬を伝った。

「、ま、ぐなす、まぐなすぅ…、」

甘えて呼びかければ、箍が外れてしまったかのようにじんと感じ入った。最初こそ、気にしていたもののオーバーロードの内部を犯す動きが早まれば早まるほどそんな理性はいずこにとんで行ってしまった。

「あ、ああああ! 、まぐなす、うぅ、ひっ…! ああう…!」
「ぐっ、…、…、ふふ、」
「あっ、まぐなすぅ…、きもちい、まぐな、きもちいい…!」

本当に誰に抱かれているのか分らなくなってきていた。もしかしたら、本当にウルトラマグナスかもしれないと、思い込んだ。

「まぐなす、すき、すき、まぐなす、ひっ、やああああ! だめ、そこ、だめぇぇっ」
「っ、ぐ、、…はぁ…、」
「だめ、あ、だめ、いく、いく…、あっあっ〜!」

ぎゅっと、足をオーバーロードの腰にまわして、その刺激に耐えようとするも耐え切れずロディマスは、びくんと一度身体を反らせて達した。 くちゅくちゅと、吐精したばかりのロディマスの接続機に官能油を塗りこめると、ロディマスはゆるゆると腰を揺らして快楽を追いかける。

「は、んゃあ、きもちぃ…、もっと、して、もっとぉ…、」

ロディマスの強請るように、 オーバーロードは手を動かしていく。 いつも、 無理やり声をあげさせているロディマスが、 今日は素直に甘い声を吐く。

「う、ひゃ、ぁ!、ふぁああんっ、や、そこぉ、やあああん!」

排出口を指で重点的に弄ってやると、ロディマスは甲高い声をあげる。同時に受容部内がきゅうっとしまり、思わず息を呑む。

「まぐ、まぐなす? きもちいい? きもちぃ?」

ロディマスが聞いてくるそれに、頬を撫でることで答えた。 視覚器は恐らくもうどこも見ていないだろう。 青い機体以外には。

「おれ、うまくできてる? 」
「…、… ああ」

短く答えたオーバーロードにロディマスが場には不釣合いなほどふんわりと笑った。その笑顔は恐らく脳裏に彼に向けられているものだろうと、容易に検討が付いた。

「…、よかったぁ…、」

そう言って照れくさそうに笑っていたロディマスだったが、奥まった箇所へと接続機を推し進めると直ぐにその笑みは悦に浸った艶やかな笑みに変わった。

「ひゃあんっ、まぐな、すぅ、だめ、だめえっ そこ、そんなにしちゃっ…!」

ロディマスの受容部が、 きゅるとしまる。 オーバーロードは、声をかみ殺す。

「だめ、だめぇん、やっ…!!! あ、お、おくぅ…、、んう、あああああーー!」

ぶるりとロディマスが震えて、ぎゅっと視覚器を閉じた。その瞬間に、締め付けを増した受容内部に、生殖油をぶちまけた。

「はあ、あつい…、おく、すご、ぉい…、、、んやあああ…、」

オーバーロードの生殖油の熱を感じ取ってか、ロディマスは二度、三度と達する。びくびく震えていた機体が次第に、落ち着きを取り戻していく。 どろりとした接続機をロディマスの受容器から抜き取れば、理性を取り戻しつつあるロディマスが、オーバーロードの唇をなぞった。

「…、なんで、声、我慢した?」
「ロディがちゃんと思えるように」
「…、ばか、ばか、なんで……、ひっく…、うう、なんで…? 」

会いたいと泣くロディマスを抱き起こす。 なんの抵抗もなく機体をあずけてくるロディマスを抱き締めて何も言わず、ただ背中をさすってやる。

「ぐす…、いつかころす、」
「そうだね」
「ぜったい、ころす」
「待ってるよ」

泣きつかれたのか視覚器をにごらせるロディマスが口走る物騒な台詞をただ受け流していく。 そうしていけば次第にそんな言葉も聞こえなくなった。 静かにロディマスを伺えば、視覚器から雫を流したまま、眠りについていた。
簡単に機体を清めてやり、 床へ着かせた。 そのまま、ロディマスの寝顔を見つめて考えた。
己が落ちるのが先か、彼が落ちるのが先か。
それは誰にもわからない。 オーバーロードにもロディマスにもわからないのだ。

「おやすみロディ」

雫の残る頬に口付けた。

To Be continue

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鳳櫻月雨