シャワーを開くと、生暖かい水が降り注いだ。その中心に立って、ロディマスはため息をつく。下を見れば、水の中に若干の白濁が混じっていて、何となく気分が沈む。
ふふっと笑われてしまい、苛立ちと共にロディマスがその相手を見上げる。

「なに笑ってんの」
「可愛いね、ロディ」
「……… いいから、さっさとすませろよ」

オーバーロードが、シャワーのホースと、ヘッドをばらす。きゅ、きゅと音がして、外れたヘッドを床に落とし、ホースから流れる水の加減をする。
目が合えばにこりと笑まれるが、それに反発するように舌をつきだした。
そんな、抵抗も内部に入り込んだ指の圧迫に、なりをひそめてしまう。オーバーロードの胸に寄りかかって喘ぎをこらす。

「ふーーっ、ん!ひゃ、…あ、ああん、」
「きもちよさそうだね、ロディ」
「ばか、!んん、く!も、…、やだあ」

ぬると、入り込んだ水にロディマスがくっと背を仰け反らせた。その背を撫でるオーバーロードの手の感覚にぞわりと粟立つ。

「んあぅ、も、こんどからひとりでやるっ…!」
「だめだよロディ、私にやらせて」
「おれ、のっ、プライバシーは!」

ロディマスの切実な訴えは恐らく通らないだろう。内部に注がれていく水に、腹部が暖まる。
オーバーロードが、指を入れようとして、ロディマスが制す。 無用な悪戯は避けたかった。

「ん、んんっ、あ、はっ、ふっ、う…」
「おや、自分でやるの?」
「うっせぇ、!っあ!ーーっくぅ、ん…、ふっ、…!」

ぎゅ、と唇を噛み締めて耐えるその姿はオーバーロードからすればいじらしく、やはり彼は可愛らしいのだと、笑みを深めた。
二度も繰り返せば薄い白濁混じりの水は透明になり、ロディマスも長く息を吐いた。

「……、っ、オーバーロード」

なにか言いたそうに見上げてくるロディマスの唇にキスを落とす。労るように優しく角度を変えながら何度もすれば、許容するように唇を預けてくる。

「よくできたね」
「できますから、今度は一人で入りたい」
「それはだめだよ」

ロディマスがため息をつくも、オーバーロードは気にもせずにオイルバスにつかった。

「おいで、ロディ」

とぷとぷ揺れるオイルが気持ち良さそうだと思うがどうも、二人でははいりたくない。 そんなロディマスにオーバーロードが言う。

「悪戯しないよ」
「…… 破るなよな」

受容部の鍵を確実に締めてから、オイルバスの中にはいる。オーバーロードに背を預けよりかかれば、ふわと心地のいい香りが立った。
ちゃぷちゃぷ音がなるバスは、次第にロディマスの眠気を誘って来た。
そういえば今日は忙しかったなと、思い返す。

「…… 疲れた」
「眠い?」
「いや、眠くない…」

ロディマスの記憶はそこからおぼろげになる。時間にしてどのくらいだろうか、ぴちゃという水音がして、意識が浮上した。

「ー…、んっ、う?」
「起きたかい、ロディ」

ぼんやりとオーバーロードと目があったロディマスは、煩わしげに顔を歪めて、視線をそらした。
その表情に、オーバーロードが笑いながら言う。

「酷い顔だ」
「…… 出てけ」
「どうして?」
「ほんと、プライベートないな」

ロディマスのつらみにも屈せずオーバーロードがロディマスを抱き締める。そんなオーバーロードに抗議しようと、ちゃぷりと湯を跳ねさせた。

「…… あんたがいなきゃ最高なのにな」

贅沢だと思う。たかだか一機のためだけに、風呂を沸かすなどと。いわゆるオイルバスは戦時中には至高で合った。一応機体を洗浄する位はしていたが、激戦になればそれもままならない。

「随分気に入っているんだね」
「、…、めったに、できるもんでもなかったし」

オーバーロードに拉致されてからの生活は贅沢ばかりしていた。オイルバスもその筆頭と言えるであろう。
ちゃぷんちゃぷん揺れる湯の中で、ロディマスは至極ぼんやりと考え事をしていた。 これから、どうしたらよいのだろうか。
オーバーロードが、ロディマスの指を弄る。オーバーロードが言うには、これは一種の癒しの効果があるらしい。確かに、悪い気はしなかった。少し強めに、指を握られるが構わず放っておく。
以前ならば、指がもがれるとか考えていたのになあ、と悲しくなり思っているより、オーバーロードを信頼している自分に呆れた。

「どんくらい寝てた?」
「十分くらいかな」

ロディマスは目を擦り、大きく欠伸をする。

「ほんとにイタズラしなかったんだ」
「君がするなと言うからね」

ロディマスが徐にオーバーロードの手を握れば、オーバーロードは疑問を浮かべつつも何も言わず好きなようにさせる。
二度、三度握ったロディマスであったが、興味を無くしたように手を離した。 その様子が気になりオーバーロードは自分の手を見つめる。

「何してんの」
「君が握っていたから何かあるのかと思って」
「なんだよ、あんたはいつも俺にやるじゃないか」
「真似していたの?」
「知らない」

まさかそうだとは思わず、笑いが溢れる。すると何を笑っているんだと言わんばかりに見上げるロディマスが不満げな顔から、一瞬薄く笑みを浮かべた。

「貴重だね、君の笑顔は」
「あ、 ? 」

いつ笑ったのかと考えるロディマスに、 そんなに笑顔は見せたくないだろうかと考えたが、その問いにはロディマスしか答えられない。
最近、ロディマスは一人で出かけるが行く当てが無いことはわかりきっている。 結局帰ってくるのだし、 聞いても嫌がられるだけではないかと思っていたが覚悟して聞いてみた。

「最近、出かけるけど何処へ行っているの?」
「ああ、 なんかここらへんで怪奇現象があるらしくてさ」
「なんだった?」
「純度の高いエネルギー物質だった。 触ると液体になるんだ。 味がいいから、持ってこようと思って」
「飲んだの…?」
「…? そうだけど」

ロディマスは何でも口にして調べているのだろうかと、不安になったオーバーロードが聞く。

「ロディはなんでも口にする訳じゃないよね?」
「…… 確かに頭はよくないけど、 そんなに馬鹿じゃないぜ。 あんたも飲んでみろ」
「毒殺?」
「はあ? 失礼過ぎるぞ、もう出…、あ?」

立ち上がったロディマスが、くらり揺れて再びしゃがみこむ。

「… 逆上せた……」
「おや、」
「長湯したからなあ…、う、」

壁つたいにふらふらと覚束無く立ち上がったロディマスが風呂を後にする。
オーバーロードが浴室を出れば、ロディマスはソファに横になり風に当たっていた。
その様子に冷たいオイルを差し出した。

「……… あり、がと」

小さく小さく聞こえた声にロディマスを見れば、 そっぽをむいてそれを嚥下していく。 のみ終えるとまたソファに横になる。
熱い息を吐き、上気した顔でぼんやりこちらを見るロディマスは色っぽい。
微笑めば機嫌悪げに視線を反らしてしまうが、すぐに視線を戻してくる。

「ロディは、警戒心がつよいね」
「あんた相手には特にな」

もう一度カップに注いでやるとロディマスは直ぐに手を伸ばして飲み干す。 つ、と口端を伝いおちていくそれが、ロディマスの機体へ落ちた。

「……?なんだよ…」

ロディマスの前に立つと、訝しげに下から覗き込んでくる。
彼はわかっていて誘っているのではないかと、 オーバーロードがロディマスの顎を上に向かせる。

「っ、だめだ、オーバーロードっ…、!」
「私もあまりよくないと思うけれど」
「ならやめろっ、… さっき綺麗にしたばっかだろ、…!」
「ロディ、可愛い」
「話反らすな!」

睨み付けるロディマスを見つめて訪ねる。

「もう大分よくなったかな?」
「や、やだ、いやだ…、!」

目線を下にしたロディマスが、 緩く首を振って拒否する。 その姿に思案した後、ロディマスに迫る。

「なに、なんだよ、!」
「そんなに抵抗しなくていい」
「信用できないんだよ、!ちょ、や、め…」

オーバーロードが屈んで、ロディマスを仰いだ。 それに、オーバーロードが何をしたいのか悟り ゆっくり首を振るっていたロディマスだったが、 今度は激しく拒否した。

「だめ!」
「ロディ」
「やだよ、だって、…」
「ならベッドに行く?」
「もっとやだ!」
「私には、私のやりたいようにする力がある。だが、 私はあえてロディに選択を仰いでいるんだよ。 自分にとって最善の選択をしたまえ。 最悪の選択は、 私の意のままに扱われることだとは思わない?」

オーバーロードの意のままに扱われたとしたらどうなってしまうのだろう。純粋に怖くなり、どうしようもなく仕方なしにおずおずと脚を開けば、オーバーロードは満足げに笑んだ。 図らずも結局オーバーロードの意のままになるのだ。

「あんた、ほんとおかしい…、!」
「まともじゃないとはよく言われる。 もっぱらロディにだがね」

今まで、散々そこかしこを弄り倒したにも関わらず、恥じらう姿は中々にそそられる。
受容部蓋を優しく撫でてやると、 鍵はすでに外れていたらしく容易く開いた。

「みるなっ…、」

ふっと排気を吹きかけると、 ロディマスの受容部はひくんと震えた。
その様子に満足しつつ、 舌でぺろりと受容部を舐めた。排気を詰まらせたようなひきつった声がロディマスの唇から漏れるのを、頭上で聞く。舌で内部の線を弄り、 かと思えばつついて、受容部淵をなぞる。
最初こそ絶えるような声を漏らしていたロディマスだったが、 我慢しきれない甘い声がこぼれ出した。

「ちゅ、…じゅ、れる、ちゅうう、は、…」
「ひっ、ぁ、…、ん!!、ふっ…!、っああっ!」

受容部を舐ぶると官能油が溢れてくる。 丹念に舐めていけば官能油の量は増していき、唇へとろとこぼれた。

「ロディ、期待してる?」
「、してなっ、やあっ、んふ! あ、あ、だめ、いやだ、そこだめぇ」

甘く啼くロディマスの声は着実に快感が募っていることを伝えてきた。その声音と共に溢れる官能油を啜って、受容部に舌をつきいれる。

「ひゃああぅっ、! も、やぁってばぁ、あ、!」
「ちゅぷ、…ちゅ、、ロディ、先程から揺れてるけれど?」
「ちがっ、ちがうっ、あ、ああん、やだいく、いく、!」

ロディマスの受容部が小刻みに震えるのに気がついて、さらに強く吸い上げた。

「ゃああん!ああぁあっ〜〜〜!!」

ぴたりと受容部に吸い付いて、 達した瞬間の受容部がびくびくと脈打つ感覚を楽しむ。
ごくと、口腔に溜まったものを嚥下してロディマスを仰ぎ見れば、視覚器に冷却水を溜め込んで潤ませていた。

「早いね、 ロディ」
「う、るさ、っ、もういいだろ、」
「いいよ」
「……… は?」

ロディマスが戸惑って首を傾げるが、その間にオーバーロードは立ち上がって口許を拭った。
オーバーロードとして見れば、 なぶっている間に随分と満足しつつあったが、ロディマスはフェアじゃないと呟き、オーバーロードに言う。

「あー、えっとしてやろうか」
「…… ?」
「だ、から、…、おまえのそれ…、」

要するにロディマスは、 先程オーバーロードがしてやったように接続機を愛撫してやると言っているらしい。

「したい?」
「はあ!? そうじゃない、、!したいわけじゃないけど…、」
「無理はしなくていい。 私がやりたくてしただけだだから」

まだ些か納得はしてもらえていないが、致し方がない。

「あとでやってもらうよ」
「……… あとで」
「うん、あとで」

口ごもるロディマスではあったが、かちゃと受容部蓋を締めた音が聞こえて、ようやく納得してくれたのだろうかとオーバーロードが、息をはく。ソファに座り直したロディマスが、オーバーロードに尋ねる。

「このあと、どうするんだ?」
「デートでもしようか。」
「デート? 」

ロディマスが、なんでお前とデートなんだと言いたげな顔をするが、 オーバーロードは続けた。

「たまにはいいだろう?」
「…、あんまよくないけど……、」
「はやくモナカスへいこうかロディ?」
「…… モナカス?ギャンブル?」

胡散臭いと思ったロディマスだったが決定した以上仕方がないとため息をつく。

その後、質入されたロディマスの機嫌を直すためオーバーロードが珍しく奔走するはめになるのを、二人はまだしらない
END{emj_d_0139}
鳳櫻月雨