「君がいないと私はどうしようもなく落ち着かなくなるということがわかった」
「はは、そーゆーこと。マグナスは以外と俺のこと、 大事にしてるんだな」
「…… そんなことはない。ただロディマスが私の言うこと聞いていると… 調子が狂うんだ。 ロディマスを追い回していた方が、 そうだな。 らしくなる」
「へーぇ、 マグナスはいい子より悪い子の方がいいんだ?」
ロディマスが心底楽しそうに言う言葉に、 若干不安になる。 別にそう言うわけではないはずだ。
「私はいい子の方が好きだぞ」
「うっそ」
ようやく執務室が見える位置に来た。 長かった散歩がようやく終わり、 ほっとするウルトラマグナスにロディマスが言う。
「マグナス、 耳貸して」
「…… どうした?」
屈んだウルトラマグナスに、 ロディマスが唇を寄せ… 頬にキスした。 些細なイタズラだがここは往来の場だ。
「ロディマス!」
「はいはい、 説教は中で聞くよ」
するりと執務室に逃げ込んだロディマスに、 怒りの声をあげる間もなかった。
渋面でロディマスの後を追って執務室に入れば、 笑みを深めたロディマスがいた。
「今日の仕事はもう終わりにする」
「何?」
「もっといい仕事をしてやろうと思って。 なんて仕事だと思う?」
「わからん」
というか、知りたいと思わないと言うのは胸の中に納めた。
なんだか至極満足そうにロディマスが頷いた。 このしたり顔には見覚えがある。
「マグナスの恋人って仕事」
「…… その恋人は私に何してくれるんだ…」
なんだか疲れてしまった。 すごく良いことでも言うのかと思ったが、 やはりさっきのあの顔じゃ大した言葉が出てくるわけじゃない。だが、 ロディマスはなんだかとても嬉しそうに腕を広げた。
「ほらー、マグナスおいでー」
「………… えらい現実離れしてるな」
「あ、マグナスしらないの? 地球じゃ抱き締めあうと、 なんとか物質ってのが出て、 ストレス解消に一役するんだぜ? あと三分の一ストレスが減るらしい」
「……、 というかロディマスがしたいだけじゃないのか…」
「マグナスのためだってばー」
ため息をつきつつ近寄れば耐え切れなくなったのか、 ロディマスから抱きついてくる。
「やはり自分のためじゃないか」
「いや、マグナスのためさ」
「…… そうは思えないが」
仕方無しに、ロディマスの背に手を回した。 嬉しそうに笑うロディマスはさておき、 腕の中の感覚に視覚器を閉じた。
「マグナスー、 苛々する?」
「いや、しないな」
「おお、 そりゃよかった」
「ロディのお陰だな」
相変わらず、 愛称で呼ばれるのは照れ臭いらしい。 かつんとロディマスの脚が、ウルトラマグナスの脚を蹴り飛ばした。 そのさまに、 ようやく優越感に浸った。
「確かに、 ストレスが無くなるのは本当らしい」
「お、 マジ? なら今度から苛々してたら抱き締めてやるよ、 ところ構わず」
「…… それは遠慮しよう」
ロディマスは黙っていられないのかと思うが、 黙っているロディマスなんてロディマスらしくない。 そうだ、 これくらいの方がちょうどいい。
そっとその背の羽に手を伸ばして、 撫でるとロディマスはくすぐったそうに笑う。 その笑い声も耳に良い。 幾度も撫で擦り、 時折確かめるように隅々までなぞっているとロディマスがふぅ、 と短く息を吐いた。
「え、えと」
「なんだ」
「そろそろ、 離してもいいんじゃない?」
「… 何故?」
「なぜって…」
納得のいく答えが得られなかったため、ロディマスを抱き締める腕を解かずに、 そのまままた抱き締めた。
なんだか、 やたらと暖かくて心地よいと思う。 確かに、 ロディマスが言ったストレス解消とは正しい事らしい。 指を滑らせて、 彼の首元に触れたときだった。
「ひゃぅっ!」
ロディマスが声をあげ、 びくりと機体を揺らした。 その姿に、 驚いて手を止めればぎゅっとロディマスは力を込めてウルトラマグナスに抱き付く。
「っやめろよ…」
恥ずかしそうに告げられた声に、 どくりと情が脈打つ。 だが、 それを言葉にできるほどウルトラマグナスは素直になれない。
「…… 熱いな」
「マグナスのせいだろ」
ロディマスが、 恨めしげに言い俯いて機体を離す。 少し惜しいと思ったウルトラマグナスだったが、 そうでもしないとロディマスを離す機会をなくしてしまう。
ロディマスを見つめていると、もどかしそうに視線を惑わせロディマスが言った。
「マグナス、 目がマジだぞ…」
若者言葉は少々理解しにくいのだが、 恐らく自分は今、 言うなれば捕食者のような目をしているのだろう。
自分が一心にロディマスに向けているのも理解した。
「ああ、 もう…… マグナス、 行こう」
「行く? どこへ」
「… 俺の部屋!」
―――――
被さるように押し倒し、 舌で首元の配線を転がす。
「んっ、… 」
鼻にかかったその声は普段めったに聞くことなんてかなわない。
「っ、 マグナス、 おい」
「どうした」
「ああ、 もー…」
ロディマスの言いたいことはなんとなくわかるが、まだ満足していない。 触れた所から、ロディマスの温もりが伝わり、 満たされていくその感覚はなんとも言えないものだった。
「マ、グナス、 甘えてんの?」
黙って横になっていろとは言わないが、 たまには自分の好きなように触れても良いのではないだろうか。
言葉を話すのも面倒くさいと、 ただロディマスに触れ己の欲だけを満たす。そしてある程度の時間がたっただろうか。 ロディマスの機体を触れていないところがないのではないかと思うくらいに撫で回し、 ふとロディマスを見れば視覚器に情欲を滲ませていた。
「マグナス、 あ、 あのさ…、」
ロディマスの言葉を口付けて塞ぎ、 ようやく手を下へと動かした。 受容部蓋の上に指を這わせれば、 ぬるりと官能油で濡れた。
存外に期待を抱かせていたことに、 思わず笑みがこぼれる。 鍵はかかっていないと分っているので、 蓋をずらし、 指で淵をなぞった。
「っ、 ぁ…、 うう…」
「慣れたか?」
「ば、か、なれるかよ…、 あ、はぁ…」
ロディマスがこの理性を飛ばす瞬間が嫌いだというのは知っていたが、 その瞬間の殊勝な様はそそられる。 恥らうロディマスが、 以前はあけすけに機体を開いていたとは信じられなかった。
「あ、 ふぁあ…、 まぐなす、まぐな、すぅ…、 」
ロディマスはよく名前を呼ぶと思う。 いつものようにはっきりと呼ばれるのも好ましく思うが、 悩むように戸惑うように名前を呼ばれるのも好ましい。
「まぐなす、まぐなす、 ああ、ふ、っ んやぁ…、 」
「ロディマス、 力は極力抜いてくれ」
「ああ、 んぅ…、 そんなこといったってぇ…、 」
ロディマスが長く息を吐き出した。 ロディマスは、 接続の意味など初めて知ったといっていたから、 おそらく奥につないだのは己が初めてなのだろう。 じゅぷ、 と音を立てて 受容部をまさぐると、 耐えるようにぎゅっとロディマスが眼を瞑った。
「ま、まぐなす、 も、もう、…」
性急なロディマスの言葉に、 ウルトラマグナスは思案した。 ちらりと、 視線をずらせばロディマスの受容部はとぷりと官能油を零した。 ロディマスが思っているよりも、 機体は待ち望んでいるらしかった。
「大丈夫か?」
「へいき、、おねが、ぃ、まぐなすぅ…、」
ロディマスの泣きそうなほどに震えた声というものは、 どうしてこうも此方を煽ってくるのだろうか。 そんなことを考えながら、 ウルトラマグナスは自身の接続機蓋を開ける。
「ばぁか、 …、 あんた、なんでがまんするの」
「もう我慢しないぞ」
「は、 やっ…、 ま、まって、回線つなぎたいっ…、!」
ロディマスの言うとおりに、 頸の線をつないでやれば安心したように笑った。
「ははは、 これ、すき」
「私以外とつなぐんじゃないぞ」
「わかってるよ…、 あ、 ん…ぅう…、はあ…、 」
ぎこちなく、 それでもすこしづつパルスをあわせていくロディマスが、 荒く息を吐き出した。 動的なロディマスのパルスと反対に、 ウルトラマグナスのパルスはどちらかといえば静的である。 ゆっくりと互いの調和点を探すその作業は、 とても繊細だった。 澄んだ感覚がして、 意識が互いにはっきりしてくる
「あ、 まぐなす、まぐなす」
「ああ」
「できた? あってる?」
少しだけ揺り動かしてみれば、 ロディマスのパルスが同じように重なっているのがわかる。 嬉しそうに笑ったロディマスの受容部に接続機を押し当てる。
「き、きて、」
ぐっと、 受容部に接続機を挿入させていく。 ぐぷぐぷと接続機を受け入れていく、 ロディマスがやはり若干の圧迫感には耐え切れないらしく、切なく排気をもらした。
「あ、あああ、まぐなす、まぐ、あ、はあ…、」
「…、 すまない、な、…、っ」
「やっぁん! だめえ…、 そこ、あ、だめっ…!」
ロディマスが、 ひときわ啼いた時に線から伝わる快感に、 思わずウルトラマグナスも喉を鳴らす。 繋いだ回線が伝えてくれるその場所を狙って、 接続機で突く。
「あ、あああ、やだぁあ、まぐな、やだっ…あぁ、」
「ロディマス、 ロディマス……、 ロディ」
「だめ、ぱるす、やだあっ、 まぐなす、まぐなすぅっ!」
接続機で、 突くときにあわせてパルスも送ってやるとロディマスはいやだと首を振るった。 その様が、 可愛らしいと思う。
己の下で啼き乱れるロディマスの魅力は計り知れない。
「ま、あぁ、まぐなぁ…っ…! きもちい、?まぐなす、は?」
「ああ、 きもちいいな」
「ほんと? ほんとか? う、ああ、はぁ…ぅう」
ロディマスが、 きゅっと受容部を締め付けたのに気がついた。 最近のロディマスは、 ウルトラマグナスを気持ちよくさせたいとおもっているらしくあれこれ思考している。
そんな必要はないのに。 ロディマスと接続するのは気持ちが良いのだから。
「ロディ、ロディ…、」
「やあ〜、 なんで、ずるぃ、まぐな、は、あああ!!」
ロディマスの手がウルトラマグナスの手を握る。 指を絡めてやれば、 ぎゅっと縋るようにロディマスが手を握るのがわかった。 少しづつ、 パルスを送る量をふやしていけばロディマスの受容部がきゅうんとしまる。
「あ、だめ、やだぁああ、まぐなす、いっちゃう、まぐなすぅ…、!!」
「ロディマス、…!!」
こういう時、 ロディマスは健気だと思う。 そして、 小悪魔的だ。 受容部がびくびく震え、 接続機から搾り取るように動いた。
「あ、やっ…あああ〜! まぐなす、はあ…、んんぅ…、おくまで、、!!」
「ぐ、、…、っつ…!ロディ、 好きだ」
受容部で達した快感が線を伝ってウルトラマグナスも感じる。 その奥深い感覚に、 互いに感じ入った。
「あ、ふ、、、、はあはあ……はっ、はっ……」
受容部から接続機を抜き去ると、肩で呼吸していたロディマスの視線がとろりとウルトラマグナスを捕らえて… 幸せそうに笑った。
すりすりと機体を摺り寄せたロディマスが嬉しそうに笑っている。 そんなロディマスを、 抱き寄せて暫く抱き締めあった。
「ふ、へへ……、」
「……、 まだ回線が繋がっていると知っているんだろうな」
「えー…? 知ってるよ」
ロディマスがなにに嬉しがっているかなど総て分っているのだ。 そのために繋いだ回線なのだから。
「マグナス、 今度寄港したときさ、 遊びに行こうよ」
「…、 私はどちらかが艦に残るべきだと思うが」
「ええ、 なんでだよ。 せっかく、 そのために仕事がんばったのに。 デートしようぜ」
恐らく、 ロディマスの言うとおりになるだろうが黙ったままその日を迎えるのは癪だ。 なにせ、 ロディマスがそういう提案をしてそのとおりにならなかったためしはないのだから。
しばし、 考えるそぶりを見せてからなるべく渋顔を作って言う。
「なにも問題を起こさない自信があるなら、 … そうだな、 少しならいいぞ」
「よっしゃ、 決まりな」
かち、 と音をたててロディマスが受容部の蓋を閉めた音がした。それに違和感を覚えて思わず言った。
「ちょっと待て、 ロディマス。 洗浄しろ」
「え? 大丈夫だよ」
「何が大丈夫なんだ」
「吸収されるから」
「…、 まさかと思うが……、 異物指定解除したのか?」
ロディマスが、 視覚器を西へ東へと動かしているのを見てため息をつく。
「後にも先にもマグナスだけだと思うから大丈夫だよ」
「そうじゃなくて…、」
「マグナスがいやなら、 いいんだけど」
ぴりりと線から伝わるロディマスの不安に、 ウルトラマグナスが視線を向ける。 表情こそ普通だが、 内心はきっと違うのだろう。 こういうとき、 線を繋いでおいてよかったと思う。 ロディマスはごまかしたりするのだから。
「…、 いやじゃないぞ」
「…… そっか、 」
ロディマスの不安が霧散するのが分かる。 再び穏やかなパルスの動きに、 ウルトラマグナスがロディマスを抱き寄せた。
「ロディに私の色が残るのも中々好ましいからな」
「…、 マグナス、 いきなりデレんのやめろ…、、」
{emj_d_0136}THE END {emj_d_0136}