『旅路にて』

就寝前に読書をしていた時だった。僕の部屋の扉を、誰かが控えめにノックする音。
「の、典明さん」
「何だいニケ、こんな夜遅くに」
十分用心してから扉の開けると、目を真っ赤に腫らしたニケが立っていた。ほっとしたのもつかの間、恐る恐るといったように、けれどとんでもないことを彼女は口にする。
「あの……一緒に、寝てもいいですか……?」
「なっ!?」
「だめ、ですか?」
立ち話も難なのでひとまず部屋の中に招き入れた。あ、ニケいい香りだ……ではなくて、落ち着け僕。
「駄目だとか良いとかそういうことを言う前に、君はその、女の子だ。そして僕は男。…僕が言いたいことはわかるだろ?」
「ごめんなさい、でも」
言い募ろうとするニケは、いつもと少し様子が違う。それに目が赤い……ということはつまり、泣いたのか?
「私、典明さんと一緒にいたいです」
彼女の美点である素直さが凶器に成りうると、誰が想像しただろうか。どういう気持ちで
言ってるのかな。憎からず想っている女の子にそんなことを言われたのだから、少しぐらい舞い上がってしまうのは許してほしい。
「ニケのことだから理由があるんだろうけど、断る以外の選択肢はない」
まあ君が、僕の毒牙にかけられてもいいなら別だけど。
少し意地悪な言い方をしたなと思う。でもそれなりにこれは事実だし、ニケの照れて慌てる姿も見たかった。
……のに。
「典明さんになら、私、それでもいいです」
どうしてそんな答えを返すんだ……!
ニケの目は本気だった。深い理由があるんだろう。
「……君には負けたよ。ただし今夜だけだからな」
「典明さんありがとう、嬉しい」
花が綻ぶように笑う彼女に比べて、邪な気持ちを抱く自分があまりにも浅ましく思えた。
ニケが笑ってくれるなら、僕のこの邪念を押さえ込むことなんて容易いだろう。素数でも数えてればなんとかなるはずだ。

しかし当然ながら、僕は寝れそうになかった。
こんなに女の子と密着したのは初めてだし、ニケの顔を間近で見るのも初めてだ。素数もまともに数えられなくなった僕は、彼女を観察することにした。
昼間旅をしているときにはあまり見ることのできない年相応の穏やかな寝顔。薄く開いた唇からは規則的な呼吸がもれる。
「ニケ…」
「典明さ……んっ」
しまった、と思ったときにはもう遅く、僕はたまらずニケの唇に自分のそれを重ねていた。しっとりして柔らかくて、僕のものとは全然違う。邪念を押さえ込めるなんてとんだ勘違いだった。でももう知るか。
キスは、僕がこれまで想像していたよりも遙かによかった。ニケとだからかもしれない、いやきっとそうだ。
調子に乗った僕は触れるだけでは満足できずに、無謀にも舌でニケの唇を割り開こうとしている。
「ん、んっふぁ……」
ぎゅっ、と僕のパジャマの胸元をニケが握り締めた。
初めてのキスに戸惑いながらも、ニケはこの行為自体は嫌がってないみたいだ。
「ニケ、舌を出して」
「はい……ふうぁっ」
素直に差し出された薄桃色の舌を舐め上げて、軽く甘噛みしながら吸ってやる。
ビクッとニケの体が跳ねて、小さく震えた。もしかして、怯えてるのか?
あぁ僕はなんてことを!
ぐっと勢いよく体を離して、なけなしの理性をかき集める。それも長くはもちそうにないが。
「すまないっ、本当に。逃げるなら今のうちだ。早くこの部屋から出て……」
「してください」
「ッ!」
僕がどんな思いでニケから距離をとったと……。
「典明さん、して……?」
正直に言おう、僕はニケという女の子が好きだった。そこから得られる結論は一つだ。
「君は馬鹿だ、大馬鹿だよ。……できるだけ、優しくするから」
「あ、胸……っ」
首筋を撫でていた手を下げて、僕はニケの胸を撫でた。
「私小さいからはずかし、んぁっ」
「まだこれから成長するし、しなくてもニケは十分に魅力的だから大丈夫だ」
「の、典明さんっ……や、あうぅ」
片手で僕の腕を掴みつつ、反対の手の甲を唇に当てて必死に声を押し殺そうとしている。その反応、すごく可愛いし、すごくそそる。
「寝るときブラはしない派なのかい?簡単に乳首の位置がわかるよ」
「はっ、はひゅっ……胸、やぁ……」
「男だらけの宿で、あんまりに無防備じゃあないか」
「あう、ごめんなさ……ッ」
小ぶりながら形のいい胸をパジャマの上から揉みしだいて、存在を主張し始めた突起部分を引っ掻くように刺激した。
「どう?気持ちいいかい」
「ん、はい……」
恥ずかしそうにか細い声で、ニケが小さく返事をする。
パジャマのボタンを一つずつ外して、素肌を晒させる。胸はたしかに小ぶりだが、白い肌にさくらんぼがのってるみたいな光景は今まで見たどんなえろ媒体より刺激的だった。
「とても綺麗だ」
「あんまり見られたら、恥ずかし……ひあっ」
れろり、とその扇情的な光景を舌で味わう。つんと尖り始めた乳首が僕の口内で存在を主張した。
「あっ、あっ、典明さん恥ずかしいです、んひゅうっ」
ニケの手が僕の頭を押し返そうとしている。けど、いつの間にかそれはしがみつく行為に変わっていた。自分から胸に顔を押し付けてるなんて、気づいてないんだろうなあ。
「乳首が勃起して、やらしいね。気持ち良かったかい?」
「………………はい」
しばらくの沈黙のあと、小さく返事をしたニケのなんと可愛いことか。その可愛い手が、僕のパジャマの裾をきゅ、と掴んだ。
「私ばっかり、恥ずかしいです。の…典明さんも、脱いでください」
「…いいよ。ニケが脱がせてくれるなら」
たどたどしい手つきでパジャマのボタンを外すニケ。意地悪をしたなと思ったが、羞恥を湛えるニケの表情を見ていたら、それが正しいことのような気がしてきた。こんなに可愛い女の子に、意地悪するなって方が無理だ。
最後の一つまでボタンを外し終えた頃には、ニケはすっかり羞恥にやられてしまっていた。
「ありがとう。じゃあ今度は僕がお返ししないとね」
「えっ?……ま、待って!待って典明さんッ!」
「待たない」
ニケの制止を無視して、下肢を覆う布も取り払う。これでニケを隠すものはなくなった。
「ほら、隠さないで」
「み、見ないで、見ちゃだめぇ……」
いいや見るね。なんと言われようと見る。ニケの体は芸術品のように綺麗だった。そして僕の劣情を掻き立てる。
「ニケ、うつ伏せになって、お尻だけ高く上げて」
「はい…………あぅ、この格好かなり恥ずかしいです」
それでも素直に従ってくれるんだから、本当に可愛いなあニケって。悪い男に引っ掛からないか心配になる。まあ、だからこうなっているんだけど。
「すごく可愛いよ。それにここには僕しかいない、ニケの色んな姿を見せてくれ」
「典明さ、んひゃぅっ!?」
自分も全裸になると覆い被さるように姿勢を変え、ニケの柔らかな太ももの間に自身を挟ませて割れ目のすじにあてがう。
そう、素股ってやつだ。流石に恋人でもない僕がニケの処女までいただいてしまうのは憚られる、が僕もそれなりに……いや激しく彼女を求めたい。その折衝案がこれ。
ローションとかが必要なのではと思ったが、すぐにそれは無用だったことがわかる。
「ニケ、濡れてる」
「んぁっ…典明さん言わないでぇ」
たっぷりと蜜を滴らせるそこは、潤滑油などなくてもスムーズにペニスを動かせた。
「あ、あぁっ、これきもちいいです。典明さんのが、こすれて、ひもちぃよぉ……ッ」
「ニケのおまんこぐしゅぐしゅになってるから、すごいぬるぬるしてて僕も気持ちいいよ」
「典明さん、のりあきしゃ、あぁぁ!」
ずっ、ずっ、とペニスをニケの秘裂にすり付ける。先端の方にこりこりクリトリスが当たるのが絶妙な刺激だった。そこを雁首で押し込んでやるとニケもいいみたいだし。
「ん……ニケ可愛い」
「典明さん、典明さんっ」
シーツを握りしめて、懸命にニケは僕の与える快感に耐えている。おまんこの入り口がひくついてるのがわかった。
「そこ、そこいや、気持ちいいのっ……典明さぁんっ」
「腰、揺れてるよニケ。えっちだね」
「あっ、だめ、止まらな……恥ずかしいのにぃ、うごいちゃうよぉっ!」
「ニケ、ニケっ!僕は……僕は君が」
何を言おうとしていたのか、勢いに任せてその言葉を投げつけようとしていたことに気づいて、押し黙る。まだ、まだだめだ。それも、こんなときに。
「の、典明さん……?」
「僕は、君が……こんなにえっちな女の子だったなんて知らなかったよ」
ニケの乳房に手を伸ばす。ぷくっと膨れて硬くなった先っぽを強めに引っ張ると、嬉しそうにニケの体が跳ねた。
「ひゃうぅんッ!やめ、やめてっ、胸触っちゃだめ!」
「わかったわかった、もっとだね」
「ちが、違います、ちがうのぉっ!きもちいいのきちゃうからぁッ!」
ニケの腰が一層激しく揺れる。身を捩って僕から逃げようとする彼女の体を、上から押さえつけるように捕まえた。あどけなさの残るその声音で、悲鳴のようなあえぎをあげるのがたまらない。
「こういうのは、イくって言うんだ」
「のりあきしゃ……んひゅぅぅっ!きもちぃのやだあっ」
「イくときはきちんとイくって言わなきゃだめだ。ほら、言ってごらん」
柔らかいニケのおまんこの肉が、とろとろと僕のちんこにまとわりつく。こういう知識をまだまだ知らないでいる無垢なニケに一から教え込むの、たまらないな……。
「典明さんやめて、いく、いっちゃうから、おねがい許してくださ……」
「今さらだめだ。僕の気が済むまで許さない」
「許して、ゆるいれぇっ、あぁだめ、だめですいっちゃう、んくうぅ……ッ」
「ん、イきなよ……イけ!」
「あっ、んん、んくぅぅ〜ッ!?」
僕が強く命令すると、ニケは声にならない声をあげながら、盛大にイった。絶頂の余韻で腰がはしたないほどにへこへこ揺れ動く。すごい、やらしい。
「まって、待ってください典明さんっ、今動いちゃだめ!だめだめぇっ!頭おかしくなりゅうっやめへえええっ!」
「ごめんニケ、僕もイく、イく……うぉぁっ!」
どびゅるるっ!
「ふあっ、あっ……あー……」
久しぶりの射精の勢いは凄まじく、ニケの腹はおろか、顔にまで白濁は飛び散っている。生まれて初めてだろう強すぎる快楽に、僕もニケも息を荒げて汗だくのまましばらく動けそうになかった。
「ニケ、ニケ……」
「のりあき、さん…………」
「大丈夫かい?あぁくそっ、なるべく優しくするって言ったのに、僕は……」
ニケの前であんなに余裕のない姿を見せてしまったことを、今さらに後悔する。
「いいの、いいんです。だって私、典明さんがす」
「言うな」
思いのほか強い声音になってしまった。でも、だめだ。ニケの気持ちは嬉しい、でも。
「どうして」
「僕から言う。日本に帰ったら、その話をしよう。だけど今は、僕にとって君がとても大事な仲間だとしか言わないでおく」
死ぬなんてそんなつもりは毛頭ない。けれど僕は、僕らはこの戦いに命をかけている。死んでもおかしくはない。
何があってもニケのことは守るつもりだが、自分の身の保証はしかねた。
何かあっても、僕がきちんとただの思い出になれるように。
「夢を、見たんです。とても恐ろしい、夢を」
「それで、僕のところに来たのか?」
「だって、だって典明さんが、目を閉じたまま開けてくれなくて!」
「勝手に殺さないでくれ。僕には生きていたい理由がある」
君に言いたいことがある。
夢の中の僕にまで、涙を流してくれる君に。
「でもね典明さん、その夢に私はいなかったんです」
「ニケはどこか別の場所にいた、とか?」
「いえ、なんていうか、そうじゃなくて。だけど、だから」
私がいたら、きっとそんな未来は変えられると思うんです。
変えてみせますから。