だって君に
ガンナーが遊びに来た。手土産に私のお気に入りのクッキーとジュースを2つ抱えて。
「…またクッキー?」
「ああ、好きだったろ」
最近のガンナーは様子が変だ。薬物依存から立ち直ったと思ったら、次はやけに品行方正で居ようとしている気がする。前なら持って来ていたのは自分用のお酒だったのに。
「好きだけど、私もう大人だよ?」
「まだ大人を名乗るには身長が足りないだろ」
「じゃあヤンだって子供でしょ」
「そりゃ言えてる」
嬉しそうにジュースの瓶の蓋を開けて私に手渡す。ガンナーとヤンが仲が良いのはいつも腑に落ちない。もしかして背の低い人が好きなの?だとしたら悪趣味が過ぎる。
「…あれ?」
ふと、いつものお酒の匂いがしないことが気になった。それどころか甘ったるい良い匂いがする。
「お!気が付いたか?」
「これ何の匂い?ガンナー?」
「俺の匂いに決まってんだろ!他に誰がいる」
信じ難い!
「…香水?」
にやけ顔が更に緩んでいく。待ってましたと言わんばかりに得意げに髪をかきあげて、「どうだ?」と私に匂いを送る。
「良い匂いだけど、なんで?」
「俺だって香水ぐらい付ける」
「嘘!」
「はあ?嘘じゃねえーぞ!」
どういう風の吹き回しだろうか。ああ、さてはうつつを抜かしている女性がいるな?少し腹が立って近くにいるガンナーを軽く押す。
「なんだよ」
「…今日はガンナーと遊ばない」
「なっ!この匂いか?良い匂いって言ったじゃねえか!風呂入ってくる!待ってろ!!」
大急ぎで上着や荷物を片手にバイクに跨る。私が何か口にする前にガンナーは遠くの方へと消えていった。呆気に取られたままそこに立ち尽くす。
「変なガンナー…」
置いて行ったクッキーを1枚手に取った。
だって君に
(好かれたいから!)